ツールを用意しただけでは使われなかった。まずは組織のデザインが必要だった──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol 4. ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様 | マニュアル作成・共有ツール - 「Teachme Biz」

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ツールを用意しただけでは使われなかった。まずは組織のデザインが必要だった──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol 4. ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様

導入フェーズごとの課題とアクション

数値目標を追うセールス職だからこそ、「自分が効率良く受注できるように」仕事を進めてしまう。しかし、個人個人のやり方で情報を管理していて活動状況が共有されない、顧客マスタや案件/受注/請求といった取引情報をExcel台帳で管理しており台帳間の転記で単純なミスが頻発してしまう──

幅広い領域でのコンサルティング業を手がけるケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社では、そんな悩みを抱えていました。

コンサルタントを経て管理部門に異動していた池田さんは、2014 年から二度にわたる Salesforce 導入〜定着プロジェクトのメイン PM(プロジェクトマネージャ) を担当されました。現在は約 120 名の従業員が Salesforce を活用し、情報を可視化する文化が定着したそうですが、“脱・Excel” を実現するまでには一体どんなプロセスがあったのでしょうか。

「とりあえずExcel で管理する」結果、入力・転記ミスが多発

──御社のケースでは、Salesforce の導入〜定着に「一次開発」と「二次開発」のフェーズがあったと伺いました。

はい。一次開発は 2014 年に始まり、私は PM としてプロジェクトに参画していました。当時は営業活動の強化というよりは受注後の原価・売上の管理や勤怠・経費の管理をするためのツールとして導入しました。

──どれくらいの期間のプロジェクトだったのでしょうか?

一次開発は 4 月からの約 10 ヶ月ですね。2.5 ヶ月で要件定義をして、製品選定やデモが 8 月の半ばくらいまで。それからプロトタイピング・設計が始まり、開発とテストを終え、翌年の 2 月に運用開始でした。
その後、二次開発を約 3 年後に実施しています。

──資料を見ると、すごくかっちりプロジェクトマネジメントをしてますね。この導入プロジェクトでもコンサルタントの経験が生きているのでしょうか?

そうですね。それはあると思います。

──当時はどうやって売上や経費・勤怠の情報を管理されていたのでしょう?

Excel とメールでした。複数のExcel台帳間で転記することになるので、日付や金額・名前などの入力ミスが起こっていました。しかも、月末の段階でミスが発覚するので業務が “手戻る” ことになり、営業支援や経理担当者の負荷が大きかったんです。

セールスの現場では、たとえば前に営業が訪問していた顧客なのに、訪問情報が共有されておらず、別の営業が「はじめまして」状態で訪問してしまうという問題もありました。

──ちなみに、このプロジェクト資料に魚の名前が入っているのはどういう意味でしょう?(笑)

会社が成長している今、まずは中間地点を目指すシステムを作ろうと。ハマチはブリの成長過程なので、「僕らの会社がブリになるために、まずハマチを目指そう」という意味でプロジェクト名を “ハマチ” にしました。

まぁ、ハマチは一説によると養殖のことを言うんじゃないかと指摘もあったのですが(笑)。

──諸説あるんですね(笑)ちなみに、一次開発の効果はどの程度感じられましたか?

一次導入後は、受注・請求処理に係るミスが激減しました。受注時に請求などに必要な情報を登録してチェックしておくことで、正しい情報に基づいて後続の処理が行えるようになったからです。

単純なミスがなくなることで、経理や事務のチェック作業や手戻り作業もゼロになったので、すごく安心できました。

──特に苦労したことは何ですか?

ユーザーのトレーニングですね。全社の勤怠・工数や経費申請が一気に変わり、厳格になったので、不満も聞こえてきました。

──トレーニングはどういうことをされたのですか?

集合研修や、Excel や PowerPoint 形式でのマニュアル公開です。研修は集まった社員の前でプロジェクトメンバーが入力方法を見せるという形式だったのですが、実際に自分で使ってみると戸惑いがあったかと思います。

特に最初は「間違って申請しちゃったんだけど…」という質問が多かったです。あとは、契約書番号の打ち方や、どの情報をどの画面に入れるかといった操作方法やルールの質問はよく受けました。一度覚えてもらえればミスはなくなりますが、定着段階では苦労しました。

マニュアルも、3 週間で終わる予定が 1〜2 ヶ月かかったほど時間をかけて整備したのですが、量もあるのでなかなか読んでもらえませんでした。

Excelで作成したマニュアル。3 週間で終わる予定が 1〜2 ヶ月書けてしまった。

Excelで作成したマニュアル。3 週間で終わる予定が 1〜2 ヶ月かかってしまった。

──二次開発に持ち越すことになった課題もありましたか?

