業務棚卸は何をする? 進め方や活用できるフレームワークなどをご紹介!

最終更新日: 2024.05.15 公開日: 2024.03.15

業務棚卸は何をする? 進め方や活用できるフレームワークなどをご紹介!

社内で行われている業務の内容や工数をくまなく洗い出す「業務棚卸」は、報告業務にコストをかけてでも行う価値のある作業とされています。そこで本記事では、なぜ今この業務棚卸が注目されているのか、その意義を解説するとともに、実際の進め方や活用できるフレームワークを紹介します。


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業務棚卸とは?

業務棚卸とは、部署単位の仕事から個々人の仕事まで、社内で取り組まれている業務をすべて洗い出すことです。業務の内容や、それに伴うコストを可視化することを目的としています。

例えば、同じ時間働いている従業員同士であっても、業務の内容や量、難易度は異なります。そこで業務棚卸をすることで、各従業員が遂行した業務について、実態の把握が可能になります。

従業員の取り組む業務の内容を「見える化」することで、業務上非効率となっていた箇所を改善し生産性の向上につなげるとともに、個々の人材の評価や育成効果が期待できます。

なぜ業務棚卸は注目されるようになった?

それぞれの従業員や部署が行っている業務内容を正しく把握するための業務棚卸ですが、近年では次のような理由により、その効果が注目され始めています。

新しい働き方が浸透してきた

毎日従業員が職場に直接出社し、担当する業務を行うのが、これまでの一般的な働き方でした。しかし、新型コロナウイルス感染症が流行したことで、ビジネスの場においても新しい働き方が求められるようになりました。具体的にはテレワークや在宅勤務など、従業員が職場に直接赴かない、ネットワークを通じての業務の遂行です。

通勤時間を節約できる新しい働き方が浸透した反面、職場の上司やリーダーにとっては、担当部署のメンバーと直接顔をあわせられず、それぞれの業務実態が把握しづらくなってしまったという状況が発生しています。そこで、個々の従業員が担当する業務の内容や遂行状況などを明確にしておくために、業務棚卸の必要性が高まっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている

DXとは、デジタル技術の活用によりビジネスモデルを変革し、企業の競争優位性を高める一連の取り組みを指します。近年のビジネスの舞台においては、デジタル環境への変化に企業レベルでいち早く対応し、市場における競争力を高めることが求められています。2023年10月には、デジタルを最大限に活用して社会変革を実現するために、「デジタル行財政改革会議」の発足が閣議決定されるなど、国レベルでDXが推進されています。

例えば、これまでは業務上必要な書類の整理や捜索、スペースの確保が業務上のボトルネックになっていました。しかし、デジタル技術を用いて書類を電子データ化し保存することで、職場のペーパーレス化や省力化が図れます。社内外の問い合わせに関しても、チャットボットで無人化して労力を削減できる場合があります。

DX推進の潮流にあわせてAIを活用することにより、業務の効率化と省力化を図れるようになりました。そこで、これまで人手がかかっていた業務に関して、AIによる自動化が可能か洗い出すためにも、業務棚卸が注目を集めています。

働き方改革が進められている

2019年以降、厚生労働省の宣言した「働き方改革」の推進により、労働に関する法律も様々な改正が進められています。また、働き方改革やコロナ禍の影響により、テレワークや自由なシフトでの出勤といった、多様な働き方が求められるようになりました。

法改正による残業時間が規制されたことや、時短出勤などの事情により、これまで以上に業務の効率化が求められています。そこで、無駄になっていた作業を洗い出すために、業務棚卸によって業務内容を整理する必要があります。

業務棚卸の進め方

業務棚卸は、大まかに以下の5つの工程に沿って行われます。

1.目的と実施範囲を決める

業務棚卸をする前に、棚卸を行う範囲を明確化しておく必要があります。特に、組織が大きい場合や、棚卸が初めての場合は、全社で一度に棚卸作業を実施するのが難しいと考えられます。そこで、以下のように実施範囲を分割した上で、通常業務に影響が出ないように、優先度の高いものから棚卸を実施していくのがおすすめです。

  • 各部門や部署など、組織分けをした上で棚卸を行う
  • 作業の種類や業務フローに分けて、それぞれの業務の棚卸を行う
  • 業務の優先度や懸念されるリスク、作業の難易度といったもので分類し、棚卸を行う

