外国人労働者問題とは? 現状・原因・解決策についてわかりやすく解説

外国人労働者問題とは? 現状・原因・解決策についてわかりやすく解説

日本の労働市場において、外国人労働者の雇用はますます重要性を増しています。しかし、ときにニュースで報じられるように、外国人労働者の受け入れに際しては問題も生じがちです。そこで本記事では、外国人労働者の受け入れを検討している企業に向けて、外国人労働者をめぐる現状や問題、その解決策などについて詳しく解説します。

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日本で働く外国人労働者をめぐる現状

近年、日本における外国人労働者の数は増加傾向にあります。厚生労働省が公表しているデータによると、2023年10月時点で、就労を目的に入国・在留する外国人労働者数は204万8,675人に達しており、前年比で22万5,950人も増加しました。外国人を雇用する事業所数も31万8,775所あり、これも前年比で約2万所も増加しています。

外国人労働者の国籍別分布を見ると、ベトナムが最も多く約51万8,364人(全体の25.3%)で、次いで中国が約39万7,918人(19.4%)、フィリピンが約22万6,846人(11.1%)と続きます。在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く、前年比24.2%増の59万5,904人です。

日本政府は、労働者人口の減少を背景に、高度外国人材の就業促進に力を入れています。しかし、その一方で、外国人労働者の受け入れに当たっては、長年にわたってさまざまな問題が存在するのが現状です(詳細は後述します)。例えば、技能実習生などの外国人労働者に対する不当な扱いに関しては、ニュースでも馴染みがある方が多いのではないでしょうか。

今後、少子高齢化やグローバル化などの進展に伴って、外国人労働者との共生がますます重要になることが予想される中、こうした問題への解決策を講じることは、個々の企業のみならず日本社会全体の課題になっています。

参照元:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)|厚生労働省

外国人労働者受け入れで問題視されていること

外国人労働者の受け入れは日本の労働力不足を補う重要な手段です。しかし、コンプライアンスを守り、外国人労働者を尊重しながら雇用する企業が存在する一方で、低賃金で外国人労働者から搾取したり、コミュニケーションに難航したりといった問題が生じている場合も少なくありません。以下では、外国人労働者が直面することの多い問題について紹介します。

労働環境の悪さが報告されている

外国人労働者が置かれている問題のひとつに、労働環境の悪さが挙げられます。特に、人手不足が深刻な業界においては外国人労働者が数多く働いていますが、労働基準法への理解が浅く、適切な労働環境を提供していない企業も中にはあります。

例えば、技能実習生が従事する業種では、過度の長時間労働や労働契約の不履行といった問題が数多く見受けられます。実際、東京都産業労働局のデータによれば、外国人労働者からの相談内容の約7割(※)は、労働条件に関するものです。

こうした問題はニュースやメディアでも度々取り上げられる深刻な社会問題です。技能実習制度の本来の目的を誤解または無視し、安価な労働力を確保する手段としかみなしていない事業者も存在します。

外国人労働者の側も、日本語や労働基準法に対する理解不足、あるいは文化的な違いなどから、こうした不当な扱いに気付かなかったり、うまく対処できなかったりすることも少なくありません。そのため、悪質な事業主がこうした弱みに付け込み、搾取するケースも見受けられます。

参照元:外国人労働相談|東京都産業労働局 p.3(p.37)

※統計に記載の71.1%は労働者・使用者両方の相談件数の割合であり、労働者からの相談に絞っても、労働条件に関する相談は2,549÷3,621=0.70…で約7割となります。

賃金が低い傾向にある

外国人労働者が抱えるもうひとつの大きな問題は低い賃金です。外国人労働者の賃金は、日本人の一般社員はおろか、アルバイトと比較しても低い傾向にあります。一部の企業では、最低賃金を下回る不当な賃金で外国人労働者を働かせるばかりか、賃金をきちんと支払わない悪質なケースも報告されています。

技能実習生の失踪につながる場合もあり、出入国在留管理庁のデータによると、失踪した実習生の多くが最低賃金違反や賃金未払いなどの被害に遭っていたことが報告されています。こうした問題が横行している状況は、当事者間でトラブルになるだけでなく、日本企業全体の国際的信用を失墜させ、外国人労働者の確保が今後難しくなるリスクを孕みます。