一次開発の時点で標準の SFA 機能も利用可能になっていたのですが、結局セールスの現場では Salesforce が定着しませんでした。受注以降のデータはSalesforce上に移行できて一定の成果はあったのですが、依然としてリードや案件の状況は各自が Excel・メール・手帳で管理したままだったんです。

使い慣れた Excel やメールを使えば確かに入力は手軽で簡単ですが、個人がバラバラに管理している情報は組織として活用しにくい。その状態からの移行は、二次開発に持ち越しになりました。

すべて現場に任せるのではなく、営業の組織自体を社長主導でデザインした

──一次開発を終えられて二次開発に進むまでは、どんなプロセスになったのでしょう。

一次開発では、「SFA を活用してください」と説明・レクチャーしただけでは自発的に利用されるわけではないという学びがありました。

そこで、まずシステムはそのままでセールスプロセスの改善を進めていきました。

──すぐに二次開発に進んだわけではないのですね。

当時セールスのマネージャを担っていた社長が先頭に立って、「Salesforce を使う以前に、そもそもこういう観点で営業活動の情報を管理しないといけないよね」と営業の意識づけを始めました。

毎週のセールスミーティングで、各自が「何を話すか」「どう情報を整理するか」「顧客のステータスごとにどう対応するか」がバラバラだという課題がありました。Salesforce には「受注直前の段階」になってから案件情報が入力されるという状況で、要は効率的・組織的な営業ができていなかったんです。

──まず組織に情報を綺麗に整理・共有をする体制がないと、Salesforce を導入しても意味がないと。

本来は組織を変える取り組みも一次開発の時点でやるべきだったのですが、Salesforce の導入〜定着と並行して進めるにはかなりのパワーが必要です。結果的に「二次開発を始めるまでに、まず営業組織を個人活動からチームセリングの形に見直そう」という話になりました。

──組織を変えるというと、どんなことが重要ですか?

実感してもらえるまで地道に啓蒙し続けることに尽きます。また、これまでのやり方に自負のある年長者に納得してもらうためには、ある程度の立場のリーダーから働きかけることも大事でしょう。

あとは、営業組織をチームでセールスするという形、仕組みに変えていくことも大切だと思います。個人の売上のみで評価されるなら、「情報を共有しろ」と言われても「自分が効率よく受注できるように」という相反する動機が働いてしまいます。

入力規則のような「仕組み」は必要だが、OJT のようにフォローする体制がなければ定着しない

──営業組織自体が社長によって意識付けされた後、いよいよ二次開発に進まれたのですね。

そうですね。案件情報の管理を標準化し、共有することに納得してもらえる文化ができたところで、二次開発では 本来のSFA として Salesforce を活用しきることが大きな目的でした。

具体的には、接触した見込み顧客を Salesforce 上で管理して、そこにセールス活動をかけてリードにつなげていくプロセスを整備しました。あとは分析ビューを作って、社員の稼働率や売上の状況を可視化しました。

──やりたいことは伝わっても、Saleforce の使い方を覚える定着のフェーズでの苦労はなかったんでしょうか?

一次開発での学びを生かし、できるだけ苦労を避けられる工夫をしました。

一次開発では集計ミスを無くすために入力規則とマシンチェックを厳しく設定していたのですが、「エラーメッセージだけが出ても、どの項目がおかしいのかわからない」という質問をよく受けました。別の画面の項目が原因であるなど、わかりづらいケースもあったんです。

その反省をもとに、二次開発時は開発プロジェクトのメンバーが実際のセールスミーティングに参加し、一緒にSFAの画面を見ながら「このデータの入れ方がおかしい」とアドバイスするようにしたり、営業の要望を聞くようにしました。導入当初は業務中に隣に座って付きっきりで指導していたこともあります。

ツールを用意しただけでいきなり運用開始するのではなく、OJT を組み合わる形にした結果、現場のメンバーには喜んでもらえました。

──実際に今、セールスの現場から「便利になった」という声は聞きますか?

