デジタル化とは? DXとの違いやメリット、事例について解説

最終更新日: 2023.10.13 公開日: 2021.03.18

今更聞けないデジタル化とは

時代の変化に適応して売上を伸ばし続けるために、企業が検討すべきひとつのメソッドとして「デジタル化」があります。デジタル化の取り組みは費用や時間などのコストがかかる一方、業務の効率化や生産性の向上という大きなメリットが期待できます。

しかしながら、デジタル化の推進がうまくいっているケースは少なく多くの企業でデジタル化の推進に苦労しているというのが実情です。

本記事では、改めてデジタル化の定義を解説すると共に、デジタル化の推進に必要なポイント、推進する上で乗り越えなくてはいけない壁、さらにはデジタル化による業務効率化の事例などについてご紹介します。

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目次

そもそもデジタル化とは?

事業のデジタル化を進めるには、まずデジタル化の概念について知っておきましょう。以下では、デジタル化の定義についてご説明します。よく混同しがちなデジタルトランスフォーメーション(DX)との違いも解説していますので、ぜひチェックしてください。

デジタル化が持つ2つの意味

まず、デジタル化という言葉には、以下の2つの意味があることを押さえましょう。

1.アナログをデジタル化すること(デジタイゼーション)
デジタイゼーションは具体的なイメージがしやすい「単純なデジタル化」を指します。主に業務の効率化や合理化を図る目的で、以下のような施策が行われます。

  • マニュアルや請求書など書類のペーパーレス化(電子化)
  • Zoomなどを用いたオンライン会議やオンライン商談の実施
  • RPA導入による既存業務の自動化
  • 署名のクラウド化 など


2.ビジネスプロセスのデジタル化(デジタライゼーション)
デジタライゼーションは、デジタル化によってサービスや製品、ビジネスモデルに新たな価値を与えることを指します。以下のように、デジタル化による商品力強化や、企業競争力の向上などを目的としたものです。

  • AIやセンサーなどを用いたモニタリング

デジタライゼーションを行うには、まず業務に関連する事柄がデジタイゼーションされている必要があります。デジタイゼーションはデジタル化の第一段階であり、デジタイゼーションが進んだ先に実現可能なのが、デジタライゼーションなのです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)との違い

ビジネスにおけるDXとは、デジタライゼーションからさらに一歩進み「事業にテクノロジーを活用して変化を起こし、より大きな利益を生み出す経営戦略や業界の仕組みを再構築すること」です。

例として、スマートフォンアプリの位置情報を使用したタクシーと乗客のマッチングサービスは、DXに該当します。従来は道路でタクシーを拾って移動することが一般的でしたが、このサービスの登場で、業界に大きな革新が生じました。

このように、DXは、関連した業界や私たちの生活にまで大きな変化を与えるものです。DXはデジタル化と混同されてしまうこともありますが、これらは順序立てて実現を目指すべき異なる概念です。具体的には、デジタル化はDXの前段階にあたります。デジタル化の実現後に、初めてDXが可能になると考えるとよいでしょう。DXの推進を検討する企業は、まず足がかりとしてデジタル化に取り組むことが求められるわけです。

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IT化との違い

ITは「Information Technology(情報技術)」の略で、コンピューターとネットワーク技術を総称します。
デジタル化は情報の形式をデジタルに変換することを指しますが、IT化は情報技術を用いて業務やプロセスを改善・効率化することを指します。例えば、口頭で行っていた情報共有をビジネスチャットでの報告に変えたり、紙で保管していた書類をオンラインで管理するようにしたりといった取り組み・プロセスがこれに該当します。デジタル化によって生成されたデータは、ITツールを使用して管理、分析、共有され、IT化された業務プロセスの一部として活用されます。

デジタル化が注目されている背景

デジタル化とDXが注目されている背景には、どのような社会事情があるのでしょうか。昨今の情勢を踏まえ、今後デジタル化やDXが必要となる理由を探っていきましょう。

「2025年の崖」問題

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」を契機に、DXという言葉が一般層にも注目されるようになりました。このレポートでは、企業がデジタル技術を活用したビジネスプロセスの改善や、新たなビジネスモデルの創出を怠った場合、その企業は市場競争力を失い、結果的に大きな経済的損失を被る可能性があると警告しています。

具体的には、当時の状況における2つの主要な課題が指摘されており、DXに取り組むことの重要性を説いています。

    課題1:既存システムの複雑化やブラックボックス化
    課題2:既存システムの問題点を解消すべく改革へ取り組むことへの現場層の抵抗

もし上記の課題を克服できず、DXの推進が滞ったままだと、2025年には年間最大12兆円もの経済損失が生じるという推測も記述されています。これが、いわゆる「2025年の崖」と呼ばれる指摘事項です。

