デリゲーションとは?基礎知識や正しい任せ方、成功のポイントを解説

部下に仕事を任せたいと思っても、「どこまで任せてよいのかわからない」と悩みを抱える管理職やリーダーは少なくありません。そこで求められるのがデリゲーション(権限委譲)です。適切なデリゲーションは、部下の成長や生産性の向上につながります。

この記事では、デリゲーションの基礎知識や具体的な進め方、成功させるためのポイントを解説します。よくある失敗例とその対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

デリゲーションとは?

デリゲーション(delegation)とは、上司が部下に仕事を任せる際に、業務の実行だけでなく、必要な権限や判断範囲もあわせて委ねることを指します。日本語では「権限委譲」と訳され、組織運営において重要なマネジメント手法のひとつです。

単に業務を割り振るだけでは、デリゲーションとはいえません。業務の目的や期待する成果、どこまで判断してよいのかを明確にしたうえで任せたとき、はじめてデリゲーションが成立します。

デリゲーションの目的

デリゲーションの目的は、 判断や役割を部下に分配し、組織全体がスムーズに動く状態をつくることです。具体的には、次のような効果が期待できます。

  • 判断がひとりに集中するのを防ぐ
  • チーム全体の生産性を高める
  • リーダーが本来注力すべき業務に時間を使えるようになる

デリゲーションの本質は、「意思決定の権限を適切に分けること」です。最初は教育や引き継ぎに時間がかかりますが、段階的に任せていくことで、業務全体が安定します。

デリゲーションは、個々の力を引き出し、チームを強くするために欠かせないマネジメントスキルといえるでしょう。

デリゲーションがチームにもたらす変化

デリゲーション導入による変化

デリゲーションを適切に行うと、チームは指示をまつだけの状態から、一人ひとりが考えて動く組織へと成長します。その結果、次のような変化が期待できるでしょう。

  • 部下の主体性が高まる
  • 挑戦しやすい雰囲気が生まれる
  • 上司が不在でも業務が進みやすくなる

デリゲーションが根づいたチームでは、リーダーは日常の細かな作業から解放され、チーム全体の方向づけや育成、リスク管理といった本来のマネジメント業務に注力できます。チームとしての安定性が高まり、結果としてパフォーマンス向上につながります。

デリゲーション・エンパワーメント・マイクロマネジメントの違い

デリゲーションと混同されやすい言葉に、エンパワーメントやマイクロマネジメントがあります。各用語の違いを整理し、比較できる表形式にまとめました。

手法 デリゲーション エンパワーメント マイクロマネジメント
特徴 目的・成果・判断範囲を明確にし、業務を委ねる 広い裁量を与え、自律的な行動を促す 進め方の細部まで指示・監視する
リーダーの関与 適切なタイミングでサポート、評価、フィードバックを行う 部下を信頼し、自ら意思決定できる環境を整備する 常に過剰に関与し、業務を管理する
主な影響 組織全体の主体性と生産性が高まる 個人の潜在能力が引き出され、自律的な組織文化が育つ 組織の自律性が失われ、成長が止まる

デリゲーションは、業務の判断を相手に委ねる手法です。一方、エンパワーメントは、自律的な組織風土を作り上げることを指します。マイクロマネジメントは、部下へ過剰に関与することであり、避けるべき手法です。

デリゲーションの進め方5ステップ

ここでは、デリゲーションを効果的に進めるための5つのステップを紹介します。部下にうまく業務を任せるためにも、適切な順序で進めていきましょう。

1.任せる業務を選ぶ

まず、部下に任せる業務を選びます。成長につながるかを考え、最適な業務を見つけましょう。

定型業務や部下が得意な業務、すぐにフォローしやすい業務がおすすめです。やや難易度の高い業務も、きちんと段階を踏めばよい経験になります。組織の方針決定や評価など、管理職としての権限が必要な業務は避けてください。