ありました。もともとOutlookの予定とSalesforceのカレンダーは同期していましたが、二次開発でSFAとしての活用の仕方が整備・徹底されるようになった結果、行動履歴が可視化されるようになりました。

定められた "作法" に沿ってデータを入力することで便利になった、という実感が得られるようになったのだと思います。

──現在はセールスの中で積極的に Salesforce が使われているのでしょうか。

はい。現場からは情報を共有するメリットも理解されてきたと聞いています。

一人で考えていると寝かせすぎてしまうこともあるので、みんなで突破口を考えたほうがいいこともあります。情報が可視化されていれば、担当者が気づいていなくても他の誰かが「このステータスなら訪問したほうがいいのでは」と声をかけることもできます。

また、経営管理の面でもメリットがありました。コンサルタントの稼働率が毎週更新されるので、予定稼働率が低いという状況がすぐ把握でき、営業として早めに手を打てるようになっています。

社内導入プロジェクトは新人のトレーニングだからこそ乗り越えられた

──二次開発までプロジェクトを終えられて、「実際に Salesforce を導入してみるまで気づかなかったな」と思うことはありますか?

想像はしていましたが、思った以上に営業メンバーによって仕事のやり方が大きく違います。そして、そもそも情報として捉える内容・定義が人によって違うという、粒度・感度の差も感じました。

今はなるべく情報の質を揃えるということで、Salesforce 上で「プロジェクトの背景」「スケジュールと予算感」「ステークホルダーは誰か」などを入力する形にしているので、情報の粒度も標準化できていると思います。

──一次・二次共にとても丁寧に対応されていたように感じますが、時間と労力も想定していた以上にかかりましたか?

確かに組織規模の割にはプロジェクト期間は長めでしたが、想定外だったわけではありません。
というのも、当社では社内プロジェクトを教育の場だと考えています。PM 候補のメンバーや開発未経験の新人に実践経験を積ませることも目的になっているので、最初からある程度時間をかけて学びの場とすることを期待していました。

──社内プロジェクトという成果が見えづらい部分にリソースを割くのはなかなか難しいと思うので、良い考え方ですね。

今回のような業務改善で使うツールも、目的と学習効果の両方から考えて選んでいます。

一次開発の時点では、経費・勤怠管理という目的から考えてクラウド ERP や会計ソフトを選んでもよかったのですが、開発経験が積めるからと Salesforce を選びました。二次開発はちょうど新人用のプロジェクトが必要になり、一次導入からの課題・改善要望も溜まっていたので、「 “ハマチ”(Salesforce)を再開しようか」という流れで始まりました。

──池田さんはコンサルタント時代に他社でのツール導入~定着の現場を見られてきたと思いますが、他社だともっと苦労しそうだと思うことはありますか?

やはり規模の問題ですね。当社はセールスの人数が多くないので、週に一度ほど全員を集めて研修をすることができました。しかし全国各地に営業所があるような規模の企業ですと、さすがに本社で一度研修するだけでは済まないので現地での対応になります。

各営業所でも初回はまず趣旨を説明して、次回でシステムの使い方を教える、というように何度か研修をすることになります。現場へ定着させるための負担は相当変わるでしょうね。

──当社の「Teachme Biz for SFA」は、Salesforce の画面上にワンクリックでヘルプを出す仕組みになっています。こういう仕組みがあれば、定着フェーズでは活用できそうでしょうか?

なるほど。私も業務システムの導入では、ゲームのチュートリアルのように「まずはここを入力」「次はここ」と案内してもらいながら機能紹介ができる形がベストだと思いましたが、自分たちで作りこむほど優先しようとは思えず...。

結果的に、我々はオンラインヘルプに関しては開発をせずに対面でレクチャーする方法を選びましたが、Salesforce 上で利用者自身が使い方を確認できるならそうした負担は減るんじゃないかと思います。

特にSFAでは、単純な「入力必須」項目にはできないが、営業活動上、情報として重要な項目が色々あると思います。その場で分かりやすい手順を見れるなら、「やり方が分からないから入力しない」という事態は避けられると思います。

やっぱり、文字が多いマニュアルをいきなり送っても読まないじゃないですか。丁寧に作れば作るほど読まれなくなる(笑)。

こういうツールは実際に使われてナンボですし、まさに使う場でガイドしてくれる仕組みが理想的だと思いますよ。

──担当者と営業メンバー双方の負担が減るのが理想ですよね。本日はありがとうございました。

<執筆:Hiroaki Takahashi (Web / 所属先)、撮影:西尾 豪 (Web)>

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