2023年現在、この問題は徐々に解消しつつあります。コロナ禍で出勤が難しくなった影響で、企業は半ば強制的に業務のデジタル化を推進しなければならなくなりました。結果、図らずもDXが加速したといえます。

さらに、「2025年の崖」問題への対策として、「デジタルガバナンス・コード2.0」「DX推進指標」などの具体的な取り組みも提案されています。「デジタルガバナンス・コード2.0」は企業のDXに関する自主的取組を促すためのガイドラインで、「DX推進指標」はDXへの取り組み状況を企業が自己診断するためのツールです。企業はこれらの取り組みを活用し、自社のDX推進状況を把握し、必要な改善策を講じることが求められます。

「2025年の崖」を乗り越えるには、まだ足りない部分もあります。特にIT人材不足は深刻な問題であり、これからさらなるデジタル化を進めていくためには十分な人材確保が必要です。また、既存システムの複雑化ブラックボックス化も依然として解消されていません。これらの課題に対する取り組みが今後ますます重要となってきます。

将来の人材不足問題

少子高齢化が急速に進む日本では、労働人口の減少によって特に中小企業における人材確保が困難になると予測されています。
その解決方法として有効とされるのがDXです。DXによる業務負担軽減や多様な働き方への対応が可能となれば、少数の人材でも生産性の確保が見込め、企業競争力の保持につながります。

業界別にみるデジタル化のパターン

デジタル化は業界ごとにパターンが見受けられます。例えば、製造業であれば自動検出システムやロボットの導入、金融業ならデジタルバンク、物流業界であればAIを用いた業務の自動化といった具合です。ここでは業界ごとの取り組みについていくつかピックアップします。

製造業におけるデジタル化

製造業におけるデジタル化の事例として、ロボットの導入が挙げられます。従来、人の手で行ってきた作業をロボットに担当させることで、ヒューマンエラーの防止や生産性向上などの効果が期待できます。

また、画像認識や自動検出システムの導入も、製造業界で進んでいます。これらの導入により、不良品や異物などを早期に発見でき、品質の向上が期待できるのです。人間のように集中力が低下する心配もなく、安定したパフォーマンスを発揮してくれるのも魅力です。

IoT機器を導入する製造企業も増えてきました。IoT機器の導入により、設備機器の不具合を早期に発見し、生産におけるロスの回避につながります。また、生産工程を可視化できるため課題の抽出や改善が可能なのもメリットです。

金融業におけるデジタル化

金融業におけるデジタル化のトレンドとして、デジタルバンクの開設が挙げられます。デジタルバンクとは、入出金や振り込み、送金など、銀行の窓口やATMで行うさまざまな手続きを、スマートフォンで行えるサービスです。

デジタルバンクの導入で有名なのは「みんなの銀行」でしょう。日本で初となるデジタルバンクサービスを開始し、口座と財布を一体化させたウォレットや、お金の管理を行えるボックスなどの機能をスマートフォンアプリで利用できます。

加えて、アナログなシステムからデジタル化へのシフトも始まっています。例えば、OCR技術を用いた帳票の自動読み取りや、AI審査の導入が挙げられます。これらのデジタル化により、業務効率が高まり従業員の業務負担も軽減につながっているのです。

物流業界におけるデジタル化

物流業界におけるデジタル化の取り組みとして、業務の自動化が挙げられます。例えば、これまで人が手作業で行っていたピッキング作業や配送などを、自動化する取り組みが行われています。

倉庫管理や在庫管理システムの導入もポピュラーです。倉庫内における荷物の流れや入出庫情報、在庫情報などを管理できるシステムで、業務効率化を促進します。ほかにも、物流サプライチェーンの最適化や、AI技術を活かした最適なルート検索なども代表的な取り組みです。

物流業界におけるデジタル化は、作業者の業務負担を軽減するだけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。また、効率よく業務に取り組める環境を構築でき、人手不足の解消にもつながるとみられています。

小売り業におけるデジタル化

小売り業におけるデジタル化として、管理システムの導入が挙げられます。管理システムの導入でデジタル化を推進することで、販売数や在庫数、売上などさまざまな情報を一元的に管理できるようになり、より正確なデータの取得と現状把握が可能です。

