士業向けマニュアルセミナーを開催しました @AppleStore,Ginza

公開日: 2014.12.02

「iPhoneとiPadの活用で大きく変わる士業ビジネス」

2014年12月1日(月)AppleStore銀座にて、「iPhoneとiPadの活用で大きく変わる士業ビジネス」を開催いたしました。予約受付段階から非常に多くのお申込みがあり、当日も多くの方々にご来場いただきました。
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士業を取り巻く環境とクラウドサービスの活用

はじめに一般社団法人士業ITアドバイザー協会代表/トリプルグッドグループ代表の実島誠さんより、士業ビジネスの動向とクラウドサービスの活用状況について講演いただきました。
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クラウドサービスを徹底活用して差別化を図る

実島誠氏(以下、実島)「1997年に税理士事務所を開業し、現在トリプルグッドグループでは税理士法人をはじめとして社労士、行政書士、司法書士、弁護士といった士業サービスをワンストップで提供しております。創業から15年で1400社超のクライアント、100人の社員を抱えるまでになっております。2014年度には「働きがいのある会社(99名~25名)」で第一位を獲得いたしました。

「成長」と「働きがい」を支えたのはクラウドサービスです。組織が成長していく過程では、どうしても社員の負担が大きくなります。そこでクラウドサービスを活用し、業務を標準化・効率化することが重要と考えてまいりました。

あらゆる情報が無料で手に入る、あらゆる情報機器がインターネットに常時接続される、誰でも安価に無限のコンピュータの力を活用できる、という3つの技術トレンドも無視できません。これまでは、専門家しか購読しないような業界特化の専門誌が情報の最先端でした。しかし、今では誰でもそのような情報が手に入ります。さらに、これまでIT活用=パソコン活用でしたが、スマホやタブレットがあれば現場仕事にもクラウドサービスが普及するのは間違いありません。

そのような状況において同業他社に対して差別化するには、最初にやる、追いつけないレベルまでやる、嫌がることをやる、という意識を持つことが重要ではないでしょうか。それを極めることでクラウドを独自の強み(USP)になります。」

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競争相手は同業他社だけではない

実島「今後は、同業他社との競争だけでなく機械との競争が避けられないでしょう。2000年から2006年のわずか6年間に「会計事務員」は30万人減ったと言われています。また、今後20年間の労働市場のあり方を予測したWall Street Journalの記事では、税理士の業務がIT化される可能性が99%であり、あらゆる702種の職種のうち8番目になくなる可能性が高い職種であるとも書かれています。いずれにせよ、記帳や仕訳といった単純作業が機械化されていくことは間違いありません。

そのような時代には、機械を使いこなす人に富が集中します。士業も例外ではありませんが、士業もクライアントもまだまだITを活用しきれていないのが実情です。

そこで「一般社団法人 士業ITアドバイザー協会」を2014年8月に設立いたしました。同協会は、士業がユーザーやファンとしてクラウドサービスをクライアントに提案していけるように、士業向けの勉強会やセミナーなどのサポートを行っています。そして、士業の生産性を向上させ、新しいビジネスモデルを構築し、ワークスタイルを変革していき、日本の中小企業を元気にしていくことを目指しています。」

厳選!クラウド経営推奨サービス

続いて、一般社団法人士業ITアドバイザー協会理事/チャットワーク株式会社常務取締役の山口勝幸さん、株式会社スタディスト庄司啓太郎より、士業ビジネスに役立つクラウドサービスの紹介がありました。

士業×クラウド

山口勝幸氏(以下、山口)「士業ビジネスに役立つ、クライアントのビジネスに役立つクラウドサービスもますます増えてきています。

クラウド型の会計システムは会計に関わる処理を自動化してくれます。名刺管理サービスは、名刺のデータ化だけでなく営業支援にも活用できます。クラウドソーシングを活用すれば、発注のあり方も大きく変わります。また、稼働状態の空いている全国の印刷機をネットワーキングして、安価にオンライン印刷できるサービスもあります。訪問型のスキャニングサービスを使えば、大量の紙も簡単にデータ化できます。

これらのサービスは、どれも非常に安価に誰でも利用できます。しかし、知っているか知らないか、使っているか使っていないかで、非常に大きな差が生まれてしまいます。」

次世代型のコミュニケーションを実現する”Chatwork”

山口「当社は、ビジネス版チャットツールのチャットワークを提供しています。電話、メール、会議、紙、移動といった従来の通信手段のあり方を変え、時間、人、経済の3つの面での効果をもたらします。

