2026年に労働基準法が改正!主な変更点や企業への影響を紹介

労働基準法とは、労働時間・賃金・休日・休暇など、働くうえで最低限守られるべき労働条件を定めた法律です。企業と労働者の立場の差を是正し、誰もが安心して働ける環境を確保することを目的として制定されています。

この労働基準法が2026年に40年ぶりの改正がなされるということで「自社はどのような対応をすればよいのか」と不安に思う方もいるでしょう。本記事では、労働基準法改正の目的や主な変更点を整理したうえで、企業に与える影響と、今後とるべき対策について解説します。

労働基準法の改正と目的

今回の労働基準法改正は、現代の多様な働き方に法律を適応させることが目的です。

現行法は「フルタイム雇用」を前提としており、テレワークや副業、ギグワーカーといった新しい働き手を十分に保護できていません。また、スマートフォンの普及で休日も業務連絡が届くなど、オン・オフの境界が消えたことも課題です。こうした現行の労働基準法では対処が遅れている部分を解消するのが、改正に至る背景です。

具体的な改正として、終業から次の始業まで一定の休息を置く「勤務間インターバル制度」や、勤務時間外の連絡を拒否できる「つながらない権利」などの導入が挙げられます。

労働基準法の変更点

今回の改正によって、多様な働き方が法的な保護のもとで確立されるとともに、労働時間の上限や休息時間の確保が明確にルール化されるため、無理な長時間労働が減少します。結果として、働く人が心身ともに健やかに過ごせるようになり、企業にとっても離職防止や生産性向上につながる社会の実現が期待できるでしょう。

労働基準法改正によって変更される主なポイント

労働基準法の改正によって、どのようなポイントが変更されるのか見ていきましょう。従来の課題がどのように解決されるのかについても紹介します。

1.連続勤務日数が「13日」という上限設定

どれほど極端なシフトを組んだとしても、連続勤務日数が「13日」までになるよう上限設定がなされます。

現行の労働基準法では1週間のうち最低1日は休日を付与することが義務付けられています。しかし、繁忙期をはじめ業務の都合によりやむを得ない場合は、例外として「4週間を通じて4日以上の休日(変形週休制)」を与えればよいという規定があるのです。

この「4週4休」には、休日の配置に関する制限がありません。第1週の頭に4日休み、第8週の最後に4日休むというスケジュールを組んだ場合、その間の48日間を無休で働かせても、法律上は違反ではないことになってしまいます。

改正によって、特例の単位を4週間から2週間に短縮することで、どれほど極端なシフトを組んだとしても、14日目には必ず休日を挟まなければならなくなりました。

2.勤務間のインターバル制度の義務化・導入促進

今回の改正案では、これまで努力義務であった勤務間インターバル制度の義務化が検討されています。この制度は、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定以上の休息時間を確保する仕組みです。

現行の労働基準法では、業務ごとに休息時間を設ける義務がありません。深夜まで残業をした後、翌朝も通常通り始業が求められると、十分な睡眠が取れないまま業務を開始するというケースが多発しています。

インターバルが義務化されると、仕事と次の仕事の間に11時間の休息時間が法的に保証され、労働者は必ず睡眠時間を確保できるようになります。

3. 勤務時間外の連絡制限「つながらない権利」の確率

改正では、勤務時間外や休日に送信される仕事のメールや電話、チャットへの対応を拒否できる「つながらない権利」にも着目されています。

現行の労働基準法には、勤務時間外の連絡を直接制限する規定がありません。そのため、休日や深夜でも上司や顧客から業務連絡が届く事態が常態化しているのです。

つながらない権利が確立されると「20時以降のメール送信を原則禁止する」や「休日は通知をオフにする」といったルールが明確化されます。改正後は、プライベートな時間に仕事が介入しない環境が整い、業務から完全に解放される時間が法的に、あるいは社内規定で担保されます。