さらに、セルフレジの導入も進んでいます。現在では、大手スーパーマーケットチェーンやコンビニチェーンなどでセルフレジの導入が進み、人手不足の解消に役立っています。また、キャッシュレス決済も導入すれば、レジ前の混雑解消につながるほか、従業員の業務負担軽減にも効果を発揮します。

デジタル化のメリットと各種事例

企業がデジタル化を進めることで得られる大きなメリットのひとつが、業務の効率化です。どのような点で業務を効率化できるのかを、事例とともに改めて確認しましょう。

リモートワークの促進

インターネットやITツールの活用で、オフィスにいなくても会議や資料の作成・受け渡しができれば、リモートワークが促進されます。
具体的には、ZoomやGoogle Meetといったオンライン会議ツール、SlackやChatworkなどチャットツールの導入をはじめ、書類の電子化、ハンコからオンライン署名への切り替えなどが有効です。
リモートワークが広く普及することで通勤が不要になったり、資料を保管する場所の確保や探す手間を省いたりでき、そのコストを別の作業に充てられます。

以下の事例では、多くの社員を1拠点に招いて行っていた研修制度をオンライン研修に変えたことで、研修時間の大幅な短縮と教育担当の負担軽減を実現しました。

テレワーク環境でも新入社員研修を効率化!
集合研修からオンライン研修に切り替え、研修時間を4分の1に圧縮した事例

社内情報共有の一元管理

ITツールの導入を進めることは、社内情報の一元管理にもつながります。以下のような社内情報共有の一元化への具体的な取り組みで、業務のさらなる効率化が実現可能です。

  • 勤怠ツールの導入による情報の一元化で勤怠管理負担を軽減
  • グループウェアの活用でスケジュールや資料の共有を一元化
  • プロジェクト推進ツールを取り入れてメンバーのタスクを一元化
  • CRM(顧客管理ツール)による顧客管理情報の一元化 など

以下の事例では、社内マニュアルをクラウドサービスによって一元化し、マニュアルの頻繁な更新があっても全社一括シェアが可能に。社内の混乱を回避できました。

情報の一元管理で混乱防止を実現した事例

業務の一部自動化

ロボットやRPAの活用で、従来は人が行っていた業務を自動化できます。
部品の組み立てをロボットで自動化できれば、ロボット管理に従事する少数の人員のみで生産を行えます。また作業速度が向上し、より短期間で部品を多数組み立てられるでしょう。
またRPAはパソコン上で行う業務を自動化できるため、バックオフィス業務の業務効率化が図れるとして、注目を浴びている取り組みです。

以下の事例では、人手不足の問題をデジタル化によって克服しようとマニュアルのデジタル化と併せて業務のRPA化を図り、年間20,000時間もの業務の自動化に成功しています。

年間で20,000時間の業務をRPA化!労働力不足の問題をクリアした事例

ペーパーレス化

従来は紙で管理していた書類をPDFで保存するほか、そもそもペーパーワーク自体を全てデジタル化してしまえば、ペーパーレスを実現できます。
これによって書類の提出や保管の手間を省くことができるため、業務効率の改善につながります。

以下の事例では、各種業務マニュアルとその活用状況をデジタル化したことで、マニュアルに関する社内問い合わせの削減とさらなる業務の標準化を実現しています。

マニュアル改廃の管理負担がゼロに!組織の活性化も実現した事例

各種手続きの簡素化

デジタル化によってペーパーワークを減らすことで、各種手続きもスムーズに進められます。
例えば契約などの手続きは、クラウドサービスの利用によってオンライン上で済ませられます。書類によってボタンひとつで承認できる場合もあり、やり取りにかかる時間を省略することで効率的に業務を進められます。

以下の事例では、飲食店チェーンにおけるレシピやメニューの共有をデジタル化しました。結果、レシピ・メニューに関する新情報が店舗で適用されるまでの期間を、従来の2週間程度から2日後までに短縮しています。

2週間かかっていた新メニュー周知が2日以内に!レシピ変更は1分!
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デジタル化を進める際の流れ

デジタル化はDXを進めるための前段階にあたる過程といえます。しかしデジタル化を進める際に、ITツールをいきなり導入することは避けるべきです。導入のステップを適切に進めるためには、さまざまな要素を考慮しなければなりません。
まず、現状の課題を正確に把握し、デジタル化の目的を明確に定めることが必要です。その後、自社のニーズに合ったツールの選定と導入を進めます。さらに、継続的に効果測定とブラッシュアップを行うことで、デジタル化の効果を最大限に引き出すことができます。

