作業指示書の書き方とは? 必要な項目をご紹介!

最終更新日: 2024.05.02 公開日: 2024.03.15

作業指示書の書き方とは? 必要な項目をご紹介!

作業指示書は、行うべき作業のミス防止や効率向上のために発行されます。しかし、要点を押さえずに作ると、トラブルの原因ともなりかねません。そこで本記事では、作業指示書の目的や書くべき項目、目的を果たすためのポイントなどを解説します。作業指示書作成に役立つ情報を多数記載しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。


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作業指示書とは?

「作業指示書」は、業務上必要な作業について一定の事項を指示し、作業を円滑に進めるために発行する書類です。盛り込まれる事項としては、何を、誰が、どのくらい、いつ、いつまでに、行うのか、などが挙げられます。
作業指示が口頭で行われると後から内容を確認しにくいだけでなく、伝達ミスや聞き取りミスが起こる可能性も否定できません。また、書面やデータがなければ、次に問題が起こらないように対策することも困難です。指示の文書化には、こうしたトラブルを防ぐ効果が期待できます。

作業指示書は、加工や組み立て工場、建築や土木作業の現場など、製造業で多く使われてきており、近年は介護関係や施設管理、IT業界などでも使用されています。

作業指示書を発行する具体的な目的は、おおむね以下の3点です。

  • 行うべき作業において、間違いや過不足、納期遅れなどの発生を防ぐこと
  • 行うべき作業の内容を明記して、作業効率を向上すること
  • 注意を促して作業の安全性を保つこと

上記の目的を果たすためには、まず作業指示を行う上で必要な項目を網羅していることが重要です。加えて、作業指示書を受け取る人にとって、わかりやすく適切に書かれていることも欠かせません。
作業指示書に必要な項目は本記事の「作業指示書に盛り込む内容」で、作成に際して注意すべき点は「作業指示書を作成する際のポイント」で、それぞれ解説しています。

作業手順書やマニュアルとの違い

「作業指示書」と混同されやすい書類として「作業手順書」や「マニュアル」が挙げられます。以下では、各書類における目的や内容の違いを解説します。ただし、これらには厳密な定義がなく、会社や業界によって言葉の用法が異なることもあるため、認識が食い違わないように注意が必要です。

作業手順書との違い

作業指示書と作業手順書は、作業名や作業内容を書く点で共通する部分が多数あります。
しかし、作業指示書が「どんなものを」「いつ」「どれだけ」といった情報を中心とするのに対し、作業手順書は「どのように作業を進めるか」を示す書類だという点が違います。
例えば部品工場において、作業指示書は「〇月〇日にAという部品を100個作る」といった指示の伝達を目的として発行しますが、作業手順書はAという部品を作る具体的な手順を示します。
作業指示書は作業日やロットなどの単位で発行するため、作業内容が同じでもロットや作業期間が変われば新たに作成されます。一方、作業手順書は作業の手順や内容が変更されない限り、過去に発行されたものを繰り返し利用可能です。

マニュアルとの違い

マニュアルは、業務のノウハウや予備知識、背景などを含めて説明することで製品や作業への理解度を高め、クオリティ向上に結びつけることを目的とします。その性質上、分量や記載内容も手厚くなりがちです。また、作業手順書と同様に、繰り返し行われる定型化可能な作業に対して用いられます。
例えば部品工場において、マニュアルはAという部品の作成手順のみならず、用途や背景、作り方や製造技術などまでを解説して、クオリティの均一化や向上を目指すために用意される書類です。
これに対し、作業指示書は繰り返しの作業であることを前提としません。たとえ作業が1度限りだったとしても作成しなければならない点で違いがあります。

作業指示書に盛り込む内容

この項目では、作業指示書に盛り込まれることが多い内容を紹介します。なお、具体的な項目は業界や会社、案件ごとに異なるので、省略されるものや追加されるものもあります。製品や作業に応じて、盛り込む内容を選択することが重要です。

