QSCとは?飲食店経営者が押さえておきたい情報を紹介

最終更新日: 2022.09.28 公開日: 2022.09.06

QSCとは?

飲食店経営を成功させるには、QSCを意識した店舗経営が求められます。QSCを意識した店舗経営により、顧客満足度を向上させられ、ひいては売上や利益の拡大につながります。本記事では、飲食店経営を成功に導くQSCの概要や構成要素、バリエーション、取り組み方などについて解説します。


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QSCとは「Quality, Service, Cleanliness」

QSCとは「Quality(クオリティ)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クレンリネス)」の頭文字を取った略語であり、飲食店経営の基本となる3つの指標で構成されています。飲食店経営が成功するかどうかは、QSCにかかっているといっても過言ではありません。

クオリティ(Quality)

クオリティは、顧客に提供するメニューの品質です。味だけでなく、食材の鮮度や料理の提供スピード、盛り付けなどの品質も含まれます。

飲食店にとって料理や飲み物はメインの商品であり、もっとも品質が重視されます。魅力的な店構えで価格が安い飲食店であっても、料理そのものが美味しくない、提供されるまで遅い、食材の鮮度が悪いとなると、顧客の足は遠のいてしまいます。

また、価格設定においても注意が必要です。顧客は、得られた価値への対価を支払っています。明らかに料理の品質が低いのに価格だけは高いとなると、顧客の満足度は低下し、二度と足を運んでくれない可能性があります。顧客が感じる価値にあわせた価格設定をしなくてはなりません。

品質の維持・向上に努めるのはもちろん、定期的なチェックも必要です。経営者自身が気づかないうちに、品質が下がり顧客満足度の低下を招いている、といった可能性もあるためです。

サービス(Service)

サービスとは、接客品質を指します。来店客への言葉遣いや態度、コミュニケーションの取り方などの品質です。来店客に気持ちよく食事を楽しんでもらうためには、接客品質にも配慮しなくてはなりません。

どれほど美味しい食事を提供されても、店員の態度があからさまに悪いとなれば、お店の評判は下がります。クレームの対象となり、インターネットやSNSに悪い口コミを投稿されるリスクもあります。

近年では飲食店をランキングづけし、口コミとあわせて紹介するサービスも増えました。このようなサービスの情報を参考に飲食店を選ぶ方も多いため、ネガティブな情報を投稿されるのはリスキーです。

せっかく美味しい料理を提供しても、従業員の接客品質ひとつで評価や満足度が大きく低下しかねないため、注意しなくてはなりません。

クレンリネス(Cleanliness)

クレンリネスは、店舗や従業員などの清潔さです。人が直接口に入れるものを扱う場所である以上、飲食店に清潔さが求められるのは当然です。快適に気持ちよく食事してもらうためには、店内の隅々まで清掃を徹底し、清潔な状態を維持しなくてはなりません。

店内の掃除は行き届いていても、トイレや調理場が汚いとなると問題です。ひとつでも衛生的でない部分が見えてしまうと、来店客は「食器もきちんと洗えていないのでは」「テーブルが拭かれていないのでは」と疑念を抱いてしまいます。

従業員の清潔感も、飲食店経営を成功に導くうえで重要なポイントです。店内やトイレ、調理場もすべて掃除が行き届いているのに、従業員に清潔感がないとなれば、顧客に不快感を与えてしまいます。制服に目立つシミがついていたり、爪が伸びすぎたりしていると不快感を与えかねないため、日ごろからしっかりと教育しなくてはなりません。

QSCの様々なバリエーション

意識的にQSCの向上に取り組めば、顧客満足度を高められ、売上や利益の拡大が期待できます。さらに高い価値を提供したいと考えるのであれば、+αの要素を加えることも検討してみましょう。

QSC+H(Hospitality)

Hは「Hospitality(ホスピタリティ)」のことです。わかりやすくいえば、「おもてなし」の心です。一人ひとりの来店客に対し、おもてなしの心をもって接することで、他店との差別化ができ満足度の向上にもつながります。

たとえば、来店客の要望を事前に察知し、いわれる前に行動を起こすのもホスピタリティの一種です。メニューを聞く際にアレルギーの有無を確認する、ボリュームを変更できる旨を事前に説明するなどが考えられます。

また、リピーターの好みを把握し、メニューを決める際に提案するのもひとつの手です。以前からパスタばかりオーダーしている顧客に対し、新作パスタをおすすめする、過去の注文履歴から顧客が好みそうなメニューを提案する、といったことが挙げられます。

