あらためて、生産性とは何か
「生産性」という言葉自体はよく使われますが、そもそも生産性とは何なのでしょうか。
生産性とは、「労働投入量」あたりの「価値の割合」のことです。
たくさん働いているはずなのに、売り上げや価値提供になかなかつながらない状態を「生産性が低い」といい、少ない人数、少ない時間、少ない資産でたくさんの付加価値を提供できている状態を「生産性が高い」ということができます。
少ない人数・時間・コスト(分母)で
付加価値が高い結果(分子)をだせると、労働生産性が上がる。
この式に基づくと、生産性を高める方法は
・今と同じ労働量で、今以上の付加価値を提供するか
・今と同じ付加価値を、今より少ない労働量で生み出すか
・もしくは、その両方を行う 必要があります。
これらを実現するために企業は、ツールの導入、人材育成、DXなど様々な手法で取り組んでいます。その手法のひとつが、マニュアルです。
なぜ、マニュアルが生産性を向上するのか
マニュアルで生産性が向上する流れを具体的に紐解いていきます。
業務の標準化
マニュアルを作成する前に、まずマニュアル化する業務を可視化し標準化する必要があります。標準化とは、「業務の最適な手順を決め、統一し、誰がやっても同じ成果が出せるようにすること」です。
例えば、会社の設備や店舗の清掃の際、人によって使う掃除道具や掃除をする順番が異なっていた場合、一番綺麗で、早く掃除が出来る人のすすめ方を参考にして、最適な手順を決めていきます。
この整理の工程で業務が見直され、ムリ・ムダ・ムラのある業務を洗い出して廃止・改善することができ、さらに業務自体の効率化にも繋がります。
マニュアルの作成
業務を整理し標準化できたら、いよいよマニュアルの作成です。
マニュアルという形に残すことで、業務が仕組み化され、業務を共有できるようになり、業務のノウハウを蓄積できるようになります。
マニュアル化でのメリット
業務を仕組み化することで下記のようなメリットが期待できます。
・誰でも正しく業務が行える再現性が担保できて、業務品質が安定する
・わからないことを人に聞かずに素早く解決できる
・引き継ぎがスムーズに進められる
・属人化が解消される
・短い時間で効率よく業務を行えるようになる
このように、業務を整理しマニュアルを作成・活用することで、生産性の向上に繋がります。マニュアルと聞くと「作るのが面倒」というようなネガティブな印象を持たれることが多いですが、マニュアルを作成し正しく活用することで、一人一人の生産性が高まり、企業の生産性向上に貢献することができます。
一方で、マニュアルは「確かに効果はあるけど、そこまでインパクトがあるものとは思えない」という印象があると思います。
マニュアルというもの自体は新しく生まれたものではなく、古くからビジネスの世界で活用されている道具です。ビジネスマンであれば誰もが一回は見たり読んだりしたことがあるものですが、「読んでもよくわからなかった」「マニュアルを作ったけどあまり見てもらえなかった」…というようにあまり良い結果を得られなかった人も多いため、悪い印象をいだきやすいのでしょう。
それらの経験は、マニュアルが機能していないから良い結果につながらなかったのです。
実はマニュアルには、「機能するマニュアル」と「機能しないマニュアル」があります。
次は、それらの特徴と、違いについてご紹介いたします。