IT 化が進んだ製造業の会社が教える、Salesforce定着を効率化できる 3 つのポイント──Salesforce World Tour Tokyo 2019 セッションレポート(後編)

最終更新日: 2020.03.30 公開日: 2020.03.27


Teachme Bizプロダクトマネージャーの木本です。

Salesforce World Tour Tokyo 2019にて、Teachme Biz for Salesforceをご利用いただいているMipox株式会社の千野様をゲストに迎え、「Salesforce定着は社内でどう進むのか?」という対談セッションに登壇させていただきました。

前編では、製造業の会社でありながら多くの ITツールを導入して業務効率化を実現しているMipoxさんの、「Salesforceを導入した際はどんな工夫をして現場に定着させたのか」というお話を紹介しました。

後編では、そんな Mipoxさんの経験に加えて、私がこれまで聞いてきた他のSalesforceアドミンの方の話も思い出しながら、「Salesforceを定着させる上で、効率化できそうなポイントはどこか?」というお話をまとめます。

結論としては、Salesforce定着を効率化するためには

  • - 導入推進者があらかじめ知識をつけておく(無駄な開発をせず、負の遺産を作らない)
  • - 各チームに協力者を増やし、研修・マニュアル整備を任せる(一人で抱え込まない)
  • - IT ツールを使い倒し、教育の学習効率を高めていく(対面での研修と問い合わせ対応をできる限り減らす)

という 3 つがポイントになります。では、それぞれについて詳しく説明していきます。

Salesforceの知識を身につけることで、回り道をせずにすむ

Salesforce定着を効率化する一つ目のポイントは、知識をつけること。

とはいえ、Salesforceは多くの機能があるため、何から学べばいいのか分かりづらいかもしれません。

では、これからSalesforceを導入するという方は、まず何の知識から身につければいいのでしょうか。Mipoxの千野さんいわく、スタート時点では “基本的なこと” を意外に見落としがちだそうです。

「まず、Salesforce公式の機能を知ることが必要です。私は年 3 回のリリースノートにも必ず目を通して、新しい機能を把握しています。
なぜかというと、標準機能を知っていれば、回り道をしなくて済むんです。Salesforceはカスタムで機能も作れるのですが、手間がかかりますし、メンテナンスも必要になります。標準機能だけを使っていれば、当然Salesforce社がサポートしてくれるので、かなりの効率化になります」

最初からカスタム開発をすると、導入時点でコストがかかるだけでなく、定着後にもっと活用していきたいというタイミングでも影響が出てきます。

実際に、これからSalesforceを導入される方へのアドバイスとして、千野さんと同じ内容を語る管理者の方もおられます。

当社の場合は「前に使っていたシステムと同じ感覚で使えるように」と設計した結果、標準機能でできることをカスタム開発してしまい、追加開発がしづらくなってしまいました。 ですので、次に開発をする場合は、開発というよりも “戻す”、選択と集中のフェーズになると思います。
「なぜ私が担当に?」状態から導入してわかった、注意すべき 3 つのポイント──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol 3. アクシスコンサルティング株式会社様

また、Salesforceを触ったことがない立場で管理者に任命された方の経験談を伺っていると、みなさんが「知識はあればあるほど良いよ」「初心者がつまずくところは共通しているから、事前に知っておくと防げるよ」と口を揃えておられます。

振り返ると、知識があればあるほどプロジェクトはスムーズに進むと思いました。
私は去年はじめてSalesforce公認のトレーニングを受けて、資格も取得したのですが、今までやってきたことがすべて繋がった気がしました。
新システムの研修で“詰め込みすぎ”は禁物。コツコツ伝え続けることが、最終的には定着への近道に── Salesforce 導入 〜 定着の道のり Vol.9 共同印刷株式会社様