機能は非常にシンプルです。テキストベースのチャットとビデオ通話機能から構成されています。文字だけでは伝わらない時にビデオ通話で補完できます。

日本のビジネスメールはとにかく長いです。前置きやあいさつを省いていくと、結局伝えたいのはほんの一部。その一部だけを非常にシンプルにやりとりできるのがチャットワークの特徴です。SNSやプライベートメールのようなセキュリティリスクもなく、安全に使うことができます。」
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マニュアルをもっと簡単に”Teachme Biz”

庄司「当社が提供しているTeachme Bizはマニュアルに特化したクラウドサービスです。先ほどのチャットワークは、日々のやりとり(フロー)を楽にするサービス。当社のTeachme Bizは会社にためておきたいストック情報の共有を楽にするサービスです。

マニュアルの本質は、業務の内容を伝えること。しかし、現状のマニュアル運用には作成・共有・更新の手間がかかりすぎています。その手間を徹底的に楽にする(ムダなことはやらない)というサービスです。写真を撮って、並べて、文字をかくだけ。デザインやレイアウトの調整は一切必要ありません。本当に伝えたい内容だけを、わかりやすく伝えることができ、大企業から中小企業まで幅広く活用されています。」
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ケーススタディ①弁護士事務所

続いて、ケーススタディとして、弁護士法人横浜パートナー法律事務所の藤井総さんから、実際の活用例を紹介いただきました。
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弁護士とクライアントのコミュニケーションが抱える課題

藤井総氏(以下、藤井)「弁護士とクライアントのコミュニケーションには、従来から大きな問題があります。連絡手段は、面談、電話、FAXやメールが一般的ですが、コミュニケーションできる場所が事務所に縛られたり、気軽にやりとりできなかったりという課題を抱えています。弁護士はアポに追われてハードに働いているのに、クライアントには不満が募る一方。お互いに不幸です。

特に、クライアントが抱える不満が重大です。気軽に連絡できない、連絡がつかない、話がわかりにくい、口頭でしか説明されない、、コミュニケーションにおいて多くの不満があると感じ、私も以前はメールやSNSのメッセンジャーで対応しようとしました。しかし、なかなか解決には至っていませんでした。」

弁護士激増の時代に、顧問数を増やした秘訣とは

藤井「チャットワークを導入した2012年4月時点では顧問先は5社でしたが、現在は55社にまで増えました。2008年時点の統計データ(弁護士白書)では、「顧問先を1社でも持っている弁護士」は全体の60%に過ぎません。顧問先が50社以上はわずか2%。実はその間、2008年から2014年にかけて試験制度の変更もあり弁護士の数は一気に1.4倍に増えました。弁護士の競争環境はより厳しくなっているのは明らかです。

そんな中、私が顧問先を急激に増やすことができたのは、チャットを導入してクライアントのコミュニケーションの不満を解消したからだと考えています。気軽に連絡できる、必ず連絡がつく、アポをとらなくて良い、話が簡潔で文字に残る。コミュニケーションレベルを高めることができれば顧問先の満足度は向上し、契約継続率が高まるというよいサイクルが生まれています。」

チャット型弁護士のワークスタイルとは?

藤井「平日は平均して毎日5社以上から相談が来ます。契約書作成、チェック、法務相談、裁判打合せなどがありますが、いずれも即時対応できています。しかも普段は自宅で対応しています。

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コミュニケーションレベルが高まると、ひいては商圏拡大にもつながってきます。現在事務所は横浜ですが、顧問先は全国です。しかも、営業段階からのチャットを通じたやりとりが実際の法務サービスを体験する機会にもなるので、手厚い営業フォローも可能です。55社中49社がチャット活用により直接的・間接的に契約獲得につながったクライアントです。」

ケーススタディ②社労士事務所

続いて、JPコンサルタンツグループの赤石健さんから、社労士事務所での実例を紹介いただきました。
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社労士業界におけるIT活用状況

赤石健氏(以下、赤石)「まず社労士業界におけるIT活用状況をご紹介したいと思います。年間に処理される「届出」のうち、最も多いのが登記で年間1億8000万件です。このうち電子申請されているのが約58%です。次に多いのが社会保険・労働保険でこれらは社労士の独占事業です。これが年間1億5000万件。しかし、このうち電子申請されているのはわずか4.2%です。95%以上はいまだに紙に記入して提出されています。

また社労士の業務割合をざっと考えると給与計算と社会保険・労働保険の処理が約80%程度を占めていますが、これらは正確にやりさえすれば誰がやっても同じです。本来であれば、就業規則や賃金制度設計など付加価値の高い業務に注力したいのです。」

