Copilotの使い方は?Microsoft 365(Officeアプリ)での操作方法を解説

公開日: 2025.12.02

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業務のスピードが求められる一方で、ノンコア業務の対応に追われ、生産性に伸び悩む企業は少なくありません。こうした背景から、日々の業務をサポートする生成AI「Microsoft Copilot」が注目を集めています。
本記事では、Copilot(コパイロット)の概要と料金、アプリ別の具体的な使い方を詳しく紹介します。

Microsoftの生成AI「Copilot(コパイロット)」とは

「Copilot」とは、Microsoftが提供している会話型の AI アシスタントです。業務支援に特化しており、ビジネスで利用する文書作成、データ整理、会議記録、メール処理などの効率化に有用です。

Copilotの特徴

「Copilot(コパイロット)」は、OpenAIのGPTを用いた自然言語処理技術ベースの生成AIです。名称の由来は航空機の「副操縦士」であり、ユーザーの作業をサポートする役割を担うといった意味を示しています。

CopilotはMicrosoftによって開発され、ビジネス向けのMicrosoft 365 Copilot(有料版)では、WordやExcelといった各種アプリやワークツールとスムーズに連携することが可能です。

WordやExcelといったMicrosoft 365アプリ内にAIが直接組み込まれているため、アプリを切り替えることなく作業に集中できます。

本記事では、ビジネス利用を前提としたMicrosoft 365 Copilotについて解説します。

ChatGPTや他のAIツールとの違い

Copilotは、WordやExcelなどのMicrosoft 365アプリ内で利用することを前提に設計されており、業務効率化や生産性向上に特化しています。文書の下書き作成やメールの要約、会議内容の整理といった、日常業務に密着したタスクをそのままアプリ上で実行できます。

このように、業務を中断することなく作業を完結できるのがCopilotの特徴です。

一方、ChatGPTは特定のアプリと連携した利用を前提としておらず、幅広いテーマでの対話や文章作成、アイデア出しなど、汎用的な用途に適しています。情報収集や企画のブレストなど、アプリを問わず利用できる点が優れているものの、Officeアプリ上の作業を直接効率化する機能は備わっていません。

ほかにも、Googleが提供するGeminiをはじめ、生成AIにはさまざまなサービスがありますが、それぞれ得意分野は異なります。ツールごとの得手不得手があるため、それぞれの特性にあわせて使い分けることで、業務効率化を実現できます。各AIツールの特徴を簡潔に比較すると、次のようになります。

ツール名 特徴 利用環境
Copilot Microsoft 365アプリ内の業務効率化に特化。Word・Excelなどの作業をその場で自動化できる Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams など
ChatGPT 幅広いテーマで対話や文章生成が可能な汎用AI。企画・要約・アイデア出しに強い ブラウザ、アプリから単体利用
Gemini Googleサービスと連携し、検索・情報統合が得意。Google Workspaceでの作業効率化に強い Gmail、Google Docs、Sheets、Slides など

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【法人向け】Copilotの種類と使用料

Copilotには複数の種類があり、用途や利用シーンに応じて選択できるようになっています。法人向けに用意されているのは、「Microsoft 365 Copilot Chat」と「Microsoft 365 Copilot」の2種類です。

どちらも同じCopilotブランドのサービスですが、利用できる機能や提供方法が異なります。

種類 料金
Microsoft 365 Copilot Chat 追加料金なし(Microsoft 365サブスクリプション契約者が利用可能)
Microsoft 365 Copilot 4,497円(1ユーザーあたり、年間契約時の月額相当)

「Microsoft 365 Copilot Chat」の詳細

Microsoft 365 Copilot Chatは、Microsoft 365のサブスクリプションを契約しているユーザーであれば追加料金なしで利用できます。Web情報を典拠とするチャットサービスで質問へ回答するほか、ブレインストーミング、文章の基礎構成の作成など幅広い用途に活用できます。エンタープライズ向けのセキュリティが確保されているため、社内の一般業務で安全に利用できるのも特徴です。

Word、Excel、PowerPointなどのファイルをアップロードすると、内容を自動で読み取り、要約やポイントの抽出、分析を行うことも可能です。AIを業務に取り入れたいと検討している企業にとって、導入しやすい選択肢となっています。

「Microsoft 365 Copilot」の詳細

Microsoft 365 Copilotは、Word や Excel、PowerPoint などのMicrosoft 365アプリにAI機能が直接組み込まれる有料サービスです。アプリ内でそのままAIへ指示できるため、文書作成やデータ分析、資料作成などの作業を中断せずに進められます。生成される回答は自社のビジネスデータを参照して生成されるため、業務内容に即したアウトプットを得られるのも魅力です。