基本項目:作業名や責任者などを記載

一般的に、作業指示書の基本項目としては、以下のようなものが挙げられます。

作業名や件名

簡潔にわかりやすく作業名や件名を記載しておく必要があります。作業の取り違えを防ぐのが目的です。

作業内容

何をどうするのか、どのような作業をするのかを、作業者に伝わるように明記する必要があります。時系列に沿って記したり、見出しをつけたりといった工夫が大事です。

発行日

いつ作業指示が出たのかを確認できる項目です。作業指示書が複数ある場合、後から調べるときなどに役立ちます。

作業日時や作業終了までの期間

いつ作業を行うのか、いつまでに作業を終わらせるのかを指示する項目です。作業者が時間配分を考える上でも欠かせません。

責任者名や担当者名

作業の責任者や担当者の名前を書いておく必要があります。不明な点がある場合の問い合わせ先としても機能する項目です。

指示者(依頼者)名

責任者名や担当者名と同様に、作業上の疑問や問題が発生したときの問い合わせ先として機能する項目です。部署名や連絡先は、見やすい場所に記載しておきます。

作業時間

必要に応じて、作業時間の項目を設けます。作業を行う現場の人員にヒアリングし、無理のない時間を示すことも重要です。

休憩時間

何時間ごとに何分の休憩を入れる、作業の節目ごとに休憩を取るなど、休憩時間も記載しておくと、作業者の交代もしやすくなります。

作業条件

屋外作業を行う場合の天候や、前後の工程によって作業に変更が生じる場合など、必要があれば項目を設けてください。

作業実績、作業後の振り返り

作業がとどこおりなく終わったのかを、作業者が記入する項目です。申し送り事項や作業上の問題点などを作業指示者にフィードバックできるので、次回からの作業段取りの改善に役立ちます。

安全上の注意事項

部品加工や工事など、作業に事故やケガを伴う可能性があるときに記載する項目です。事故が起こってからでは取り返しがつかないため、予想できる危険や、事故が起こりがちなポイントを明記することで、作業の安全性を確保します。

備考

その他の注意事項などがある場合に、備考欄を設けてください。

作業内容:実施する内容を記載

作業指示書を発行する際には、指示する作業の内容や実施場所などを明確に記載してください。
指示の伝達ミスを防ぐために、作業内容を簡潔にわかりやすく記載することが重視されます。作業内容が多い場合は、箇条書きにしたり表で整理したりするのがおすすめです。誤解される余地を生まないように、複数の捉え方ができてしまう書き方は避けましょう。
また、必要に応じて作業手順書やマニュアルなど、ほかの資料を参照するように指示するのも有効です。

作業実績:作業後の振り返りを記載

作業指示書には、作業を指示する側が記入する項目だけでなく、作業を行った側が記入する項目もときに必要です。例としては、指示された作業を問題なく終了できたのかという結果や、反省・改善すべき点を記入する項目です。この項目があることで無事作業が終わったことが記録され、問題や改善点などを作業指示者側に伝えられます。

例えば、「〇〇の指示がわかりにくく、作業中に混乱が起きた」、「作業遂行に指示された以上の時間がかかり、多くの残業を要したので、次回から人数や作業時間を考えてほしい」といった振り返りがあったとしましょう。作業指示書を発行する側は、そうした内容を、指示書の書き方やリソース配分の改善に役立てます。
一方的な指示だけでなく、作業した側からのフィードバックがあることで、作業効率や部署間の信頼関係、安全性などの向上が可能です。

作業予定:具体的な指示を記載

作業指示書によって作業を行う手順を明確化しておくと、作業を実施する人たちが迷ったり検討したりする時間も減ります。結果として効率改善や品質向上につながり、手順が明確であることで安全確保もしやすくなります。
また、作業指示書を発行する側としては、作業予定や手順を明示する際、作業内容を具体的に考えなければなりません。そうすることで、無理な作業指示や、作業指示書の不備の見逃しに対する抑制効果も生じます。
さらに、作業にあたる人数やメンバーが記載されていると、作業する側にとって作業規模や内容の把握が容易です。人選の手間が省けて、段取りの効率化にもつながります。

