「Salesforce がもっと便利になったのに、現場に使ってもらえない」- 本格的に活用が進むはずだった頃に直面する最後の壁と各社の事例
Salesforce を現場に定着させ、活用していくには「営業の負荷を減らす」「協力者・教育担当を増やし、管理者の負荷を減らす」ことが求められるという話をこれまでまとめてきました。
- -「どうすれば営業の社員に Salesforce のデータを入力してもらえた?」 - 導入初期の事例から学ぶ2つのポイント
- -「Salesforce管理者の仕事、多すぎませんか?」 - 各社の事例から学ぶ、管理者の負荷を減らすポイント
ここまで組織体制が整うと、Salesforce管理者やプロジェクト推進者の方はやりたいことをどんどんやれるようになります。
しかし、お話を伺っていると、ここでSalesforce定着を阻む最後の壁に直面する企業さんが多いです。その壁とは、「Salesforceに新しい機能をどんどん追加して便利になったのに、組織が“更新疲れ”によって変更・改善についていけない」というものです。
便利なシステムができているのに認知・理解されていないという状態は、非常にもったいないといえます。ですので、実はSalesforceの活用が進むほど、社内のメンバーに効率的に認知・理解してもらうための仕組みがすごく重要になってくるのです。
この壁を経験された企業のお話を伺っていると、乗り越えるためには
- - 各現場の教育係やアンバサダーを “チャンピオン” といえるレベルにまでさらに教育する
- - 通知・学習の負荷を減らす
というアプローチが考えられます。今回はそんなお話をまとめます。
目次
Salesforceが便利になるほど、現場のメンバーは覚えることが増えていく
2つ目の壁の記事でもご紹介しましたが、Salesforceは機能が豊富で、さまざまな業務を改善できます。
ですので、管理者の方や知識のある方は、どんどんカスタマイズを進めてSalesforceをどんどん便利にしていきます。カバーできる業務範囲が広い分、営業部に留まらず新しい部署にも利用を拡大して全社的な業務改善に取り組む企業も多いです。
しかし導入時と同様に、新しいシステムがどれだけ便利だとしても、社内の協力が得られなければ価値は発揮できません。
Salesforceが社内の業務フローにあわせて進化していくと、ユーザーにとっては新しい機能や使い方を学習する負荷がかかります。特に新しいメンバーが入社した際には、これまで進化したすべての部分を研修で教えられなければならず、教える側も教わる側も負荷が大きくなります。
また、Salesforceの活用が進んだ組織では、「より便利にするために、Lightningに移行すべきか」という議論も出てきます。移行するメリットはあるのですが、セールスフォース・ドットコム社の方も「移行期間を長めに取り、徐々に浸透させていくほうがいい」とおっしゃるほど、現場への負荷は決して小さくありません。
こうした絶え間ない変更・改善によりユーザーの学習負荷が高くなることで、「Salesforceの進化についていけない」という壁に直面するリスクが高まるのです。
「Salesforceの進化に組織がついていけない」状況への対応その1:各部署にチャンピオンを育成する
Salesforceを活用する組織の一つの理想形として、全社的な取り組みで解決しているfreee株式会社をご紹介します。
freee社はSalesforceのパートナー企業ではありませんが、Salesforceの認定資格の取得を会社が補助しています。そして、IT部門だけではなく営業部など他の部署のメンバーにも資格を取ってもらい、Salesforceを利用する各部署に “チャンピオン” を育成されました。
各現場の中に、Salesforce に詳しい人間を育てることです。どんなことができるツールなのか理解できていれば、現場ごとに能動的に活用できるようになりますし、カスタム開発する際も適切な依頼ができるようになります。
ですので、チームごとに候補者を選出してもらって、教育メニューを提供し、「ここまで終わらせていれば合格できる」とスケジュールを引いて資格試験の受験をサポートしました。会社からも経費で補助してもらっています。
「管理側でも把握しきれない。」急拡大中の組織がたどり着いたのは、”現場のリーダー”を育成すること──Salesforce 導入~定着の道のり Vol 1. freee 株式会社
freee社は500名という規模でSalesforceを活用しており、管理チームでも各現場の使い方や設定をすべて把握することは難しくなったそうです。そこで、新しく入社したメンバーの研修は、配属される各部署に任せることになりました。