2.部下の力量を見て任せ方を決める

任せる業務を決定したら、誰にどこまで任せるかを考えます。 任せ方は、部下の力量を見て決めましょう。

まだ経験が浅い人には、進め方を丁寧に教えます。経験を積んでいる部下には、目的と期限だけを共有し、進め方は任せると成長につながるでしょう。相手をよく見て、バランスよく任せていくことがポイントです。

3.目的・権限・責任を明確にする

担当者と任せる業務が決まったら、目的・権限・責任の認識をすりあわせます。

とくに共有したいのは、「何を目指すのか」「どこまで判断してよいのか」です。期待する成果や守るべきルールを、事前に確認しておきましょう。内容は文章で残し、いつでも確認できる状態にしておくと安心です。

4.報連相と介入のルールを定める

業務を任せた後の動きも、事前に決めておきましょう。

進捗は定期的に共有してもらい、状況を把握できるようにしておきます。あわせて、「どのようなときに相談するか」も明確にします。判断に迷ったときや遅れが発生しそうなとき、問題が起きそうなときは、早めに共有するよう伝えておきましょう。

業務を任せた後は、適度な距離感で見守ります。必要以上に干渉せず、判断を尊重する姿勢を意識しましょう。

5.評価とフィードバックを行う

任せた業務が終了したら、必ず振り返りの時間を設けます。デリゲーションを実りあるものにするためにも、評価とフィードバックを丁寧に行いましょう。

評価では、結果だけでなく取り組みの過程にも目を向けます。よかった点は具体的に伝え、仮に失敗があっても原因や改善点を一緒に確認し、次にどういかすかをフィードバックしましょう。

デリケーションの成果として、フィードバックの内容をマニュアル化して共有しましょう。「Teachme Biz」なら、素早いマニュアル作成と共有が可能です。
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デリゲーションを成功させるためのポイント

ここでは、デリゲーションを成功させるためのポイントを解説します。部下を成長させるために、成果につながるデリゲーションのコツを確認しましょう。

目的と成果を最初に共有する

デリゲーションで重要なのは、業務の目的と記載する成果を最初に共有することです。

単に作業を任せるのではなく、なぜその業務が必要なのか、どの状態をもって完了とするのかを明確に伝えましょう。背景や狙いが共有されていれば、部下は自ら判断できるようになり、スムーズに業務を進められます。

部下が自らの言葉でゴールを説明できるまで、しっかりとすりあわせを行いましょう。

権限や判断基準を明確にする

業務を任せるときは、あらかじめ権限の範囲と判断基準も明確に定めます。責任の所在が曖昧では、細かな確認や相談が頻発し、共同作業になるおそれがあります。

どこまでを部下の裁量に任せ、どの段階で報告を求めるかを具体的に決めておきましょう。判断基準がはっきりすれば、部下は迷わず行動でき、意思決定もスムーズに行えます。適切な距離感を意識し、部下が主体的に行動できる環境を整えましょう。

サポート体制を整える

部下が安心して業務に取り組めるよう、万全なサポート体制を整えましょう。必要な情報は過不足なく共有し、いつでも相談に応じられるようにします。

最終的な責任はマネージャーが負うことを示すのも重要です。「失敗しても大丈夫」という安心感があってこそ、部下は前向きに挑戦しやすくなります。万が一の事態にも寄り添うつもりで、部下の成長を力強く支えましょう。

進捗を把握できるようにする

デリゲーションを行う際は、進捗を確認できる仕組みを整えることも重要です。業務の状況をできる限り可視化し、どの段階でマネージャーが介入するかも事前に決めておきます。

状況が正しく共有されていれば、過度な干渉を避け、部下の主体性を尊重したデリゲーションが可能です。適切な距離感を保ちながら、部下が成果を積み上げられる環境を整えてください。

成長を評価し、信頼を築く

デリゲーションを行った後は、成果だけでなく、部下の成長や判断力の変化にも目を向けましょう。 任せた業務を通じて、どのように考え、どのような行動を取ったのかを振り返ることが重要です。

