業務可視化とは? 目的やメリット、見える化のおすすめツール

最終更新日: 2024.07.04 公開日: 2023.03.28

business-visualization

「業務の無駄を見つけて改善したい」「作業の全体像を把握できるようにし、業務効率化に役立てたい」と考えている企業経営者・担当者は少なくありません。
本記事では、業務改善・生産性向上を実現する方法として「業務可視化」について解説します。可視化するメリットやおすすめツールも紹介するので参考にしてください。


業務効率化の第一歩「業務棚卸し」の方法とは資料ダウンロード

業務可視化とは

業務可視化とは、ビジネスにおける業務がどのような流れで行われているか、目で見てわかるようにする取り組みのことです。具体的には、業務プロセスや各工程における情報(目標・計画・進捗状況・実績・評価など)を図や表を用いて理解できる形にします。

業務可視化によって自社業務を俯瞰して見ることができるので、現状の問題点や無駄を抽出することが可能になります。業務効率化や業務量の調整などを行う際に最初に必要な工程が、自社の業務の全体像・流れを見えるようにすること、業務可視化です。
なお、「契約業務の可視化」など、一部の業務のみを可視化する場合もあります。

見える化とは

「業務可視化」と似たような言葉で、「業務の見える化」という言葉もよく使われます。決まった定義はありませんが、可視化(目で見てわかる状態にすること)にプラスして「意識せずとも常に見える状態にする」という意味で使われる場合が多いです。

つまり、情報を多くの人の目につく状態にし、共有する必要がある場合に「見える化」の文言は使われます。たとえば、スタッフの稼働状況や製品の在庫状況などをモニターで表示されるようにすることが挙げられます。これにより、スタッフの配置換えや受発注業務を滞りなく行うことができるでしょう。

業務可視化を行う主な目的

何の目的で業務を可視化するかは、企業によって異なります。目的によって図式化して作成すべきものや使用するツールが変わるので、主な目的を確認しましょう。

業務改善のため

業務可視化の目的でまず挙げられるのは、「自社の業務を改善するため」でしょう。

  • なぜか業務が滞る
  • 属人化している業務が多い
  • 生産性が上がらない

上記のような悩みをもつ企業が業務を改善するためには、業務全体の中でどの部分にどのような改善すべき課題があるのかを知ることが重要です。そのために、業務やプロセスを可視化します。業務の全体像が見えることによって、業務の無駄や問題点を把握し、改善へとつなげられるようになります
たとえば、タスク管理表を導入すれば、従業員間の業務量のばらつきなども見えるようになります。業務量を適切に配分し直すことができるので、生産性を上げることも可能です。

ツールの導入を検討するため

デジタル化を推進したい企業がビジネスツールを導入するにあたって、業務可視化を行う必要が出てくる場合もあります。なぜなら、どの業務でなんのツールが使えるか、整理する必要があるからです。

しかし、その業務可視化自体、エクセルなどで一つ一つ情報をまとめるのは困難な場合が多いです。そのため、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)を利用するケースが考えられます。BPMとは、現状の業務プロセスを可視化し改善へとつなげるPDCAサイクル(計画(Plan)→ 実行(Do)→評価(Check)→改善(Act))を回す取り組みであり、経営手法です。専用のツールを使用しなくてもBPMに取り組むことはできますが、企業としてデジタル化を図るなら、BPMツールの利用を検討してもよいでしょう。

また、業務プロセスを管理・改善するBPMと連携することで、業務全体を最適化できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)システムもあります。RPAとは、データ入力などの、主にバックオフィスが行う定型業務を自動化する技術のことです。どの部分をロボットに任せるかを振り分ける際には、BPMツールと連携できていると便利です。

このように、ビジネスツール選定の際にも、業務可視化の作業は深く関わってきます。

業務の仕組みを整えるため

企業が健全に運営するためには、業務の仕組みを整え、内部統制を機能させなければなりません。内部統制とは、企業の経営目標や事業目的を達成するために必要なルールや仕組みのことです。
具体的には、以下の資料を作成することが必要です。

  • 業務の流れを図などであらわした「フローチャート
  • 作業内容を業務ごとに記した「業務記述書
  • 業務におけるリスクとその対応策を記した「リスクコントロールマトリックス

特に業務可視化と関連が高いのが「フローチャート」です。製品やサービスの販売プロセスなどを図式化することが、内部統制では必要です。取引発生から集計、会計処理の流れまでが明確になるので、経営の透明性を高めることに役立ちます。フローチャートと業務記述書を作成後、リスクと統制(コントロール)を設定し、リスクコントロールマトリックスに落とし込みます。