月額4,497円(年間契約時の月額相当)で利用でき、日常的に資料作成や分析作業が発生する部門では特に効果を発揮します。

▶参照:Microsoft|ビジネス向け Microsoft 365 Copilot のプラン

▶参照:Microsoft|大企業向けの Microsoft Copilot プラン

WordでのCopilotの使い方

WordでCopilotを利用すると、これまで文章作成にかかっていた手間と時間を削減できます。文書の下書き作成から既存文章の調整まで、幅広い作業をアプリ内で完結できるようになり、大幅な業務効率化が期待できます。

できること:文章作成

Wordに組み込まれたCopilotにより、文章作成を自動化することが可能です。簡単な指示を与えるだけで新しい文書の草稿を生成でき、必要な構成やトーンにあわせた調整も行えます。

既存の文章を選択して指示すれば、文体の変更や長さの調整といったリライトも可能です。また、ドキュメントに関する質問に答えるチャット機能も備えているため、文書の内容理解や情報整理にも活用できます。WordでのCopilot活用は、資料作成の負担軽減に貢献します。

使用例

Wordを開くと、Copilotを呼び出すアイコンが表示されます。ここにプロンプトを入力すると、内容に応じた文書の草稿を自動生成することが可能です。

たとえば、プロジェクトの提案書作成において、「○○年度の売上データをもとに、提案書の目次を3項目で作成してください」と簡単な要件を指示するだけで、提案書の骨子となる下書きが完成します。

Copilot①

Copilot②

既存の文書を開いている場合は、文章の横にあるCopilotアイコンから書き換え指示を出せるため、文章の整理、語調の調整、テーブルとしての視覚化など幅広い作業をサポートしてくれます。

PowerPointでのCopilotの使い方

PowerPoint上で、Copilotを活用すると、スライド資料作成の大幅な効率化が実現します。文章ファイルなどから内容を読み取り、スライドに適した構成へと自動で変換してくれるため、ゼロから資料を作成する必要がありません。

できること:スライド資料の作成

Copilotを利用すると、スライド資料の骨子づくりを自動化できます。文書ファイルに含まれる主要な見出しやポイントを取り出し、適切なレイアウトに落とし込んだスライドを生成するため、資料作成の初期段階にかかる手間を大きく削減できます。

また、取引先や社内から提供された既存のPowerPoint資料を読み取り、内容を要約してくれるため、資料全体の素早い把握が可能です。

使用例

PowerPoint内のCopilotボタンからプロンプト入力画面を開き、「〇〇についてのプレゼンテーションを作成してください」と指示すると、テーマに沿ったスライド構成が自動で生成されます。

ファイルをもとにプレゼンテーションを作成する機能もあるため、WordやPDFなどの文書を読み込んだうえで、その内容を整理したスライドに変換することも可能です。

Copilot③

Copilot④

PowerPointでCopilotを活用することにより、資料作成にかかる準備時間を大幅に短縮できます。

ExcelでのCopilotの使い方

Excel上でCopilotを使用すると、表データの分析や加工、グラフ作成などを効率化できます。文章を使って指示するだけで必要な処理を実行できるため、複雑な関数や分析手法を知らないユーザーでも、作業を進められます。

できること:データ分析やグラフの作成

Excel上のデータを読み取って質問に応じた分析結果を提示したり、必要な表やグラフを自動で作成したりすることも可能です。売上データの比較、商品別の傾向把握、数値に基づく考察など、これまで専門的な知識を要した作業も、自然言語による指示だけで実行できるようになります。

集計や分析に時間がかかっていた業務も短時間で結果を得られるため、意思決定のスピードアップが実現します。データ活用のハードルを下げられる点は、企業にとって大きなメリットです。

使用例

Copilot⑤

既存のExcelファイルを開いた状態で、Copilotに「最も粗利の多い商品を教えてください」と問いかけると、シート内のデータを読み込んだうえで該当する商品名と数値を抽出し、提示してくれます。

ExcelとCopilotを組み合わせる大きな利点として、複雑な関数を用いずに必要な分析や可視化を簡単に実行できることが挙げられます。

OutlookでのCopilotの使い方

OutlookでCopilotを活用すれば、メール対応にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。長文メールの要点を素早く把握したり、返信文章の草稿を自動で作成したりするなど、日々のコミュニケーション業務を効率化できます。

できること:メールの要約や返信文章の作成

長文メールを受信した場合や複数のやり取りが続くスレッドは、内容を把握するまでに相応の時間を要します。OutlookでCopilotを活用すると、要点を抽出して簡潔に要約してくれるため、メール対応の負担軽減に有用です。

また、返信が必要なメールに対して文章のトーンや長さを指定して草稿を生成できるため、返信の方向性も素早く決定できます。重要な情報や対応すべき事項を見落とすリスクを避けるには、メールの読み込みと返信作成の双方を効率化する必要があります。