外国人労働者の受け入れには時間とコストがかかるため、企業側も賃金を引き上げるのは容易ではない事情もあるかもしれません。しかし、外国人労働者に対する不平等な雇用条件は容認されるべきではなく、これを根拠づける法改正も繰り返し行われています。企業は、労働者の権利を尊重し、適正な賃金を提供する責任があります。

参照元:報告書「今後の出入国在留管理行政の在り方」|出入国在留管理庁 p.44

コミュニケーションが難しい

外国人労働者の受け入れにおいては、コミュニケーションの問題も生じがちです。言語の壁や文化の違いにより、職場でのコミュニケーションが円滑に行われないことがしばしばあります。意思疎通が円滑に行われないと、当然仕事にも不都合が生じ、労働生産性に悪影響が出ることは避けられません。

また、コミュニケーションの不足や齟齬は、人間関係の悪化にもつながります。東京都産業労働局の「外国人相談統計」によると、相談内容のうち「人間関係」は約2割を占めており、外国人のいる職場で人間関係が問題になる場合が一定数あることがデータからも読み取れます。

また、コミュニケーションの不全が労働災害の一因となることもありえます。十分なコミュニケーションが取れないと、事故につながる危険を注意喚起することも難しいため、本来なら防げる事故も避けられない恐れが高まります。言うまでもなく、労働災害の発生は労働者にとっても企業にとっても大きな損失につながりかねないリスクです。

参照元:外国人労働相談|東京都産業労働局 p.3(p.37)

外国人労働者を受け入れるメリット

上記のように外国人労働者の受け入れには多くの問題が伴いますが、適切に対応することで、大きなメリットを得ることも可能です。以下のメリットを理解することで、外国人労働者を積極的に採用する意義を見出せます。

人手不足を解消できる

日本の多くの産業分野では、少子高齢化の進行に伴い、人手不足が深刻化しつつある状況です。特に中小企業においては、必要な人材を確保できないことが原因で倒産するケースも増えています。こうした人手不足問題への対応として、女性やシニア層など、従来見過ごされがちだった層の人材を積極的に採用していくことが重要視されています。

外国人労働者の重要性が高まっているのも、まさにこの人手不足問題への対応という面が非常に色濃いです。そこで、これまでアプローチできなかった優秀でモチベーションの高い海外人材を発掘し、育成できる体制をいち早く整えることが重要です。そうすることにより、これからますます深刻化していく国内の人手不足に対して、他社に先駆けて組織の持続可能性を大きく高めていけるでしょう。

組織の活性化につながる

外国人労働者の受け入れは、組織の活性化にもつながります。異なる文化や視点を持つ外国人労働者が加わることで、新しいアイデアや発想、価値観が生まれ、組織全体の創造性が刺激されます。これにより、停滞していた社内の意識が改革され、活気あふれる職場環境を築く助けになるでしょう。

また、外国人労働者の採用は企業のグローバル化を促進する一助となります。外国人労働者の知識やネットワークを活用することで、海外市場への進出やインバウンド戦略の強化も期待できます。

さらに、多様な人材を受け入れることで、ダイバーシティが実現し、企業の競争力向上にもつながります。外国人労働者の採用により、企業は国内外の市場で競争優位性を持つことができ、さらなる成長を遂げることが可能です。

外国人労働者問題の主な解決策

外国人労働者を受け入れる際に生じる問題を解決するためには、企業が積極的に対策を講じることが重要です。以下に、具体的な解決策を紹介します。

社内での待遇の差を解消する

外国人労働者が置かれている問題のひとつに、日本人との不当な待遇差があります。これは外国人労働者の不利益になるのはもちろん、職場への不満による離職の増加や、コンプライアンスに問題のある企業として自社のブランドイメージを大きく傷つけるリスクもあります。したがって、この待遇差を解消することは、企業倫理という面のみならず、経営面から見ても重要です。

まず、当然守るべきなのが最低賃金以上の賃金を支払うことです。従業員の国籍に関わらず、法律に基づいた賃金を支払うことが求められます。これは残業代の支払いについても同様です。しっかり法令を遵守した賃金を支払うことで、外国人労働者の不満を軽減し、安心して働ける環境を提供できます。

