「どうすれば営業の社員に Salesforce のデータを入力してもらえた?」 - 導入初期の事例から学ぶ2つのポイント

公開日: 2020.03.04

Salesforce を活用している企業の方のお話を聞いていると、社内に定着させる上では大きく分けて 3 つの壁があることがわかりました。

まず 1 つ目は、Salesforce を導入した直後のフェーズで直面します。

その壁とは、「現場の社員になかなかデータを入力してもらえない」というものです。特に SFA、営業管理システムとして、営業の現場に導入した際に苦労された企業の方が多いです。

Salesforce のような営業支援システムは、現場の社員の方々に協力してもらわなければ導入する意味がありません。しかし、現場の社員にとっては手間がかかる上に、使う必要性を理解しづらいという課題があります。

私はこれまで、この壁に直面し、乗り越えた企業 10 社ほどのお話を伺ってきました。

その上で各社の事例をまとめると、現場でのデータ入力を促進させるためには下記の内容がポイントになることがわかりました。

  • ポイント①:営業メンバーの学習/入力負荷を減らす
  • ポイント②:Salesforce を業務フローの中に組み込み、強制力をつくる
  • 上記の 2 点を、実際の業務に沿って少しずつ浸透させる

そもそもなぜデータを入力してもらえないのか

どんな職種の方でも、経費精算の作業をしたことはあると思います。

たとえば、Salesforce に関するセミナーに参加したときは、交通費を会社に申請する必要があります。

でも、仮に経費精算ツールがものすごく使いづらかったとしても、データを入力しない方は少ないのではないでしょうか。

何故かというと、「データを入力したら、その分のお金が自分に返ってくる」というメリットが明らかだからです。

一方で、Salesforce はどうでしょうか。

例えば経営層は、レポートさえセットされていれば、欲しいデータを今よりもリアルタイムに取得できます。バックオフィスの方は、営業の社員に契約情報を聞きにいかなくても Salesforce を見れば済むので、楽になります。

ですが、営業現場の社員は、データ入力業務の負荷が大きいにも関わらず、本人にとってのメリットが分かりづらいです。

厳密に言うと、「メリットを実感できるようになるまで時間がかかる」のです。だからこそ、営業メンバーにデータを入力し続けてもらうためには工夫が重要になります。

Salesforce にデータを入力してもらうポイント①負荷を減らす

まず重要になるのは、「負荷を減らすこと」です。

どんな負荷かというと、まずは新しいツールの使い方を覚えて業務の中に組み込むという学習負荷があります。そして、活動データを入力しなければならないという入力負荷は導入から毎日かかります。

負荷をゼロにすることはできませんが、下げることはできます。この方法は、株式会社ブレインパッドさんの Salesforce 活用事例が参考になりました。

ブレインパッドさんが Salesforce を導入した際は、まず入力必須の項目を極限まで減らしました。「なんとなく必要だと思う」というあいまいな項目は削り、初回は 6 つ、次回以降は 3 つになるように絞ったそうです。

また、「どの画面に行けばデータを入力できるのか」という学習負荷を減らせるように、レポートから活動入力画面まで 1 クリックで遷移し、同時に商談の 3 項目も更新できるようにしました。

とにかくみんなの事務作業を減らしたいんだという意図を説明し、「このレポートページだけをブックマークしておいてもらえれば簡単に商談と活動履歴が入力できる」という状態をつくりました。

ゴールを解像度高く共有し、プロセスの障壁を取り除く。管理者はメンバーの“利益”を第一に──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol.5 株式会社ブレインパッド様

導入を推進した上村さん自身が営業出身のため、営業の目線で「どうすれば喜んでもらえるか」を考えておられたことが印象的でした。

なお、社内事情などでどうしても入力項目が多くなる(負荷を下げられない)場合は、より学習負荷を下げる工夫が重要になります。

上記の上村さんは、学習負荷を減らす手段として入力画面の UI にこだわって設計されました。

その他に、マニュアルの内容と見せ方も挙げられていました。たとえば Teachme Biz のように、操作中の画面のヘルプがその場で見られるマニュアルシステムであれば効果がありそうだ、とおっしゃっています。

Salesforce にデータを入力してもらうポイント②強制力をつくる

同じく「データを入力してもらえない」という課題を抱えていたケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社さんは、ブレインパッドさんとは若干異なるアプローチで Salesforce の定着を推進されました。

