人手不足による悪影響とは?対策方法を3つの成功事例と共にご紹介

最終更新日: 2022.07.27 公開日: 2019.10.30

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人手不足は企業経営において深刻な問題のひとつです。人材が十分でない場合、業務が滞り経営活動がスムーズに進まなくなります。また有益な事業計画を持っていたとしても、人材がいなければ計画通りに進まないことも多いでしょう。その結果、十分な利益を出せずに業績が悪化してしまう場合があります。日本は少子高齢が進み、いずれ労働人口が不足することが自明となっています。人手不足はどんな企業にとっても解決すべき問題であり、今のうちから対策を早急に考える必要があります。
本記事では、人手不足の影響と対策方法について解説していきます。今すぐにできるちょっとした工夫で人手不足を補い、スムーズな企業活動で利益を出していけるようにしましょう。

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人手不足の背景

冒頭でも簡単に触れた通り、そもそも人手不足の最も大きな原因とされているのが、少子高齢化による労働人口の減少です。帝国データバンクの2020年の調査によると、現状、人手不足を感じている企業は全体の3割前後。実はこれはコロナ禍で飲食店やホテルなどで従業員の需要が減ったことによる影響が大きく、前年は5割もの企業が人手不足を感じていました。
2030年には労働人口が644万人不足するというパーソル総合研究所のデータもあり、潜在的な人手不足は今後も深刻化が予想されます。

こうした社会的な動向により採用競争は激化し、労働者はより良い条件の企業へと流出していくでしょう。

人手不足が企業にもたらす影響

人手不足の状態が長く続くと、企業に様々な悪影響を及ぼします。手遅れにならないうちに効果的な対策を行いましょう。人手不足が企業に与える影響は、大きく分けて3つ挙げられます。

事業の縮小

人手不足が続くと業務に携わる人が少なくなってしまうことから、必然的に処理できる業務量も縮小していきます。既存の人材が全力で業務に取り組んだとしても、一人ひとりの業務処理量には限界があるからです。その結果、従業員の人数に応じて事業規模までもが縮小する事態となります。
事業を維持するだけで精一杯の状況では、新たな事業を立ち上げることも難しくなります。市場のチャンスを逃してしまえば同業他社にますます差を付けられ、人材の流出はさらに深刻化していくでしょう。

労働環境の悪化

人手不足は労働環境の悪化を招きます。残業の慢性化をはじめ、有給休暇を取得できずに社員のライフ・ワーク・バランスが崩壊する、あるいは日々の業務に追われてスキルアップが図れず、キャリア形成ができないといった問題などがその一例です。

労働環境が過酷になればそれだけ社員のパフォーマンスが下がり、抜け漏れなどミスの多発、製品・サービスの品質低下を招きます。業務が上手く進まないことで、ますます残業量が増えてしまうという悪循環になってしまうこともあるでしょう。

社員のモチベーション低下

社員の肉体的・精神的な負担が大きくなれば、モチベーションの低下も避けられません。業務を処理することに追われ、創造性を発揮できるような仕事が少なくなると「こなすべき仕事を淡々と処理していく」という状況に陥りがちになってしまうのです。
その結果、ストレスが増加して仕事にやりがいを感じられなくなったり「何のために仕事をしているのか」という疑問を感じたりして、仕事に前向きに取り組めなくなってしまうこともあります。モチベーションの低下に伴って会社へのエンゲージメントが下がれば、最悪の場合離職につながり、人手不足はさらに悪化します。

人手不足の対策として必要なのは働きやすい環境づくり

人手不足を解消するには、第一に社員にとって「働きやすい環境」を整えることです。新しい人材を増やすことももちろん大切ですが、まず既存の社員が働きやすい環境をつくることが、新たな人材の呼び込みにもつながります。働きやすい環境づくりにはいろいろな方法があります。福利厚生の充実や労働条件の改善、新しい人事評価制度の導入など、どれも現状に問題があるなら早急に整備を開始すべきテーマです。
その中でも特に効果的な方法として取り上げたいのが、「業務効率化」です。業務効率化によって労働時間を短縮するなど社員への負担を減少できれば、満足度向上、ひいては離職率の低下が可能です。
また、いくら人材を呼び込む環境を整えても、日本の労働人口が減少し続けるのは冒頭に述べた通り変えられません。だからこそ一人あたりの生産性を向上し、少ない人手でも大きな利益を得られるような業務効率化の仕組みづくりを重視すべきです。