2.どのような業務があるか書き出す

棚卸に際して、どのような業務内容があるかといった作業の分類や、かかった時間(工数)などを記載してもらうために、各項目を記載するためのフォーマットや入力ルールを作成しておきましょう。

フォーマットが作成できたら、各担当者に業務内容や発生した作業について記入してもらいます。このとき、記入してもらう内容は次のとおりです

  • 発生した業務の分類(種類)や名称
  • かかった業務量(時間・コスト)
  • 業務の発生頻度(日常的か、たまに発生するのかなど)
  • 業務の難易度(必要とされるスキル・知識など)

記入する内容について詳細に記す必要はなく、メモ程度で問題ないので、各部門や部署で行われている業務や作業を可能な限り可視化できるようにしてください。

3.業務棚卸表に記入する

各業務担当者に記入してもらった作業内容を、業務棚卸表に転記して集計します。

その際、作業の規模に応じて大分類(経理作業など、企業内で共通して実施される業務)、中分類(部門、部署間で共通して遂行される業務)、小分類(個人ベースで行われる作業)の3つにグループ化した上で集計してください。

作業の分類に関しては、個人ベースから作業内容を洗い出していきます。そして、部署ごとに集約されるものは中分類、企業内で共通化されているものは大分類にするなど、まとめられるものについて統一化していきます。

棚卸の担当者は、このとき報告された作業内容に遺漏がないかなど、忘れずチェックするようにしましょう。

4.業務量調査を実施する

業務棚卸表から、各業務にかかっている時間・工数を集計します。どの業務や作業にどれだけの時間がかかっているのか、細かい分類に分けて記入してください。それにより、各業務の一度の遂行にかかる時間や発生頻度、年間業務量などを算出できます。

また、業務量の調査方法として、「実測法」という手段もあります。これは、現場で行われている業務に関して、実際に担当者のモニタリングにより作業量(かかった時間)を調べる方法です。各作業者から報告のあった作業について、かかった実時間を求められます。ストップウォッチでの実測も可能ですが、定型化しているタスクについてはITツールで作業時間を収集するのも手です。

5.対策を検討・実施する

業務量の調査を通じて、業務の内訳やコストを分析し、それぞれの業務のスキルレベルや重要度を分析します。また、以下のような課題や問題点を見つけ出します。

  • 特定の人員や部署に業務が偏っていないか、もしくは余裕のある人員がいるのか
  • 業務内容が属人化していないか

課題や問題点を洗い出したあとは、優先度の高いものから対策を検討・実施します。そして実施後は効果検証を行い、PDCAサイクルに沿って継続的な改善に努めましょう。

業務棚卸に活用できるフレームワーク

業務棚卸に活用できるフレームワークについて紹介します。

国際基準にもなっているBPMN(ビジネスプロセスモデリング)

BPMNとは正式名称を「Business Process Modeling Notation」といい、ある業務の開始から終了までのステップをフローチャートで図式化し、各工程で発生する作業や成果を可視化したものです。また、業務の過程で「在庫不足」など特別な対応が必要となる場合があるときも、フローチャートにそのことを記入しておけます。

フローチャートの作成に関してはルールが共通化されているため、他部門や他部署の業務内容に関しても、完成したフローチャートを通じて把握しやすくなっています。そのため、業務棚卸を通して見つかった課題や問題点も、社内全体で共通して認識しやすいというメリットがあります。

BPMNによるフレームワークは、「業務の流れやフローが定例化していて、繰り返し発生することを前提としている」、かつ「複数の部署やチームにまたがって、複数の作業が同時に進行している」企業において、有効な手段となっています。

効率的な業務改善を実現できるECRS(イクルス)

ECRSとは、業務上の改善点を洗い出し、解決策を挙げるためのフレームワークであり、次の工程を示すアルファベットの頭文字から名称を取られています。

  • Eliminate(排除)
  • Combine(結合)
  • Rearrange(再配置)
  • Simplify(単純化)

ECRSのフレームワークにおいては、まず現状の業務について棚卸したあと、内容を分析し、無駄になっている作業やコストが過剰な作業を取り除いていきます。その後、業務棚卸表の中で重複している業務や、類似している作業内容をひとつのプロセスへ統合していきます。