4. 副業・兼業時の労働時間・賃金ルールの見直し

副業・兼業を行う労働者の「割増賃金算定」に関する労働時間通算ルールの見直しも検討されています。

従来の労働基準法では、勤務先が異なっても労働時間を通算して管理・計算することが原則でした。そのため、本業先と副業先の合計が法定労働時間を超えた場合、後から契約した企業などが割増賃金を支払う義務を負います。しかし、他社での勤務時間を正確かつリアルタイムに把握することは実務上非常に困難であり、企業が副業を禁止する要因となっていました。

改正案では、割増賃金の算定において各社の労働時間を切り離して管理する「分離方式」の導入が検討されています。これにより、企業は自社での労働時間が法定内に収まっている限り、他社の勤務状況に関わらず割増賃金を支払う必要がなくなります。

5.フリーランス・ギグワーカーなど、「労働者」の定義見直し

フリーランスやギグワーカーといった新しい働き方をする人々を適切に守るため、「労働者」の判断基準も見直されます。

従来の労働基準法は正社員を主なモデルとしており、業務委託で働くフリーランスやギグワーカーなどは原則として対象とみなされません。そのため、これらの労働形態で働いている人達は、最低賃金の保障や労災保険の適用がなく、法的保護を受けられない状況となっていました。

改正によって、プラットフォームを通じて働くギグワーカーなども、労働基準法の保護を受けられるようになり、不当な扱いや事故への備えが強化されます。

6. 法定休日の曖昧さ解消

改正後は、「法定休日を事前に特定すること」が原則義務化されます。

従来の労働基準法では、週に1日の休日を与えることが義務付けられていますが、「どの曜日を法定休日にするか」を特定することまでは義務付けられていません。

多くの企業では週休2日制を採用しており、片方が「法定休日(割増率35%以上)」、もう片方が「法定外休日(割増率25%以上)」となります。法定休日が特定されていないと「どちらの休日に出勤したか」が会社側の都合で処理されてしまい、労働者が正当な割増賃金を受け取れないケースがあります。

改正によって、賃金計算の透明性が高まり、サービス残業や割増率の誤魔化しを防ぐことができるでしょう。

7.有給休暇取得時の賃金は「通常賃金」に統一

「通常賃金方式」に統一、原則化されることで、有給休暇時の給与算定ルールが「その日に出勤していたら得られたはずの賃金を支払う」というシンプルな形に変わります。

従来では、企業側が「平均賃金」「通常賃金」「標準報酬日額」の中から、有給休暇時の給与算定方式を自由に指定できるようになっていました。平均賃金方式もしくは標準報酬日額方式を採用した場合、日給制や時給制で働く労働者においては、有給をとるともらえるお金が少ないという現象が発生する恐れがあります。

有給休暇取得時の賃金が「通常賃金」に統一されることで、「休んでも収入が変わらない」という安心感が得られ、非正規雇用の処遇改善が実現します。

8.商業、接客娯楽業などにおける労働時間特例の廃止

特定の業種(商業や接客娯楽業)かつ小規模(従業員が10人未満)の事業場で認められていた「週44時間特例」が廃止され、全業種で「週40時間」に統一されます。

従来の法律では、一部の事業所にて長時間労働が固定化され、業種による不公平な労働時間の差が生まれていました。改正による変更で、週44時間を前提に組まれていたシフトが、週40時間を基準に再構成されるため、業界全体の労働時間の適正化が実現します。

9.育児や介護と仕事の両立支援

2025年4月から段階的に施行される「改正育児・介護休業法」と連動し、労働基準法の枠組みにおいても仕事と家庭の両立支援が強化されます。

従来の制度では、子が3歳以降になると残業免除といった補助の対象外となり、フルタイム勤務への復帰が余儀なくされるケースがありました。また、介護についても、急な対応が必要な際に柔軟な働き方ができず、介護離職に至るリスクがあります。改正によって、以下のような制度変更がなされます。