クラウド活用による業務効率化

赤石「まず給与計算のクラウド化を行っています。給与計算業務は、納期が早く、単価が安く、作業が煩雑と三重苦の状態です。会社によって残業時間の計算ルールが違うのでミスも非常に起きやすいです。そこでクラウド型の勤怠管理と給与計算の導入を積極的にクライアントにも勧めています。これであれば、打刻と給与計算が連動するのでミスも起きにくく給与計算業務の負荷も減ります。

システムの利用料金は顧問契約料の中で社労士事務所側が負担しているので、クライアントに新規に申し込ませるということはしていません。より便利なやり方をクライアントに提案し、社労士側もラクになります。

また、社会保険・労働保険のクラウド化も進めています。社員の氏名・住所・基礎年金番号などを管理するためのクラウドサービスです。これらの届出用紙を細かく見てみると、実は顧問先から集めた情報を転記しているに過ぎない、というものがたくさんあります。お子さんが産まれたり、住所が変更になったりするたびに変更を届出ますが、内容の大半は転記です。こういった転記の手間をなくし、ミスをなくするためにクラウド化をしています。」

マニュアルが必要なワケ

赤石「実はこれらのシステムは非常にわかりにくく、玄人向けに作られています。機能がありすぎてどこをどう操作すればいいのかわかりません。用意されているPDFマニュアルも数が多すぎて、コールセンターにどれのどこを読めばいいのか聞いたこともあるくらいです。「最低限の準備ができました」とマニュアルの486ページに書いてあるのを見て、これはスタッフに読ませちゃいけないと思いました。

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本当に必要なのは、機能説明書(こんなことができる)ではなく、運用マニュアル(うちはこう使う)なんです。そこで、Teachme Bizを使って自分たちの業務に則した直感的なマニュアルを整備しています。時期によって処理が集中するときにも一時的にスタッフを増強することができ、またミスを防ぐこともできます。今後は、クライアント向けにマニュアルを公開していこうとも考えています。」

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パネルディスカッション

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これまでクラウド化、IT化の失敗談・苦労話はありますか?

実島「7年近く前になるが、コミュニケーションツールを導入して使い始めた矢先にサービス提供が停止になってしまったことがありました・・・。その会社は、今は別のサービスを提供されているようですが、そういうこともあるという経験にはなりました。」

藤井「大半のクライアントがIT企業なので、チャットを活用する上でのリテラシー面での苦労などはほとんどありません。ITツールに対する理解も得られやすいです。」

赤石「ITを活用した失敗談というよりも、むしろITツールを使わなかった失敗談というかミスは起きやすいと感じています。どうしても手作業ではミスが起きてしまいます。IT化しないとそのミスはなくならないと思っています。」

同業他社との差別化や、顧客ニーズへの対応をどう進めていきますか?

赤石「先ほど紹介したクラウド化を進めていくしかないかなと思っています。クライアントにとってもメリットがあることなので、理解は得られると感じています。」

藤井「実は、チャットを導入した時にはそれが差別化につながるとは考えていませんでした。単純にコミュニケーションがスムーズになると感じただけでしたが、結果的に差別化要因になっています。ただ、チャットは文字中心のやりとりになるので、ロジカルに端的なやりとりだけになってしまうと、クライアントに問い詰めているように感じられることもあります。クライアントとの関係が浅い時には特に慎重に、表現などにも気をつけています。」

実島「新しいものをどんどん取り入れていく、流れをあとから追いかけるのではなく、流れが来る前に手がけておくという意識は常に持っています。」

機械化、自動化などの動きをどう考えていますか?

実島「経理処理は、間違いなく自動化されていきます。しかし会社がある以上、処理自体はなくならない。そこで会社を運営するプラットフォームになりたい、意思決定をサポートする役割を担っていきたいです。」

藤井「コールセンターで人工知能を活用するというニュースがありましたが、法律に関しても単純な質問への回答は機械化されていくでしょうし、その点では人よりも優れていると思っています。ただ、機械にできないのはクライアントのことを考え、将来のことを先回りして助言すること。そこに役割があると考えています。」

赤石「社労士の業務はまだクラウド化が進んでいません。しかし、経理処理が自動化されユーザー自ら行えるようになっているのと同様に、社労士業務も企業が自分でできるようになると考えています。そのときに付加価値を出せるように、と考えています。」

まとめ

セミナー後、来場者の方からの反応も大きく、非常に関心が高いことが感じられました。今後もこのようなセミナーを積極的に開催していきたいと思います!

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