使用例

たとえば、会議の決定事項が詳細に書かれたメールを受け取った際、「決定事項と今後のアクションを簡潔にまとめて」と指示すると、Copilotは内容を読み取ったうえで主要なポイントを抽出し、整理してくれます。返信が必要な場合は、「丁寧なトーンで返信文を作成して」と依頼するだけで、状況に合った返信文の草稿が生成されます。

Copilot⑥

Copilot⑦

業務量が多い担当者でも、OutlookとCopilotを組み合わせることで、メール対応の時間を減らせるのがメリットです。

TeamsでのCopilotの使い方

TeamsでCopilotを活用すると、発言内容の記録や決定事項の整理が自動で行えるため、会議の準備や後処理にかかる時間を短縮できます。情報の整理と即座のアクセスが可能になることで、参加者の理解度を高められる点が特徴です。

できること:Web会議の要約や議事録の作成

TeamsでのCopilotは、Web会議中の発言内容をリアルタイムで記録し、議論の流れや決定事項を自動で整理してくれます。会議の終了後、要点の振り返りやタスクを整理できる点も便利です。

「今日の会議の主要な決定事項は何ですか」といった質問にも答えてくれるため、議事録の作成や業務の引き継ぎがスムーズに行えます。

使用例

会議に途中から参加した場合、「これまでの議論の要点を教えてください」とCopilotに指示すると、内容が簡潔にまとめられて提示されるため、内容を素早く把握できます。また、会議の終了後に「次回の会議までに完了すべきアクションアイテムをリストアップしてください」と依頼すると、タスクが自動で整理され、担当者間での素早い共有が可能です。

以下は、Teams上でCopilotに会議メモを要約させた際の実際のイメージです。

Copilot⑧

Copilot⑨

Teamsでの活用は、時間が限られている会議でも、内容の把握とタスク管理をスムーズに進められる点が大きなメリットです。

Copilotを使用する際の注意点

Copilotの導入を成功させるには、適切な運用が欠かせません。効果の最大化と潜在的なトラブルを避けるために、ライセンス要件やデータ管理、AI特有の注意点を理解しておきましょう。

Microsoft 365のサブスクリプションを契約する必要がある

Copilot for Microsoft 365を利用するには、Microsoft 365 Business Standard や E3 など対象のサブスクリプション契約が前提となります。無料版のCopilotでも文章の作成やアイデアをリストアップできますが、WordやExcelといったアプリと直接連携して使用するには、有料ライセンスが必須です。

Copilotの導入を検討する際は、自社の利用環境が対応プランに含まれているか事前に確認しましょう。

生成AIは間違いを含んでいる可能性がある

Copilotが生成する文章や分析結果は、すべてが正確とは限りません。中には、事実と異なる情報が含まれている可能性があります。そのため、生成されたコンテンツは必ず人間がダブルチェックを行い、誤りがないか確認する必要があります。また、AIが生成した回答は文脈を誤って解釈したり、推測を交えて表現したりすることもあるため、業務文書や外部向け資料として利用する際は、十分注意しましょう。

AIが提供する情報には限界があることを理解し、結果をそのまま鵜呑みにしない姿勢が求められます。たとえば、生成した内容をそのまま公開したり、根拠を確認せずに業務判断へ反映した場合、リスクにつながる可能性があります。

Copilotを活用する際は、AIの特性を把握し、人間による最終チェックを前提に運用しましょう。

セキュリティの観点から個人情報・機密情報の入力は避ける

生成AIやチャットボットに個人情報や企業の機密情報を入力すると、情報が外部へ漏洩する可能性があります。たとえCopilotがMicrosoft 365の環境内で動作しており、一定のセキュリティが確保されているとしても、入力内容をそのまま扱う点は変わりません。

社内の顧客データや内部資料、未公開の戦略情報などをプロンプトとして直接入力することは避け、必要最低限の情報だけを指示に使用することを徹底しなければなりません。情報の取り扱いに関する組織としてのルールを整備するようにしましょう。

どの範囲までAIに入力してよいのか、どの情報は扱ってはいけないのか、といったガイドラインを設けることで、利用者ごとの判断の差を防ぎ、安全にCopilotを活用できます。

まとめ

Microsoft 365 Copilotの最大の強みは、WordやExcelなどのアプリにAIが直接組み込まれる点です。これにより、作業中のアプリを切り替えることなく作業に集中できるため、資料作成やデータ分析など、ノンコア業務にかかる時間を大幅に短縮できます。

ただし、利用には対象となるMicrosoft 365のサブスクリプションが必要です。Copilotを活用する際は、生成AI特有の誤情報、個人情報や機密情報の取り扱いに十分注意し、適切なルールを設けて運用することが大切です。ノンコア業務の負担軽減に向けて、簡単な指示で業務を代行してくれるCopilotを活用しましょう。

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