ギグワーカーとは? 意味やフリーランスとの違い、メリット・デメリット

最終更新日: 2023.08.24 公開日: 2023.03.31

ギグワーカー

「ギグワーカー」は、個人がインターネットを介して仕事を受注する働き方で、近年急激に普及しています。企業にとっても気軽に人材を確保できる手段となり得るため、活用を検討しているという方も多いでしょう。

そこでこの記事では、ギグワーカーの働き方の特徴や活用のメリット・デメリットを詳しく解説します。

ギグワーカーの意味とは

「ギグ」とはもともと音楽業界で使われていた用語で、ミュージシャンがライブハウスなどで行う一度限りのセッションのことを意味します。

この「ギグ」に「ワーカー(労働者)」を組みあわせて作られた造語がギグワーカーです。ギグワーカーは企業と直接雇用契約を結ばず、あたかも即興のセッションのように単発で仕事を請け負います。

ここではまず、ギグワーカーが社会に普及した背景や具体的な仕事例などを知り、理解を深めましょう。

ギグワーカーが広まった背景

ギグワーカーが広まった背景としては、主に以下の3点が考えられます。

  • 副業の解禁
  • 雇用への不安
  • プラットフォームの普及

副業の解禁

ギグワーカーが広まった背景に働き方改革があります。2017年3月に閣議決定された「働き方改革実行計画」により、副業を含む柔軟な働き方を実現するための環境整備が目標に掲げられ、大手企業を中心に副業が認められるようになりました。

さらに2018年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、2020年9月と2022年7月に改定されました。同ガイドラインには国として副業を促進することが明記されています。

こうした社会情勢の変化もあり、現在、空き時間を利用してギグワーカーとして活躍する人が増加しています。

雇用への不安

2020年ごろから続く新型コロナウイルス感染拡大による雇用への不安も、ギグワーカー普及の追い風となっています。

世界的な労働環境の悪化から、雇用される人の多くは休職や給与ダウンを余儀なくされました。その結果「ひとつの収入源だけに依存するのは不安」「今のままでは生活が成り立たない」と感じ、ギグワーカーを始める人が増えたと考えられます。

また、企業側も雇用人数を減らし、新たな採用も見送らざるを得ない状況に陥りました。そのため、必要なときに必要なだけの仕事を依頼できるギグワーカーは戦力として重宝されています。

プラットフォームの普及

ギグワーカーと企業をつなぐ役割を担うプラットフォームの普及も、ギグワーカーが広まってきた要因のひとつです。エンジニアやクリエイター、接客・サービス、ポスティングなどさまざまな仕事を扱うプラットフォームがあります。

とくにフードデリバリー業界での普及は著しく、「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「出前館」といったサービスはすでに日常に浸透しつつあると言っても過言ではありません。

それに伴い配達員の数も増加しており、正確な数字は発表されていないものの、現在業界全体では20万人を超えるとされています。

ギグワーカーの主な仕事例

ギグワーカーの身近な例としては、「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が挙げられます。一度は耳にした方や、実際に使った経験のある方も多いのではないでしょうか。

Uber Eats(ウーバーイーツ)は、近年急激に広がったフードデリバリー代行サービスです。飲食店がアプリを通じて注文を受けると、事前に登録していたギグワーカーが配達を請け負うというシステムで、飲食店と配達員は直接雇用契約を結びません。

この他にも、Webデザイン、ライティング、軽貨物の配達や家事代行など、現在ではさまざまな場所でギグワーカーが活躍するようになっています。

ギグワーカーとフリーランスの主な違い

ギグワーカーと混同しがちな就労形態に、フリーランスがあります。

企業に属さない働き方として、近年両者とも注目を集めていますが、請け負う仕事や受注方法に異なる点も存在します。

ギグワーカーの活用を検討しているのであれば、フリーランスとの違いを明確にしておきましょう。

短期の仕事を行うことが多い

ギグワーカーとフリーランスでは、請け負う仕事の継続性に違いがあります。

ギグワーカーが請け負うのは、数時間から数日で完了する、ごく短期間の仕事です。

一方フリーランスは、ごく短期の仕事から数か月~数年単位での継続性の高い仕事まで、さまざまなスパンで委託を受ける場合があります。

Web経由で仕事をもらうことが多い

ギグワーカーが仕事を受注する場合、基本的にはWeb上のプラットフォームを利用します。企業とワーカーのやり取りはオンラインで行い、両者が直接顔を合わせることはありません。

しかし、フリーランスはインターネットに加え、人脈や営業で直接仕事を受ける場合もあります。

難易度の低い仕事が多い

ギグワーカーが請け負う仕事は、基本的に難易度が低いものが多い傾向にあります。単発での依頼が基本であるギグワーカーの仕事は、同一の仕事でも毎回依頼先が異なるケースも少なくありません。そのため業務に関する説明の手間を極力省くため、専門知識や高いスキルが必要ないものが中心に割り振られます。

フリーランスの場合、請け負う仕事の難易度は低いものから高いものまでさまざまです。とくに企業側にノウハウのない仕事を受注する場合は、専門的な知識が必要とされるケースもあります。

ギグワーカーを活用する企業側のメリット

ギグワーカーは新しいスタイルで仕事を行う労働者です。上手に活用することで、企業側にもこれまでにない新しいメリットが生まれます。

ここではギグワーカーを活用することで企業側に生じるメリットについて解説します。

採用コストを削減できる

ギグワーカーを活用すると、採用にかかるコストを最小限に抑えられます。

一般的に正社員の採用活動では、費用をかけて募集を行い、選考や契約、教育にも大きな時間を費やします。企業に属し継続的に仕事を行う人材を育てるためには、1度の採用ごとにまとまった広告費や人件費が必要です。