そして、Salesforceの運用は、ずっと続くものです。だからこそ、千野さんは今でも、さまざまな手段で新しい知識を吸収しているそうです。

「AppExchangeを調べる際には一つコツがあり、海外のページを見たほうがいいです。日本向けに作っているもの以外にもたくさんあるので、より知識が身につきます。
また、Communityの情報や、以前出させていただいた “匠ウェビナー” も役に立つと思います」


(AppExchangeページ(英語日本語)の比較(2020.3.24時点)

現場に協力者を増やすことで、教育の負荷を分散する

Salesforce 定着を効率化するためには、一人で抱え込むのではなく、社内の協力を得ることも重要だといいます。

「Mipoxでは、各チームの業務についての教育は、基本的に各チームに任せています。当然、マニュアルの作成も各チームの仕事です。
私たち IT チームは、会社の事業に関しては理解しつつも、業務プロセスを描くのはその部門でお願いしています。時には運用状況をチェックする役割で口を出すこともありますが、情報開示をしつつ、システムの運用すらも各部門の責任として捉えてもらうように変えてきました」

Salesforceに限った話ではありませんが、業務の教育には大きな負荷がかかります。Salesforceの利用部署が広がるほど、一人のSalesforce管理者がすべてを担うのは難しいため、負荷をできる限り分散させることが組織全体に定着させる鍵となります。

では、どうしたら現場のメンバーにスムーズに協力してもらえるのでしょうか。

「キーワードは ”責任感” だと思います。そのデータは誰の持ち物なのかということを理解してもらえれば、自ずとデータを管理し、現場のメンバーを教育する人も決まってきます。
具体的に言うと、弊社では『商談のデータは誰の持ち物ですか?』『では、人事のデータは?』などと整理して、オーナーを決めていきました」

責任感という視点で人を巻き込んでいくアプローチは、確かに分かりやすいですね。

他社の事例でも、状況に応じたアプローチで協力者を増やしていったというお話は伺います。たとえば、若手社員をアンバサダーとして任命したという企業もあります。

操作方法ってマネージャー、チーフ、スタッフって下ろしていくことが多いので、最初はマネージャーに教えていたんですが、マネージャーってそもそもめちゃくちゃ忙しいんですよ。なので彼らに教えることは諦めて、各拠点で当時の新卒 2 年目の社員をSalesforceのアンバサダーにすることにしました。「売上は今は先輩達に頼るとして、その分Salesforceに関しては一番詳しくなれ」って言って僕が直接その社員たちに教えていました。そうすると他の社員の人達はちょっとわからないことがあると、「どうやるの?教えて」ってアンバサダーに聞くわけです。すると 2 年目の社員も自分が役に立ててる実感が持てるようになります。それが結構上手くいきましたね。

売上だけではなく、行動プロセスを可視化し評価することが Salesforce の活用定着へ繋がる (前編) ──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol.6 株式会社アイスタイル様

とはいえ、協力者が見つかっても、その人達にマニュアル整備や研修を任せられるレベルになってもらうためには、どうしても千野さんのようにとりまとめをする管理者・導入推進者への負担が大きくなります。

そもそも、教育自体の作業効率が高くなければ、教育者を増やすにつれてコストが増大していきます。そして、「研修やOJTで、人から人へ伝えていく中でナレッジが “薄まってしまう”」という点も、教育面での悩みになります。

教育の効率を高めるために、さまざまなツールを活用する

Salesforce定着を効率化する最大のポイントは、やはり教育です。教育では、コストを削減しつつ、研修やマニュアルの効果を最大化することが求められます。

前編でも紹介しましたが、Mipoxさんでは「社内用語」「手順(ツールの操作方法含む)」「ナレッジ」といった情報の種別にマニュアル化するため、様々なツールを活用されています。

弊社のTeachme Bizも、2017 年にものづくりのマニュアルを刷新しようというタイミングでお声がけいただきました。教育ツールを選定する際は、伝わりやすいことはもちろん、教育する人のコストを削減できるかどうかも重視されているそうです。