さらに、労働条件や賃金に関する契約書をあらかじめ締結することも大切です。契約内容を明確にし、お互い認識のすり合わせを事前にしておくことで、トラブルの発生を防げます。そのためには、日本語が不自由な従業員のために、労働契約書を外国語に翻訳するなどの配慮も必要です。透明性のある契約を通じて、外国人労働者との信頼関係を築けます。

働きやすい環境と支援体制を整える

外国人労働者が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするためには、働きやすい環境と支援体制の整備が必要です。日本語のみでの環境では、コミュニケーションが難しく、パフォーマンスを十分に発揮できない場合があります。

そのため、外国人労働者の受け入れに際して言語面でのサポートは必須です。例えば、外国人労働者に業務内容や社内のルールをしっかり理解させるためには、多言語対応のマニュアルを整備することが役立ちます。また、社内に通訳やバイリンガルのスタッフを配置したり、外国人従業員の日本語学習を支援する仕組みを整備したりすることも重要です。

さらに、外国人労働者が働きやすい環境を整えるためには、文化的な違いを尊重し、柔軟な対応を行うことも求められます。異なる宗教や慣習にも配慮した労働環境を提供することで、外国人労働者が安心して働けるようになります。また、職場内で差別や嫌がらせなどが発生しないように、日本人の労働者に対してもダイバーシティ教育をしたり、外国人労働者と交流して相互理解を深められる機会を作ったりすることも検討しましょう。

外国人労働者受け入れ時の研修に役立つ「Teachme Biz」

先述の通り、外国人労働者の受け入れに際しては、マニュアルの整備が効果的です。日本人ならば暗黙のうちに了解していることでも、外国人労働者には理解しにくいことは多々あります。また、日本語が不自由だと、口頭でその都度教えるだけでは理解不足や誤解が生じる恐れが強いので、外国人労働者に対しては日本人以上にマニュアルが必要になります。

マニュアルの作成・運用に当たっては、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」の活用がおすすめです。Teachme Bizなら、写真や動画を使ったわかりやすいマニュアルを簡単に作成・共有できます。業務上の課題を分析し、マニュアルをより良いものにするための機能も充実しており、外国人労働者の研修資料として非常に効果的です。

Teachme Biz|マニュアル作成・共有システム

マニュアル作成・編集にAIが活用できる

Teachme Bizは、AIを活用することでマニュアル作成・編集の工数を大幅に削減できます。動画の取り込みからわずか15分でマニュアルを完成できるなど、マニュアル作成の工数を90%削減することが可能です。

また、タイトル、説明文の20言語自動翻訳もできるため、多国籍の従業員にも対応できます。さらに、AIによる書き換え機能は「口語」や「やさしい日本語」など複数のトーンから選択可能です。

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20言語に自動で翻訳できる

Teachme Bizは、マニュアルを20言語に自動翻訳できるオプションを提供しています。これにより、「外国語がわからず仕事を教えられない」といった問題を解消し、外国人労働者が母国語で業務内容を理解できるように支援可能です。
自動翻訳機能について詳しく知りたい方はこちら

先述の通り、Teachme Bizでは動画マニュアルも作れるので、言葉だけでは説明が難しい内容もしっかり伝えられます。Teachme Bizを活用してマニュアルを整備することで、言語の壁を超えてスムーズに研修・教育を進め、外国人労働者が安心して働ける環境を整えましょう。

まとめ

少子高齢化の進行に伴い国内の人材が不足していく中、外国人労働者の受け入れは喫緊の課題です。外国人労働者を取り巻く現状や問題点を理解し、適切な対応を行うことで、企業は人手不足の解消や組織の活性化を図れます。外国人労働者の研修・教育に当たっては、言葉の壁が障害になりがちですが、多言語対応したマニュアルを整備することでこの問題を緩和できます。マニュアルの作成・運用に際しては、ぜひマニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」の導入をご検討ください。

またTeachme Bizでは無料トライアルをお申し込みいただけます。「自分達でも簡単にマニュアルが作成できるのか試してみたい」「実際に使ってみて自社に合うか相談したい」という方はぜひ無料トライアルをご利用ください。

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