さらに、“教育係” に留まらず “チャンピオン” といえるレベルにまでメンバーを教育されました。その結果、営業メンバーがSalesforce公式のリリースノートを読み、管理者に対して自発的に「今回リリースされたこの機能をウチでも使えるようにしてほしい」とリクエストすることも生まれたそうです。
当然、チャンピオンの方々は、管理者の代わりに部署のメンバーに対して「今回Salesforceがこう変わった」と告知し、教育まで行ってくれます。このように、みんなが当たり前のようにSaleforceを使う状態は理想的といえます。
とはいえ、ここまでの組織をつくるには時間もかかると思います。そこで、次の事例を紹介します。
「Salesforceの進化に組織がついていけない」状況への対応その2:通知の負荷を下げる
Mipox株式会社の事例では、新しい機能の通知や教育を効率化するというアプローチでこの問題を解決されています。
具体的には、サポートツールとして弊社のTeachme Biz for Salesforceを導入し、Salesforceを操作している画面に連動して常に該当するマニュアルを表示できるようにされました。Salesforceを使っていて、見慣れない機能を目にしたり、使い方が変わっていることに気づいたりしたら、そのタイミングで該当するマニュアルへ簡単にアクセスできるという仕組みです。
Saleforceの新しい機能がどれほど便利でも、現場で使ってもらえないと価値が得られませんので、「Salesforceに関してわからないことがあれば左下のTeachme Bizボタンをクリックしてください」というわかりやすい導線によって社内教育の課題が解消されたことが大きな変化だと思っています。
Mipoxさんでは、かつて毎日のようにSalesforceを更新していた時期もあったそうです。ただ、それらの変更点をすべてChatterで通知すると、連絡する側もされる方も負担になってしまいます。
さらに、新機能を知った日にすぐ使うわけではないので、必要になった際に過去の通知を探すという手間もかかります。
もちろん、ただ通知を減らす・なくすだけでは新しい機能が認知されないので、あまり負荷をかけずに情報・使い方を共有するアプローチを同時に考えることが重要です。
テクノロジーを活用するだけでなく、たとえば現場の業務フローの中にうまく入りこむことも効果的です。他の企業の事例では「営業会議が終わる頃に 10 分だけ時間をもらって、みんな揃っている場で目的や意図も含めて直接説明させてもらった」と、うまく関係性を構築して教育をしやすくされていました。
まとめ:もっとも効果的なのは教育の効率をあげること
Salesforceの管理者の方やプロジェクト推進者の方はとても忙しいため、定着化のための施策を手当たり次第にできるわけではありません。
では、Salesforce定着のために、どこに注力するかという話になってきます。
これまで紹介した施策の中で、「協力者を増やす」「現場と良好な関係を築く」類のアプローチは、タイミングにも左右されたりしますし、リソースを集中して一気にやれるものではなかったりもします。
そうなると、どのフェーズにおいても着手しやすく、効果がある施策は教育の効率化ではないでしょうか。
教育の効率化という施策は、
- ①営業メンバーにデータを入力してもらいづらい→覚えることを最小限にする
- ②管理者の仕事が忙しすぎる→教育を若手に引き継いでいく
- ③新しい機能が増えすぎて組織がついていけない→教育自体を楽にする
という風に、実はこれまで紹介した3つの壁すべてにおいて有効です。
Salesforce定着を阻む3つの壁と解決策のご紹介は今回で終わりますが、冒頭の「結局、組織としてSalesforceをより活用するために何から手をつければいいのかといえば、教育の効率化ではないでしょうか?」という話に同意いただける方には、Teachme Biz for Salesforceが一つの解決策になります。
Teachme Biz for Salesforceのホワイトペーパーでは、Salesforceの社内教育を効率化することでどのような経営効果・メリットがあるかも詳しく解説していますので、ぜひこちらも合わせてご一読ください。
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関連資料:お客様が Teachme Biz for Salesforce を使うべき3つの理由