おもてなしの心で接すれば、顧客に感動を与えられる可能性があり、お店のイメージアップにもつながります。感動的な体験をした人が周りにその話をすることで、さらに店舗の評価が上がるかもしれません。

QSC+V(Value)

Vは「Value(バリュー)」のことで、満足度向上を実現するための価値を示します。他店とは一線を画した価値を提供できれば顧客満足度が高まり、何度も店舗へ足を運んでもらえる可能性があります。

たとえば、期間限定メニューの販売も顧客満足度の向上が期待できます。また、公式LINEに登録してくれた方を対象にした限定メニューやプレゼントの提供なども有効です。

来店客がゆっくりと食事を楽しめるよう、空間づくりにこだわるのもよいかもしれません。店内でのスマートフォン利用を禁止する、小さなお子様連れには入店を遠慮してもらう、といった施策が考えられます。

QSC+A(Atmosphere)

Aは「Atmosphere(アトモスフィア)」のことで、店舗の雰囲気を指します。飲食店選びの際には、店舗の雰囲気を重視する方も少なくありません。お店独特の雰囲気に魅了され、何度も足を運ぶといったケースも考えられます。

ただ、人によって好みの雰囲気は異なります。そのため、万人受けする雰囲気の店舗をつくるのは困難です。ある人にとっては雰囲気が最高と感じる店舗であっても、ある人にとっては落ち着かない、となるかもしれません。

そのため、雰囲気で顧客の満足度を高めたいと考えるのであれば、お店のコンセプトを明確にしましょう。コンセプトが明確になれば、どのような内装を採用すべきか、どういったサービスを提供したらよいのかも見えてきます。

たとえば、「大人の時間を楽しめるシックな飲食店」がコンセプトであれば、落ち着いた内装を採用する、BGMにクラシック音楽を流す、といった施策が考えられます。その結果、このコンセプトや空間、雰囲気を好む方がメインの客層となり、多くの来店客の満足度を向上させられる可能性があります。

QSCを向上させる重要性

飲食店経営を成功へ導くにあたり、QSCの向上は不可欠です。飲食店経営における成功とは、顧客の満足度を高めてリピーターを増やし、安定した利益を得ることです。

リピーターを増やすためには、料理の質を高めなくてはなりません。従業員の接客品質や店舗の清潔感も重要ですが、飲食店へ訪れる方の多くは美味しい食事を期待しています。料理の質を高めれば、その味を求めて再度来店してくれる可能性が高まり、利益の安定化につながります。

従業員の接客品質が高く、店舗に清潔感があれば顧客満足度を高められます。気持ちよく食事を楽しめる、居心地がよいと感じてもらえるため、満足度が高まりリピーターになってくれるかもしれません。

このように、QSC向上へ取り組むことで、顧客満足度の向上やリピーターの獲得につながります。高い満足度を得られた顧客は、次回来店するときにまだ店に来たことのない家族や友人を連れてきてくれる可能性もあり、さらなる新規顧客の獲得も見込めます。こういったサイクルを生み出すことでリピーターを順調に増やしていけば、利益の拡大と安定化も実現できます。

QSCを向上させるステップ

QSCの向上が飲食店経営成功の鍵を握りますが、やみくもに取り組んでも成果は期待できません。効率的にQSCを向上させるべく、以下のステップに沿って実践することをおすすめします。

ステップ1: 顧客アンケートで満足度調査

顧客の満足度は目に見えないため、アンケートに協力してもらい可視化しましょう。アンケートに答えてもらうことで、満足していると思っていた顧客が実は満足していなかった、といったことがわかります。

おすすめなのは、顧客推奨度の調査です。これは、店舗をほかの人に推奨したい度合いをチェックできます。0~10の数値を設定し、「勧めたくない」「どちらでもない」「勧めたい」の3つで評価してもらいます。

接客の質やメニューに関する評価も調査しましょう。「満足」「どちらでもない」「不満」のような回答項目を用意し、別途理由を記述するスペースも設けます。

アンケートを実施する際には、回答率を意識する必要があります。アンケートを作成しても、回答してもらえなければ意味がありません。回答者にはクーポンを提供する、質問項目を少なくするなど、回答率を高めるための工夫が求められます。