作業指示書の記載例

作業指示書は、誰が見ても理解できるように具体性やわかりやすさに配慮することが重要です。スケジュールだけでなく、使用する器具の種別なども明記しておきます。作業効率の向上や作業ミスの防止を目的に据えて作成しましょう。

    ●作業指示書

    発行:20〇〇年〇月〇日
    発行元:〇〇部〇〇課 指示 書太郎
    連絡先:…………
    作業担当者:〇〇部〇〇課 製作 匠子

    【作業内容】
    製作品名:〇〇
    図面番号:AAA-000000
    製作数:500個
    作業期間:20〇〇年〇月〇日~20〇〇年〇月〇日
    作業期限:20〇〇年〇月〇日〇時

    【作業手順】
    1・〇〇〇
    2・△△△
    3・◇◇◇
    詳細は作業手順書BBB-11111を参照のこと

    【使用器具】
    ・〇〇〇
    ・△△△

    【注意事項】
    ●●●を扱う際は危険が伴うので、防具を使用し、×××に注意すること

作業指示書を作成する際のポイント

作業指示書に必要項目が記載されていなかったり、内容がわかりにくかったりすると、作業が円滑に進みません。そこで、作業指示書を作る際に留意すべきポイント2点を紹介します。

必要な項目を全て具体的に記載する

作業指示書は、作業を滞りなく進め、業務の目的を効率よく達成するための書面です。したがって、作業の内容や作業場所、作業期間や作業責任者、安全上の配慮など、必要な項目を漏れなく記載することが重要です。
とはいえ、記載すべき項目は業務の内容や職種によって異なりますから、単に項目を増やせば良いわけではありません。不必要な項目が多いと読みにくくなりますし、重要事項が埋没して見落とされてしまう可能性もあります。

例えば、屋外で作業を行う場合、「雨天や強風の際にどうするか」といった天候に関する条件を示しておくことが重要です。一方、屋内作業であれば、そうした項目は基本的に不要です。
ほかにも、高所作業であれば、安全帯の着用などの状況に適した注意点を記載すべきですし、危険性がある材料などの取り扱いにあたっては、何をしてはいけないのかといった注意事項を記載する必要があります。
さらに、ミスやトラブルが起こりがちな作業に関しては、予想できるトラブルや、それを防止する文言を具体的に書いておくことも重要です。

読みやすさを意識して簡潔に記載する

作業指示書は、行うべき作業の内容や工程を網羅している必要があります。
とはいえ、内容を詳しく説明しようとして長い文章を書くのは好ましくありません。文字数が多ければ、指示書を受け取る側は読むのに多くの時間と労力を要します。丁寧な説明は大事ですが、同じことを無意味に繰り返すなど、冗長さと履き違えたような指示書では、誤読のリスクも増大してしまいます。

また、一般的に見慣れない表現を使ったり、難しい漢字を使ったりすることも内容を伝わりにくくするので、どうしてもその言い回しが必要な場合を除き、避けるべきです。内容が十分に伝わらないと作業ミスや事故を起こす原因になるので、誰もがわかる言葉や表現を使うように心がけてください。

さらに、「かもしれない」、「思われる」といったあいまいな表現も作業指示書には向きません。特に、注意を促すことが目的の内容には、「〇〇の使用は禁止」と明確に書いてください。
読む側に解釈を要求する書き方は、負荷をかけることを意味します。読んでいて疑問を生じさせる書き方は、作業指示書としてふさわしくありません。箇条書きや表などを用いて、可能な限り簡潔であることを意識し、作業指示書を受け取った人が容易に理解できるよう配慮することが重要です。

作業指示書の作成で重要なのは「わかりやすさ」

作業指示書の目的や記載すべき内容、発行する際の注意点などをまとめました。作業指示書は、行うべき作業を問題なく完遂すること、効率よく作業を行うことなどを目的とする書類です。そのため、必要事項を過不足なく網羅しつつ、具体的で簡潔であることが重要です。

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