健全な運営のための仕組みを整えていないとミスやトラブルを招く恐れがあるので、その作業のなかでも業務可視化は重要な位置を占めています。

業務可視化を行うメリット

業務可視化を行うメリットは、それぞれの目的を達成できることです。また、想定していなかったことに役立つこともあるので、考えられるメリットを紹介します。

業務の全体像が把握できる

業務可視化の最も基本的なメリットは、業務プロセスや組織の全体像が把握できるようになることです。組織全体の業務がどのような流れで行われ、業務同士のつながりはどのようになっているのかを可視化すれば、企業全体でマクロ的に自社を理解できます。

経営者が全体像を把握できれば、現状の問題点を見つけ出し、改善策や今後の経営戦略に活かすことができるでしょう。また、従業員は、自分の担当業務が全体のどの部分で事業にどういった影響を与えているのか、何を果たさなければならないのかを理解でき、仕事へのモチベーションにつながります

効率アップにつながる

業務プロセスの可視化を行うと、業務のどこに時間がかかっているのか、どこに無理や無駄があるのかがわかります。工数、コスト、従業員のスキル、人数、そしてそれぞれのつながりのなかで問題点を発見することができれば、改善策へとつなげることが可能です。

業務分担や非効率な作業の見直しなどを行うことによって、業務効率アップや生産性の向上が見込めます

従業員同士で情報共有できる

業務プロセスの可視化には、全従業員が共通の認識をもち、情報の共有ができるメリットがあります。

たとえば、営業の業務プロセスを可視化した場合、顧客情報を部内で管理し共有することによって、担当者以外でも対応が可能になります。クラウドツールを使用し管理を行えば、営業の進捗状況や活動報告をリアルタイムで共有することや、電子契約書の共有により上司がすぐに確認を行い電子サインで対応することが可能です。

従業員同士がお互いの仕事内容や情報を共有できれば、属人化も解消されます。問題が起きたとき、あるいは起きる前に誰かが気づくことができるので、ミスやトラブルの回避につなげられます。

作業者のミスを減らせる

業務プロセスの可視化は、作業者のミスを減らすことにも役立ちます。
表の作成方法は、それぞれの業務との関係性を図式化したものに加え、「業務の詳細」「業務マニュアル」の欄を設けて併記、または文書や動画のリンクを貼ります。それらを従業員が確認することにより、バラつきのあった業務態勢を標準化することが可能です。

分厚い冊子のマニュアルは隅々まで読むことが難しいので、業務プロセス表のなかで流れと照らし合わせながら詳細を確認できるのは、大きなメリットです。ノウハウが共有されれば、組織内でミスに気づきやすく、トラブルを回避しやすい環境がつくれるでしょう。

また、業務プロセスに「チェック」の工程が明確にないことに気づく場合が意外とあります。そのような場合、フローを再構築してチェック工程を設ければ、作業者のミスを減らすことができます。

業務可視化を行うときのポイント

業務可視化を行う際にはいくつかのポイントがあるので解説します。これらのポイントを押さえることによって、適切に業務プロセスや見えていなかった課題などを可視化できます。

業務効率化の第一歩「業務棚卸し」の方法とは資料ダウンロード

課題や改善点を抽出する

現状の業務内容や業務フローで、どのような点に課題や負担を感じているかを従業員からヒアリングしましょう。従業員の「生の声」からは課題が見つけやすいため、可視化すべき最たるものです。他にも、以下のようなものを数値化できるものは数値化し、データ化することで、誰もがわかる形にします。

  • 明らかになっていないが、実際には必要な工程
  • 仕事の成果や評価
  • 従業員の労働環境

これらのデータを業務可視化時に組み込むことは、経営者はもちろん、従業員同士でも改善すべき課題を見つけることに役立ちます。組織全体で共通認識を持って課題解決に向かうことができます。

マニュアルを作成する

業務プロセスをフローチャート化して明らかにできたら、それをそのままにせず、マニュアルも作成しましょう。流れがわかった上で、実際の作業も誰もが同じ手順で行えるようにするためです。担当者の欠勤時対応はもちろん、突然の退職や休職が発生した際にスムーズに引き継ぎを行うことができます。新人教育の際にも活用可能です。

マニュアルは、業務プロセスのなかで、詳細がピンポイントで必要な場合にも作成しましょう。各企業でマニュアルが必要な場面は異なります。業務を図式化できたら、自社にとってどこにマニュアルが必要かも見えやすくなります。また、マニュアルは一度作成したら終わりではなく、必要に応じて見直し・改善を繰り返していくことも重要です。

業務可視化に役立つツールを活用する

業務可視化を行う際には、以下のような方法があります。

  • エクセルなどを使用し、一からフロー図を作成する
  • ダウンロードできるテンプレートを利用して作成する
  • フローチャート作成システムなどのツールを活用する

業務プロセスなどを可視化した表は、エクセルやテンプレートを使用しても作成できますが、手間や時間がかかり、更新時の共有方法などの確認も必要です。簡単に作成し、更新も随時行いたい場合は、フローチャート作成ツールを活用しましょう。ツールにはそれぞれできること・できないことがあり、デスクトップアプリ・モバイルアプリ・クラウド対応型などの種類もあります。「データを取り込めるか?」「リアルタイムで共同編集できるか?」など、自社の要望にあったものを利用することが大切です。