振り返りでは、よかった点や工夫した点を具体的に伝えます。本人が気づいていない成長を言葉にすると、自信につながるためおすすめです。進め方や判断のプロセスのフィードバックを行い、部下との信頼を築いていきましょう。

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ツールを活用する

安定したデリゲーションを行うには、ある程度業務の仕組みを整えておくと効果的です。 とくに、業務手順や判断基準を整理したマニュアルがあると、任せる側の負担が減り、受ける側も迷いなく着手できます。

マニュアル管理システムやタスク管理ツールを活用し、いつでもデリゲーションを実践できる環境を作り上げましょう。

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デリゲーションの失敗例とその対処法

ここでは、デリゲーションで起こりやすい失敗とその対処法を紹介します。失敗を未然に防ぐためにも、あらかじめ確認しておきましょう。

権限と責任が曖昧なまま任せてしまう

デリゲーションのよくある失敗が、判断範囲や責任の所在を決めないまま業務を任せてしまうケースです。 この状態では、部下は「どこまで自分で決めてよいのか」がわからず、判断に迷ってしまうでしょう。

対処法として、業務ごとに任せる範囲を明確にしておくことが重要です。「書類作成は任せるが、最終提出前には必ず確認する」など具体的に伝えるとよいでしょう。

実行は部下が担い、最終的な責任は上司が負うことを明確にすると、部下は安心して行動できます。

成果や判断基準を共有せずに任せてしまう

デリゲーション時に成果のクリア基準が共有されていないと、手戻りが発生しやすくなります。 上司の中にある合格ラインは、言葉にしなければ部下には伝わりません。

こうした失敗を防ぐためにも、依頼時に求める成果や守るべきポイントをしっかり伝えましょう。あわせて「この段階で一度確認する」といった簡単なチェックポイントを設けておくと安心です。

部下との認識のズレを早い段階で防ぐことが、デリゲーションの成功につながります。

部下の力量や業務の難易度を見誤っている

相手の経験やスキルにあわない任せ方も、デリゲーションがうまくいかない原因です。 本人にとって難しすぎる業務は負担になり、簡単すぎる業務は成長の機会を奪ってしまいます。

こうしたミスマッチを防ぐには、業務の難易度と本人の力量を見極めることが重要です。業務を任せてすぐは丁寧にサポートし、慣れてきたら徐々に任せる範囲を広げるとよいでしょう。

丸投げもしくは過干渉になってしまう

業務を任せきりで放置してしまうことや、心配のあまり過干渉してしまうことは、どちらもデリゲーションの失敗につながります。業務を任せた後に一切関わらないと、深刻な問題が起こるリスクがあります。反対に進捗を細かく確認しすぎると、部下の主体性を損ねてしまうでしょう。

こうした状態を防ぐには、進捗確認が自然に行える仕組みを用意しておくことが重要です。あわせて、「この段階で一度相談する」といった確認のタイミングも決めておきましょう。

任せることと見守ることの適切なバランスが、デリゲーションの成功につながります。

評価とフィードバックが不足している

デリゲーション終了後、評価やフィードバックが不足していることも、失敗の原因になります。振り返りの機会がないと、部下は何が評価され、どこに改善の余地があるのかがわからす、成長の機会を逃してしまいます。

デリゲーション後は、最終的な成果だけでなく、その過程での判断や工夫にも目を向けましょう。「表やグラフで整理した点がわかりやすかった」「早めに相談した点が助かった」と具体的に伝えると、学びが明確になります。

まとめ

デリゲーションとは、単に作業を割り振ることではなく、判断する機会を部下に委ねることにあります。

相手の力量や経験に応じて任せる範囲を決め、進捗が把握できる仕組みを整えましょう。デリゲーションが成功すると、リーダーの負担は自然と軽くなり、部下が自律的に動けるチームへと変わっていきます。まずは部下を信頼して、仕事を託すところからはじめてみてください。

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