まず「Salesforce を活用するためには、営業組織自体が変わる必要がある」と、営業組織を統括する社長が先頭に立ってプロジェクトを推進したそうです。

「Salesforce を使う以前に、そもそもこういう観点で営業活動の情報を管理しないといけないよね」と営業の意識づけを始めました。
毎週のセールスミーティングで、各自が「何を話すか」「どう情報を整理するか」「顧客のステータスごとにどう対応するか」がバラバラだという課題がありました。要は、効率的・組織的な営業ができていなかったんです。

ツールを用意しただけでは使われなかった。まずは組織のデザインが必要だった──Salesforce 導入〜定着の道のり Vol 4. ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様

Salesforce の公式パートナーとして多くのクライアントの導入サポートをしているサンブリッジ社の小野社長も、役職者のコミットは重要だとおっしゃっています。

──自社でも Salesforce を活用しておられますが、CEO である小野さんの視点では、Salesforce の定着には何が必要だと思われますか?

小野:
経営者と、各現場のマネージャのコミットメントです。

まずは経営者が「Salesforce を使って業務改善する」と意思表示し、定着するまで各マネージャがプロジェクトを推進する。Salesforce は魔法の杖ではないので、業務自体の見直しや組織・体制の最適化、システムを使う社員の教育・定着の伴走支援など、フェーズごとに役職者のコミットも求められます。

Salesforce の全社導入は、経営者から現場まで各ポジションの推進者がコミットする “掛け算” が鍵──Salesforce 導入 〜 定着 の道のり Vol.8 株式会社サンブリッジ様(後編)

おすすめの方法は、リーダーが「なぜ Salesforce を導入するのか」「どんな営業組織を目指すのか」という目的を共有した上で、Salesforce を業務フローの中に組み込んでしまうことです。

たとえば、全員で当たり前のように Salesforce のダッシュボードを見ながら営業会議を行うようにすると、「データを入力していない」=「仕事をしていない」という認識が広がり、各メンバーが入力する強制力が働きます。

負荷を減らした上で、やるべきことは必ずやってもらう。その二軸でのアプローチができれば、導入直後の壁は乗り越えやすくなるはずです。

補足:業務に沿った形で少しずつ浸透させることも重要

とはいえ、“低負荷” × “強制力” という仕組みさえつくればすぐに定着できるというわけではありません。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズで導入を推進した池田さんは、「地道に啓蒙し続けることが重要」とおっしゃっています。

たとえば、入力データに不備があった際、ただ機械的にエラーメッセージを出すだけではなかなか前向きに学習してもらえません。
そこで、一緒に Salesforce の画面を見ながら「このデータの入れ方がおかしい」とアドバイスすることで、営業メンバーからも感謝されたそうです。

実は、多くの管理者の方が、Salesforce を現場に浸透させるポイントとして “営業会議” を挙げています。

どんな会社でも営業会議があり、会議の前後で多くの営業メンバーがデータの入力や確認に時間を取られています。

営業会議という場をうまく使うと、Salesforce によって営業メンバーの負荷を減らしてみせたり、Salesforce を使った直後の時間に使い方をレクチャーしたりできます。もっとも業務に関連があるタイミングで Salesforce に触れてもらえると、学習効率を高めることができます。

また、多くの企業で、「個別レクチャーでは、使い方を教えるだけでなく、その場で現場からのフィードバックをもらうようにした」というお話を聞きました。

特に営業以外の部署の方が Salesforce の導入推進役や管理者を担う場合は、そうやって営業のメンバーと直接コミュニケーションを重ねること自体も重要になります。

そもそも、「負荷を減らす」にも、「業務フローの中に Salesforce を組み込む」にも、まず自社の営業/業務プロセスを理解している必要があるからです。

このように、営業メンバーの業務プロセスにうまく潜り込みながら、メンバーの負荷を減らしたり、モチベーションを保つことで、多くの方が第一の壁を突破されていました。

また、Salesforce を定着させるためには、この先にもまだ 2 つの壁が待っています。管理者や導入推進者だけで主導するのではなく、営業の現場に協力者を増やすことは、この先にも活きてきます。

ここまででかなり長くなってしまったので、残る 2 つの壁については、また後日書きたいと思います。

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