人手不足を解消する業務効率化の方法


ここからは、将来的な労働人口減も見込んだ、業務効率化の方法やポイントについて解説していきます。具体的なステップは、「業務の見直し」「業務プロセスの改善方法を決定」そして「社員のマルチスキル化」の3つです。

業務の見直し

日頃行っている業務の中には、行わなくてもよいような仕事が含まれている場合があります。能力がある社員は処理能力に優れているため、ムダな業務まで抱え込み、人一倍大きな負担を抱えてしまっているかもしれません。日頃の業務を見直し、どの社員も問題がない状態で仕事を進められるようにすることが大切です。

そのために、まずは「誰が」「いつ」「どんな業務を」「どの程度抱えているのか」を洗い出し、ムダや無理が無いか確認します。特定の人に業務が集中している場合は、業務プロセスの中にボトルネックが発生していないかどうかも見落とさないようにしてください。

もしも不要な作業が判明したら、思い切って削除します。このとき、「必要だからやっているに決まっている」という思い込みは厳禁です。例えば、慣習的に作成しているだけの形式的な報告書やデータは無いか。「ルールだから」というだけの理由で行われている会議体は無いか。あるいは、複数の人が同一の業務を行っていることはないかなど、あらゆる視点で吟味をしましょう。

業務プロセスの改善方法を決定

ムダ・無理のある業務を洗い出したら、次にそれらの業務プロセスを改善します。不要な手順を省き、最も効率的なやり方に最適化するのです。
方法としては、以下のようなやり方があります。

1.ITツールを導入して業務を自動化する

多くの方が真っ先に思いつくのが、ツールの導入かもしれません。代表的なのは、「クラウド型の営業支援システム」や「経理の電子化」などです。毎日行っている仕事の中にはやり方が決まっている単純作業の定型業務が含まれていますから、まずはこれらの業務の自動化がおすすめです。導入の際は、各業界の業務内容に適したものを選びましょう。

2.外注・アウトソースする

外注やアウトソーシングを活用すると、社員がこなすべき業務を減らせます。職場環境の改善に向けて、アウトソーシングを検討してみましょう。ほかにもアウトソーシングを行うメリットは「社員が産休や介護休暇などの一時的な職場離脱をした場合も対応できること」「業務の引き継ぎが発生しないため、人材が退職した場合の影響がないこと」などが挙げられます。また、時期による業務量の変化や一時的な受注の増加などにも柔軟に対応しやすくなるでしょう。

3.マニュアル化する

実は1や2よりもスタートしやすいのが、業務のマニュアル化です。日々の業務内容やその手順をわかりやすく可視化することで、誰でも同じように、効率良く業務をこなせるようになります。マニュアル化はツール導入やアウトソースをする際にも有効です。システム上でどんな操作をするのか、他社に依頼するときはどんな手順を取るべきなのかを明らかにしておけば、相乗効果で業務効率化が進みます。言ってみれば、「最適な業務のやり方を考える」というプロセスの中で、マニュアル化は欠かせないものなのです。

社員のマルチスキル化

ここまでの手順でも業務効率化は適切に進められますが、より一層社員の生産性向上を目指すなら、マルチスキル化(多能工化)が必須です。マルチスキル化とは、一人の社員が異なる複数の業務をこなせるような状態のこと。「どんな業務にも対応できるスーパー社員」を育てるわけです。

マルチスキル化を進めると、繁忙期など仕事状況に応じて、限られた人材を柔軟・適切に配置できます。例えば育児休暇などで欠員が出た場合も、社内のメンバーが業務を補完し合えるでしょう。
また、社員自身のスキルアップを図れるのも大きなメリットです。マルチスキル化によって習得したスキルに応じた評価制度を設ければ、モチベーションアップにもつながります。

マルチスキル化を目指すには、やはり業務のマニュアル化が第一歩です。マニュアルを基に正しい業務手順を短期間で学び、スキル習得を図れるようにしましょう。

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【成功事例】人手不足の企業が行った対策


人手不足に悩む企業はさまざまな対策を行っていますが、期待した効果が出ている企業もあれば、そうでない企業もあります。人手不足の対策をする際には、自社と似たような問題を抱えている企業の「成功事例」を学びながら、どのような対策が自社にとって効果的なのかを考えることが大切です。ここでは、3つの企業の成功事例をご紹介します。

ヤマトホールディングス(運輸業)

ヤマトホールディングスはデリバリー事業を中心にサービス提供をしている企業です。アマゾンなど通販での購入が広まったことで、業務に携わる人手不足がクローズアップされてきました。