  • 「子の看護等休暇」の対象が小学校3年生修了まで拡充
  • 「残業免除」の対象が小学校就学前まで拡充
  • 3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対し、企業はテレワークや短時間勤務など、複数の選択肢から2つ以上の措置を講じることの義務化
  • 継続雇用期間が6か月未満であっても、介護休暇を取得できる
  • 介護を行う労働者がテレワークを選択できるように、事業者に努力義務化 など

(※参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7年(2025)4月1日から段階的に施行

これにより、育児や介護を担う現役世代や、将来への不安を感じずに働き続けられる社会が実現します。

労働基準法改正に伴う企業への3つの影響

労働基準法の改正に伴い、企業に対してどのような影響があるのかを把握しておきましょう。

1.人件費の上昇

改正によって、企業側には「労働時間の上限管理」や「休息時間の確保」に厳格な基準が課されるため、割増賃金の支払い増加や人員補充の必要性が生じ、人件費が上昇する可能性があります。

  • 週44時間特例の廃止:一部の小規模事業場に認められていた特例がなくなり、週40時間を超える労働がすべて割増賃金の対象となる
  • 有給休暇の賃金算定統一:算定方式が「通常賃金」に原則化されるため、日給・時給制の労働者への有給休暇時の支給額が実質的に上昇する
  • 休息規制と人員補充:勤務間インターバルや連続勤務制限により、新たな人員確保や教育にかかる採用コストが発生する

改正による変化に伴い、企業は割増賃金の増加分や、インターバル規制による人員不足をシミュレーションし、予算計画、人員配置の再構成が求められます。

2.労務管理の業務負担増加

改正に伴い、労働者の休息時間の確保や勤務日数の制限が求められるため、労働時間の管理方法がより厳格かつ複雑になり、労務管理の負担が増加します。

  • 勤務間インターバルの日次管理:前日の退勤時間に基づき、翌日の始業を調整する手間が生じる
  • 法定休日の厳格な特定:割増賃金計算を正確に行うため、どの休日が法定休日かを明確に区別し管理する作業が発生する

従来の手作業やExcelによる管理では対応が難しくなるため、新しい勤怠管理システムの導入を検討するとよいでしょう。また、自社の労働環境が法制度に適合しているのか、社会保険労務士といった外部専門家との連携も必要になります。

3.業務効率化の必要性向上

改正に伴い、従来の「長時間労働で業務をカバーする」手法は法的に不可能となるため、限られた時間内で成果を出すためには、抜本的な業務効率化が不可欠です。

  • 休息規制の厳格化:勤務間インターバルの導入により、翌日の始業時間を遅らせるなどの調整が必要となり、実働時間が減少する
  • 連続勤務の制限:13日以内の休日設定が義務付けられるため、休日出勤による調整が困難になる
  • 週44時間特例の廃止検討:一部業種における小規模店舗の特例がなくなれば、より短時間で店舗運営を完結させる工夫が求められる

自動化ツールの導入による定型業務の自動化や、マニュアル整備による属人化解消、不採算業務の整理など、企業には業務プロセスの再構築が求められます。

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労働基準法改正に向けて企業がとるべき4つの対策

労働基準法改正に向けて、企業がとるべき行動として「人件費および人員配置の見直し」「新たな就業規則の整備」などが挙げられます。法改正に向けた具体的な対応策を把握して、意図しない法律違反を未然に防ぎましょう。

1.人件費および人員配置の見直し

改正による、割増賃金の増加や時間外労働の上限規制、勤務間インターバル導入の努力義務化などに対応するため、人件費および人員配置の見直しが必要です。具体的には以下のような対応を実施しましょう。