また、ワークフロー作成以外の業務可視化ツールもあります。たとえば、ヒアリングでは見えにくい、従業員が業務にかける時間や傾向、リモートワーク社員の稼働状況を可視化し、分析するツールなどです。業務を可視化するためのツールはさまざまなものがあるので、導入を適宜検討しましょう。

業務可視化に役立つおすすめツール

業務可視化は、あらゆる角度から行われます。おすすめのツールを紹介するので参考にしてください。

Teachme Biz

Teachme Bizは、マニュアルの作成・共有・運用が簡単にできるシステムです。業務手順をステップとして表示し、ステップごとに画像や動画、説明文などを設定できます。既存のPDFデータなどのマニュアルを取り込むことも、エクスポートも可能なのでさまざまなシーンでの活用が想定できます。

Teachme Bizはすでに多くの企業で導入されていますが、以下のような企業に特におすすめです。

  • 業務を単純化・徹底化・標準化したい
  • 社員がいつでも学べる環境を整備し、顧客満足度向上につなげたい
  • 技術伝承に役立てたい

クラウド型で、時間や場所を問わずマニュアルの作成や閲覧が可能です。「スタータープラン」「ベーシックプラン」「エンタープライズプラン」の3種類のプランがあり、ベーシック・エンタープライズでは、従業員の学習進捗が可視化できる「トレーニング機能」により従業員研修をサポートします。すべてのプランで無料トライアルがあるので、まずは無料トライアルを試してみるのもよいでしょう。

参照元 : Teachme Biz

Qasee

Qaseeは、業務プロセスを把握するのに役立つ業務可視化ツールです。業務の流れ、かかる時間、コスト、業務割合などを集計データにより実数として見ることができます。設定は簡単で、PCに専用アプリケーションをインストールし、計測対象のプロジェクトや作業を登録するのみです。あとは通常通りに作業すれば、指定した業務データを自動で抽出してくれます。

作業時間などの算出データは各従業員の業務実態としてレポート化され、生産性や業務負荷状況を把握するのに役立ちます。管理者は人的コストを加味したチーム編成を考えることができ、従業員は自分の働き方を把握することでセルフマネジメントも可能となります。

参照元 : Qasee

ContractS CLM

ContractS CLMは、契約プロセスの最適化と一元管理が行えるツールです。企業規模などにあわせて契約書のワークフローを柔軟に設定でき、担当者の情報や関連書類などの契約にまつわる情報を可視化できます。

契約書の作成から内部のレビュー、承認、締結までを一元管理することでリードタイムが短縮され、契約業務の大幅な効率化が可能です。契約書作成から締結までの時間を14日から1日へと短縮できた事例もあり、ビジネス機会の損失を防ぐことにも役立ちます。
また、アクセス権限を設計できるので、機密情報が漏れるなどのコンプライアンスリスクの回避ができる点も安心です。

参照元 : ContractS CLM

MeeCap

MeeCapは、従業員のワークログを収集、可視化、分析を行うツールです。PCでの作業において、「誰がどの業務にどれくらい時間をかけているか、その所要コストはいくらか」のデータを自動で収集し、グラフなどで可視化します。それにより、非効率な業務を割り出し、改善に取り組むことが可能となります。

また、わかりやすい分析ダッシュボードも特徴で、個人単位での業務時間や時系列での業務発生状況などが網羅的に可視化されます。製品は、「コンタクトセンター向け」「バックオフィス向け」「アウトソーシング向け」と業種や業務の抱える課題にあわせて柔軟に選べます。

参照元 : MeeCap

まとめ

業務可視化とは何か、業務可視化のメリット、おすすめのツールなどを解説しました。ポイントを整理すると下記になります。

  • 業務可視化とは、業務プロセスや組織内のつながりを図式化してわかりやすくする取り組み
  • 「業務の全体像が把握できる」「業務効率アップにつながる」など多くのメリットがある
  • 業務を可視化して達成したい目的を明確にする

目的にあわせて、業務全体のプロセスや可視化すべき箇所にフォーカスをあて、フローチャートやマニュアルを作成しましょう。自社で作成するリソースがない場合などは、ご紹介したツールも活用して、業務可視化に取り組んでみてください。

この記事をSNSでシェアする

マニュアルで生産性革命をおこそう

マニュアルは、上手く扱えば「単なる手順書」以上に大きな効果を発揮します。
生産性の向上はもちろん、「企業を大きく変える」可能性を秘めています。

Teachme Bizは、マニュアルであなたの企業にある課題を解決し、
生産性を向上するパートナーでいたいと考えております。
「組織の生産性を向上したい」「変える事に挑戦したい」と思う方は、
わたしたちと生産性の向上に挑戦してみませんか。

マニュアル作成・共有システム
「Teachme Biz」はこちら