「Teachme Bizの導入前は、紙やPowerPointでマニュアルを作っていました。しかし、作成・更新が大変な上に、あまり読んでもらえていませんでした。
導入する上では他のサービスとも比較したのですが、Teachme Bizさんはかなり優れていて、教える側も、教えられる側も効率化できると思いました」

今では、Salesforceの教育以外でも、人事や総務の方々がTeachme Bizを使って各種申請のマニュアルを作ってくれているそうです。

(デモ操作の動画はこちらの動画の19:05~21:40まで)

もちろん、対面での研修が不要になるわけではありません。とはいえ、集合研修には大きなコストがかかるので、必要な場面に絞って、効果的に実施することが重要です。

Mipoxさんでは、対面でツール導入の意義やSalesforce独特の用語・概念を説明し、マニュアルと相互にフォローする仕組みにしたそうです。

「理解が難しいことは、まず研修で目的を理解してもらうように意識しています。目的が分かっていないと、社員にとっては余分な労力がかかるだけですから。

ただ、集合研修だけでは限界があるので、その振り返りができるコンテンツも同時に作っておきます。マニュアルも集合研修も、一度で内容を覚えられなくても、必要な時にすぐに情報を見つけ出せればいいんです」
「非 IT の現場でも、みんな本当はITツールを使う意義を知っている──Salesforce World Tour Tokyo 2019 セッションレポート(前編)

研修で10の内容を教えても、一度ですべてを覚えてもらえるわけではありません。さらに、Salesforceの操作方法、データ入力のルールなどは、実際に現場で使う頃には忘れてしまっている場合もあります。

そこで、ただ情報を集約するだけでなく、手軽に “研修の復習” ができるような仕組みに落とし込むことで、学習効率を高めることができます。

「ITチームとしては、『あるべき検索の窓口はどこなのか』などとよく考えています。
ただ、検索してもらうことにも考える負担はかかります。ですから、Teachme Biz for Salesforceのように、今操作している画面の中にマニュアルが表示されていて、1クリックでアクセスできるシステムは良いですよね」

Teachme BizをSalesforce以外でも最大限に活用するには?

せっかくなので、千野さんにはTeachme Biz による手順書をより活用するコツも聞いてみました。

「Teachme Biz を使っていても、意外にアプリでの簡単なキャプチャー方法を知らないんですよ。アプリを使えば、画面操作でも動画で録画して簡単に編集できるので、社内では “Teachme Biz を使って動画編集に挑戦しよう!” と言って、色んな社員が分かりやすい動画マニュアルを作れるように刺激しています」

確かに、システム操作だけでなく簡単に様々な動画をキャプチャしてビジュアルベースの手順書をつくれることは、Teachme Bizの大きなメリットです。

また、 MipoxさんではSalesforceに限らずさまざまな分野の教育でTeachme Bizを活用されているため、マニュアル作成の効率化以外にもメリットを感じているそうです。

「Mipox は製造業の会社なのでISO対策もしているのですが、Teachme Bizさんの承認機能には助かっています。
せっかくのマニュアルも後からよかれと思って編集で内容を変更すると、ISOの視点では変更点を明らかにした管理にならないので、NGなのです。承認フローがあるSalesforceの中でマニュアルの承認まで実装するのは大変なのですが、Teachme Bizを使うことで、手順書の変更を責任者に申請して、許可を得たものから順次公開するという仕組みを簡単に実現できます」

また、工場での活用事例ではQRコードを活用し、Salesforceと同じように、現場でマニュアルを探す手間なくすぐに手順を確認できる仕組みを作られています。

Teachme Bizでシステムから作業手順までの様々な内容を効率的にマニュアル化し、メンバーがいつでも作業現場で学びやすい環境を作ることで、新しい取り組みをどんどん組織に定着されているようです。

・参考:このセッションで使った登壇資料

お問合せ:フォームからお問い合わせください
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