  • 人件費の見直し:人件費のシミュレーション
  • 週44時間特例の廃止や割増賃金の増加分を試算し、予算計画に反映させる

  • 人員配置の見直し:人員配置計画の再策定
  • 特定の人に業務が集中しないよう、ひとりで複数の業務をこなす「多能工化」を進め、柔軟なシフト体制を構築する

適切な対応を行うためには、現状について正確に把握し、どのような課題があるのかを特定しておくのが大切です。どの業務や工程に時間がかかっているのかを分析したうえで、人員を補充するのか、業務自体を廃止・簡略化するのかを判断します。

事前にシミュレーションを実施することで、無理のない収支計画と人員配置を実現できるでしょう。

2.勤怠管理や給与計算システムの最適化

改正によって、厳格な労働時間の管理が求められるため、手作業での管理を廃止し、勤怠管理や給与計算システムによる最適化が必要です。

勤怠管理や給与計算システムの導入によって、以下のようなメリットが挙げられます。

  • アラート機能による違反の検知:入力したシフトが勤務間インターバルや連続勤務上限に違反している場合、即座に検知してくれるため、その場で修正できるようになる
  • 法定休日の特定と計算の適正化:日曜日などの法定休日をシステム上で明確に定義し、35%以上の割増賃金が適用される日を正確に判別・計算できる
  • 法改正への随時対応:クラウド型システムの場合、法改正の内容が自動で反映されるため、運用方式を大幅変更する手間を省ける など

また、新しいシステムを導入する際は、管理職を含めたすべての社員が正しく利用できるよう、社内フローを整備するのも大切です。

3.新たな就業規則の整備

労働基準法では「就業規則は法令に違反してはならない」という原則があるため、改正に伴い新たな就業規則へと再整備する必要があります。具体的には、以下のようなポイントをとくに見直すとよいでしょう。

  • 法定休日の特定:「法定休日は日曜日」などと明確に定め、どの休みが「法定」で、どの休みが「法定外」かを区別する
  • 勤務間インターバル:終業から始業まで(例:11時間)の休息期間や例外基準などを明文化する
  • 副業・兼業ルール:許可基準や労働時間の管理方法、申請手続き、報告義務などを再定義する
  • つながらない権利:時間外や休日における業務連絡のルールを定める

就業規則を再整備する際は、改正に対応していないテンプレートを参考にするのではなく、自社の業種や実態に合わせて適切な変更を行いましょう。また、法的整合性を担保しつつ、実務で運用可能な規則を作成するためにも、必要に応じて社会保険労務士をはじめとする専門家との連携も不可欠です。

4.属人化の解消

改正によって、労働時間上限や休息の確保が厳格化されるため、誰が休んでも業務が停滞しないような状態にする必要があり、属人化の解消が欠かせません。

属人化とは、業務の手順やノウハウが、特定の担当者のみが把握しており、周囲に共有されていない状態を指します。属人化が放置されていると、その担当者が法定に沿った休息をとる際に、代わりの人間がいないため業務が完全にストップしてしまいます。

属人化を解消するためにも、業務のマニュアル化を進めていきましょう。マニュアルを作成することで、担当者の頭の中にしかなかった「判断の基準」や「具体的な操作手順」などが明文化され、誰でも対応できるようになります。また、マニュアルを作成した後も、業務フローの変更に対応できるよう、柔軟に更新できる体制を構築しておくことが大切です。

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まとめ

2026年の労働基準法改正は、現行の法律で対処が遅れている部分を見直し、多様な働き方と持続可能な企業運営を両立させる目的で実施されています。

今回の改正では、連続勤務日数の上限設定や勤務間インターバル制度、つながらない権利の検討などにより、労働時間と休息の管理がより明確かつ厳格になります。また、副業・兼業時の労働時間管理の見直しや、フリーランス・ギグワーカーに対する保護強化によって、企業は従業員区分や契約形態そのものを見直す必要もあるでしょう。

改正に向けた具体的な対応として、勤怠管理・給与計算システムの最適化や就業規則の再整備、業務全体の効率化、属人解消などが求められます。

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