業務棚卸を通して、作業のフローや人員の入れ替えなどで業務効率化を図り、場合によりDXで自動化ができる場所については置換するなど、業務の改善を進めていきます。

このようにECRSは、業務効率化を図る上で有効な手段です。

収益性の分析に役立つバリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、原材料の調達から生産を経て、完成した製品やサービスが消費者のもとに届くまでの一連の過程において、どこに・どのような(どれだけの)付加価値が発生しているかを評価する分析手法です。

バリューチェーン分析では、製品の製造やサービスの提供など直接的な販売フローは「主活動」、マーケティングや技術開発など、主活動をサポートする業務は「支援活動」と位置づけられます。

このように販売フローとサポート業務を構造的に分け、事業の工程で付加価値が発生する要素を可視化していくことで、自社のビジネスの強みや優位性を把握できるだけでなく、現状で発生している改善点や課題も見つけ出せます。

また、バリューチェーン分析に関しては、同業他社との比較検証によって、自社の強みや差別化ポイントを見つけ出すような分析手法も適用できます。

課題を整理して解決法を導き出すロジックツリー

ロジックツリーとは、ある事柄について問題や原因などをツリー状に書き出し、階層化して整理することにより、論理的に解決法を導き出す手法です。

複雑な問題や状況に関しても、各要素を分解して構造的に可視化できるので、すぐにボトルネックとなっている部分を捉えてメンバー全体で共有できます。ロジックツリー上の各要素の重要度を評価することで、優先すべき課題と後回しでよい課題の区別もつけられます。

ロジックツリーには以下のような種類があり、目的に応じて使い分けが可能です。

  • 要素分解ツリー(Whatツリー)
  • 「社内の売上」から「製品売上、サービス売上」のように、ある物事を構成している要素を分解して網羅することで、全体像を把握する手法。

  • 原因究明ツリー(Whyツリー)
  • ある問題が発生しているときに、思いつく要因をすべて書き出すことで、実際の原因を突き止め、解決のアプローチを探っていく手法。

  • 問題解決ツリー(Howツリー)
  • 問題の原因に対して、試みられるアプローチをリストアップし、その下部に具体的なアクションまで書き出していくことで、有効な手段を見つけ出す手法。

業務棚卸を円滑に行うには?

アプローチを定めて円滑に業務棚卸を行うためには、次のような点に留意して作業を進めることが大切です。

目的を明確にして共有する

実際に業務を遂行している従業員の立場からすると、業務棚卸は仕事の最中にわざわざ時間を割いてまでしなければならない報告業務です。明確な目的意識もなく、従業員も「業務内容を報告することで、さらに仕事が増えるのではないか」と疑心暗鬼のままでは、報告される業務実態について情報の精度が低いものとなる恐れがあります。

そこで、「業務棚卸を経て作業を効率化し、ボトルネックとなっていた箇所も改善して従業員の負担を減らす」といった具合に目的を明確化し、従業員に共有しましょう。業務棚卸も業務の一環であることを伝え、報告により改善につながった点などは正しく評価することで、従業員の協力を得られるような体制を築いてください。

業務マニュアルの作成も検討する

業務棚卸の際は、併せて業務に関するマニュアルの作成も検討してみましょう。業務棚卸によって、作業の全体像や各フローの詳細な内容、作業時の注意点などが可視化されているため、それらをもとにした質の高いマニュアルの作成が可能です。

作業のマニュアル化により、各作業の意義や目的について担当者が把握でき、トラブル発生時の判断の基準なども社内で共通化できます。さらに、それまで属人化していた作業についても手順をマニュアルで説明できるので、教育コストを削減しつつ作業の質も維持できるなど、引継ぎ業務が楽になります。

マニュアル作成にあたっては、「Teachme Biz」の活用がおすすめです。テンプレートに沿って動画や画像、文字などを入力するだけで、誰でも簡単にわかりやすいマニュアルを作成できます。業務棚卸の取り組みと併せて、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

業務棚卸を実施して働きやすい環境にしよう

社内の業務内容を可視化する業務棚卸によって、生産性の向上とボトルネックの改善効果が期待できます。業務棚卸を行う際は、業務改善の目的意識を従業員と共有した上で、社内の協力体制を構築することが大切です。

また、業務棚卸によって可視化された内容は、業務のマニュアル化にも役立ちます。質の高いマニュアルを作成できれば、さらなる生産性向上を図れる上、教材としても便利です。「Teachme Biz」のようにマニュアル作成を支援するツールもありますので、ぜひ検討してみてください。

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