同社は人手不足の対策として定年を65才まで伸ばし、さらにITの仕組みを取り入れて荷物情報を全てデジタル化しました。社員に長く働いてもらうだけではなく、デジタル化することで情報の流れを可視化できるようにして、より効率的に集配できるような体制を作ったのです。IT化を推し進めたことで業務は大幅に効率化され、限られた人材でより多くの集配ができるようになりました。

セブンイレブン(コンビニ・小売業)

セブンイレブンは24時間営業という体制を続けてきましたが、人手不足が加盟店の大きな負担となっていました。人手不足の対策として、セブンイレブンはセルフレジや新検品システム、AIによる発注など、業務のIT化を推し進めています。コンビニ運営において必要な作業をできるだけIT化することで、限られた人材で今まで通りの業務を負担なく行えるようになっています。また、人手不足に加えて加盟店オーナーの高齢化も問題になっていますが、人材の高齢化に対しても業務のIT化は効果があると考えられています。

スシロー(飲食・外食産業)

スシローでは新しい技術の導入を行うことで、アルバイト不足への対策を行っています。スシローが新たに導入した「レーンの上部に取り付けたカメラ」によって客が取った皿を識別し、料金を自動で計算してくれます。このシステムのおかげで、会計ごとにスタッフが席に行く必要がなくなり、客も食事が終わればすぐにレジに直行できるようになりました。また、持ち帰り用の寿司のために宅配ボックスのようなロッカーが設置され、注文時に送られてきたQRコードをかざせばスタッフを介さずにお寿司を受け取れるような仕組みも導入されています。これらの対策により、アルバイト不足であっても少ないスタッフで営業できるようになり、人材不足の影響を受けない経営が可能となっています。

しまむら(アパレル・小売業)

慢性的な人手不足に悩まされている業界のひとつが、アパレルです。そんな中、しまむらは業務マニュアルを基盤としたローコストオペレーションを実現し、人手不足を補っています。マニュアル作成のポイントは、徹底的にムダを省き、「標準化」と「合理性」を追求していることです。また、社員からの改善提案を募り、マニュアルを毎月更新。改善した内容を社内浸透し、業務効率をアップデートし続けています。これによって同社は、少人数での店舗運営が可能となりました。マニュアルの力を徹底的に活かし、最小限の人材で最大限の成果を上げているのです。

マニュアル化は人材不足対策の第一歩としてはベスト!

これらの企業のように、慢性的な人材不足の中でも業績を上げられるような仕組みを構築することは、企業経営において重要です。

人材不足対策で成功している方法としては、IT化や業務の効率化などがありますが、IT化はシステム導入のためにある程度の期間が必要です。また、まとまった額の初期投資が必要な場合があり、今すぐできる方法とはいえないため、まずは業務の効率化を行うべきであるといえます。

業務の効率化で、一番はじめやすいことは業務のマニュアル化です。マニュアルを作る過程で「業務を把握する作業」を行いますので、一番無駄がない効率的な業務の方法を改めて考え、確立することができます。

また、マニュアルがあればその仕事を誰でも行えるようになるので、社員が産休などで一時的に離脱した場合でも、他の社員が柔軟に対応することができます。マニュアルは誰にとってもわかりやすい、シンプルなものでないと意味がありません。そこで、マニュアルを作成する際には、業務マニュアルツールソフトである「Teachme Biz」の利用がおすすめです。

「Teachme Biz」を使えば簡単にマニュアルを作成できるため「マニュアル作成」に余分な時間や手間をかける必要がありません。また、作成したマニュアルはスマホやタブレットなど様々なデバイスで簡単に共有することができるため、オンライン環境さえあれば多くの社員がマニュアルを共有することができるというメリットがあります。

まとめ

多くの企業に人手不足の波が押し寄せていますが、今回お伝えしたような対策を行えば、社員の負担を抑えながら業務を効率的に進めていくことができます。人手不足の対策の中でも、業務のマニュアル化はすぐに行うことができる方法としておすすめです。

「マニュアル化といっても、どうやって作ればいいのかわからない」という方は、ぜひ「Teachme Biz」を利用してみてください。簡単にマニュアル化した業務を資料にまとめることができますし、作成した資料はクラウドを介していつでもどこでも社員と共有できるので、社内浸透も容易です。

業務マニュアルを作ることは業務の一つひとつに対して「社内でするべき仕事かどうか」「業務の進め方は効率的か」を再検証するきっかけにもなります。この機会に、人手不足対策として「Teachme Biz」を利用したマニュアル作成を行ってみてはいかがでしょうか。

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