ステップ2: アンケートの分析

集計したアンケートを分析すれば、現状で足りない部分が見えてきます。まずは単純集計で全体の大まかな傾向を掴み、それから性別・年齢などを組み合わせたクロス集計を行いましょう。メインの客層やリピート率などをグラフ化すると、俯瞰で状況を把握できます。

集計と分析が終われば、自社に足りないところ、顧客が不満に感じている部分などがわかります。そこからヒントを得て、具体的な施策へ活かしましょう。

ステップ3: 改善案の実践

分析したアンケートのデータは、すべての従業員で共有しましょう。飲食店の改善を進め、QSC向上を実現するには、全従業員で取り組む必要があります。

抽出した課題をもとに、改善案を実践していきましょう。たとえば、「接客品質に不満がある」と回答した顧客が多いのであれば、それを改善します。接客方法や言葉遣いなど指導を徹底し、必要に応じて研修も実施します。

接客品質の均一化を図るには、マニュアル化が有効です。接客の流れや注意点などをマニュアル化し、全従業員で共有すれば接客品質の均一化が可能です。また、従業員のモチベーションが低いと接客品質の低下を招く可能性があるため、従業員満足度を高めるための取り組みも求められます。

店舗が清潔でないことに不満を抱く顧客が多いのなら、店内の清掃を徹底しましょう。見える部分はもちろん、目につきにくいところもしっかりと清掃します。日常的な清掃だけでは難しいのなら、定期的に専門業者へ依頼するのもひとつの手です。

QSCのチェック項目例

QSC向上の取り組みを進めるのなら、各指標においてチェックするべき項目をまとめたチェックシートの活用が有効です。定期的にチェックシートで確認すれば、何に問題があるのか容易に把握できます。

チェック項目の設定においては、QSCそれぞれの要素ごとに項目を設けます。たとえば、Qであれば食材の鮮度や料理の提供スピード、盛り付け、食材の廃棄量などが挙げられます。

Sの項目は、来店客へきちんと挨拶ができているか、笑顔で対応できているかなどです。挨拶や表情は、顧客に与える印象を大きく左右するため、必ずチェックシートへ入れておきたい項目です。

顧客ときちんとコミュニケーションが取れているかどうか、の項目も設定しましょう。顧客によっては、従業員とのコミュニケーションを楽しみにしている方もいます。そのような層の満足度を高めるため、コミュニケーション状況の把握は必要です。ほかにも、混雑時に適切な対応ができているか、席へスムーズに案内できているか、などの項目もあるとよいでしょう。

Cの項目に必ず加えたいのは、従業員の身だしなみに問題はないか、の項目です。従業員の身だしなみが整っていないと、顧客に不快感を与えるおそれがあります。トイレもきちんと掃除できているか、店内は隅々まで清掃が行き届いているか、駐車場は掃除できているか、といった項目も挙げられます。

チェック項目のマニュアル化でQSC向上を実現!

チェック項目のマニュアル化は、飲食店のQSC向上に有効です。
単にチェックするべき項目をまとめるだけでなく、「どのような状態・対応が正しいのか」ということが明確化されたマニュアルを作成し共有することで、従業員は定期的に現状をチェックでき、足りない部分も把握できます。

マニュアルには文章だけではなく、画像や動画も効果的に取り入れることでよりわかりやすい内容になります。しかし、そこまで凝ったマニュアルを作るのは難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。

「Teach me Biz」を利用すれば、チェック項目のマニュアル化をスムーズに実現できます。誰でも簡単にマニュアル作成できる使い勝手のよさが魅力で、共有も容易です。

Teachme Bizで作成したマニュアルのサンプル
【サンプル】ビールサーバーの水通し洗浄方法

画像を用いたわかりやすいマニュアルを作成できるのも特徴です。たとえば、従業員の身だしなみに関するマニュアルを作成したいときも、画像を取り入れられるため、従業員は正しい身だしなみがどのようなものかを直感的に理解できます。

また、閲覧状況のチェックもできます。マニュアルを作成しても、従業員が見てくれない可能性も否めません。「Teach me Biz」にはログ機能が実装されているため、誰がどのマニュアルを何回見たのかをひと目で把握できます。

まとめ

QSCの向上に取り組むことで、顧客満足度向上やリピーターの獲得につながり、売上・利益の拡大を実現できます。
チェック項目のマニュアル化により、QSCの効率的な向上が見込めます。「Teach me Biz」であれば、マニュアル作成から運用まで簡単なのでおすすめです。

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