しかしギグワーカーの仕事は専門性が低く単発のケースが多いため、選考や教育に大がかりな時間やコストをかける必要はありません。そのため、企業の負担を最小限に抑えながら人材確保が可能です。契約までの時間もかからないので、スピーディーに業務を開始できる点もメリットのひとつです。

また、余った予算や時間を通常の採用活動に充てれば、より効率よく優秀な人材確保が実現できます。

幅広い人材にアプローチできる

ギグワーカーは短期的かつ難易度の低い仕事を任されます。仕事量や時間にも融通がききやすいため、対応できる人材の幅が広がることもメリットとして挙げられます。

たとえば育児や家族の介護などで一時的に長時間の勤務ができないものの、仕事に関する経験や能力は十分に備わった人材が埋もれていることもあります。こうした人材に光を当て活躍の場を与えることは、優秀な人材の発掘にも役立ちます。またギグワーカーにとっても収入が得られることがメリットとなり、win-winの関係が築けます。

個別の仕事を依頼できる

必要なときに必要なだけの仕事を個別で依頼できるのも、ギグワーカーを活用するメリットです。

業種によっては繁忙期と閑散期の差が激しく、忙しいからと人を雇ったものの、ある時期を過ぎると仕事がなくなってしまうということもあるでしょう。しかし雇用主の都合で勝手に解雇するのは違法なため、仕事はないのに給与だけは払い続けるという事態にもなりかねません。

その点、ギグワーカーには個別で仕事を発注します。仕事がない時期には利用を控えれば、人件費の大幅な削減も可能です。

また能力の高い人材に出会えた場合、定期的にやり取りすることで質の高い仕事を安定的に任せられるようになるでしょう。

ギグワーカーを活用する企業側のデメリット

メリットの多いギグワーカーですが、ごく短期的に社外へ仕事の一部を委託するというスタイル上、いくつかのデメリットも存在します。

活用を検討する場合は、デメリットも把握しておき、発注後のトラブル回避を心がけましょう。

社内に知識やスキルが残らない

ギグワーカーはあくまで社外委託です。そのため、依頼した仕事に関する知識やスキル、ノウハウを社内資産として残すことはできません。もし同じような仕事が発生した場合、新たな委託先を探すか、一から社内でノウハウを蓄えていく必要があります。

このように、時間やコストをかけず簡単に仕事を依頼できるというメリットが、長期的に考えるとデメリットにつながる可能性がある点には注意しましょう。

ギグワーカーに発注する仕事を選定する際には、その業務のノウハウが今後社内でどの程度必要であるかを考慮しておくと、トラブルや二度手間の回避に役立ちます。

情報漏洩のリスクがある

ギグワーカーに依頼する仕事は単発・短期間のものが多いとはいえ、情報漏洩のリスクがゼロというわけではありません。

企業はギグワーカーに対しての事前教育にあまり時間をかけないため、すべてのギグワーカーにセキュリティーリテラシーがあるとは限らないからです。もし何の対策もしていなければ最悪の場合、外部に知られたくない機密情報や重要な情報が漏洩してしまうおそれもあります。

お互いに気持ちのよいやり取りをするためにも、企業はギグワーカーに仕事を依頼する際には、セキュリティ対策を講じておくことが必要です。

品質のコントロールが難しくなる

短期的に複数のギグワーカーに仕事を依頼する場合、品質にばらつきが出ることがあるのはデメリットのひとつです。

企業がギグワーカーを募集・採用する際のやりとりは、基本的にWeb上で行います。そのため、各ギグワーカーのスキルの高さを正確に把握できないままに仕事を任せてしまいがちです。

その結果、ワーカーごとのクオリティ差が発生し、安定的な品質を達成できないおそれがあります。

ギグワーカー活用における失敗しないためのポイント

いくら専門性の低い業務を依頼するとはいえ、ギグワーカーの仕事がトラブルに発展すれば、企業にとっても思わぬ不利益となりかねません。

ギグワーカーの活用を成功させるためには、以下の2つのポイントを押さえておく必要があります。

  • ギグワーカーに合った仕事の内容や活用のメリット・デメリットを把握しておく
  • 自社の業務を依頼する際に、仕事の内容やセキュリティ対策などを文書化しておく

ギグワーカーの活用にはメリットとデメリットの両方が存在します。それぞれをきちんと把握し、自社の業務のどの部分までを依頼するのかについて、あらかじめ決めておくとよいでしょう。

また、教育に時間をかけられないという特性上、依頼時に仕事内容やセキュリティに関する決めごとを明文化し、企業とギグワーカーが共有しておくことは、トラブル回避のために極めて重要です。

株式会社スタディストが展開するサービス「Teach me Biz」を利用すると、写真や動画を用いた分かりやすいマニュアルをクラウド上で簡単に作成・運営管理できます。また作成したマニュアルはネットを介して簡単に閲覧できるので、企業とギグワーカーが業務に関する必要事項を共有するのに役立ちます。

まとめ

ギグワーカーは、企業に属することなく個人で単発的な仕事を請け負う労働者のことです。必要なときに必要なだけの人材を効率よく確保できるとして、現在多くの企業で活用する場面が増えています。

コスト面の優位性や使い勝手のよさから、企業にとって大きなメリットが期待できるギグワーカーですが、無計画に利用するとかえってトラブルの原因にもなるので注意が必要です。

とくに、採用から業務開始までの期間が短いギグワーカーは、教育面で十分なフォローがしにくいというデメリットがあります。事前に委託する仕事内容を精査する、業務のマニュアル化を進めるなどの工夫をすることで、トラブルを回避し効果的な活用を目指しましょう。

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