現状の課題やデジタル化の目的を明確にする

デジタル化を進めるためには、現状の課題やデジタル化の目的をしっかりと定義することが重要です。まず、業務の全体像を把握し、どの部分に課題があるのかを詳細に調査しましょう。その上で、デジタル化によって改善できる課題を選び出すことが大切です。一方で、デジタル化が必ずしも適していない課題も存在するため、そのような場合は別の解決策を考える必要があります。

課題把握には、なるべく多くの社員が関わるべきです。現場で働く社員も含めて意見を聞き、デジタル化の対象となる部分を探すことが有効です。特に、人手不足が顕著な業務、手間や時間が多くかかっている業務、災害などによって影響を受けやすい業務などは、デジタル化を検討する上で優先的に考えられるポイントです。

また、デジタル化の目的を明らかにすることも欠かせません。デジタル化が目的ではなく、あくまで手段であることを念頭に置きましょう。デジタル化を適切に行うことで業務が複雑化したり、難易度が高まったりすることは避けたいものです。デジタル化の主な目的としては、業務の効率化、働き方改革の推進、企業利益の向上などが挙げられます。

導入するツールを選定する

デジタル化が必要な項目およびデジタル化の目的が明確になったら、必要なシステムやツールの検討に移ります。デジタル化を進める際には、適切なツールの選定と導入が鍵になります。

紙の電子化など簡単なものは特別なツールなしで行えますが、電子化したデータをクラウドで共有する場合や、システムやアプリなどの開発を要する場合は、適切なツールやクラウドサービス、外部のシステム開発会社を検討することも必要です。

ツールの選定時には、自社の課題の重要度や緊急度を考慮し、優先順位を定めましょう。その優先順位に応じて、課題を解決するために最も適したツールを選定します。

ツールの選定では、使用する従業員のITリテラシーも考慮が必要です。ITリテラシーが低い従業員に操作が複雑なツールを運用させるのは望ましくありません。新システム・ツールの導入でかえって業務効率が下がるおそれがあります。操作のわかりやすさや、既存システムとの連携性を考慮し、自社に適したシステムを選びましょう。

また、効果的なセキュリティ対策が行われているものを選ぶことも大切です。併せて、従業員のセキュリティ意識向上のために研修を行うと、情報漏えいなどのリスクを低減でき、デジタル化を安全に進められます。

定期的に効果測定・ブラッシュアップを行う

デジタル化は一時的なプロジェクトではなく、継続的な取り組みが必要です。効果測定を行わなければ、導入による成果がどれだけあるのか把握することができません。効果の検証をする際は、数値だけでなく、実際にデジタルツールを使用する従業員の意見も収集することが大切です。これらの情報を基に、デジタル環境をさらに改善し、効果を最大化するための努力が求められます。

業務効率化の効果が表れていない場合、原因を調査し改善を行う必要があります。PDCAサイクルを回し、継続的にシステムをブラッシュアップしていきましょう。

デジタル化の具体例と役立つツール・サービス

デジタル化の具体例を知ると、取り組みのイメージを描きやすくなるかもしれません。デジタル化に役立つツールやサービスは多々ありますが、課題の解決に役立つか、また目的を達成できるかを考慮して選定を進める必要があります。

契約や決済のデジタル化

契約や決裁の電子化は、コストや時間の削減に有効です。紙の契約書を用いた契約は、文書を作成する手間や時間がかかるほか、紙代やインク代、郵送費用などの経費が発生します。一方、契約を電子化すれば、これらの手間やコストを削減でき、契約までの期間短縮にもつながります。

決裁の電子化も、業務効率化に有効です。稟議を経て最終決裁者に許可を得るケースでは、多大な手間と時間がかかり、場合によっては機会損失も発生します。決裁を電子化すれば、スピーディーな稟議を実現でき、上記のリスクも回避できるでしょう。

役立つサービスとして、電子契約サービスが挙げられます。契約書の作成や契約の手続きをオンラインで完結できるサービスで、コスト削減と契約までの期間短縮が実現できます。また、電子決裁システムを導入すれば、オンラインで稟議を行え、スピーディーな意思決定に役立ちます。

会議やコミュニケーションのデジタル化

会議やコミュニケーションのデジタル化で考えられるのは、オンライン会議の導入です。新型コロナウイルスの影響や、働き方改革の推進でテレワークを導入する企業が増え、オンライン会議へとシフトするケースも増えました。

オンライン会議は、Web会議システムを導入することで環境を整えられます。オンライン上でリアルタイムに会議を開催でき、資料の画面共有や会話内容の文字起こしなどを行える製品もあります。

また、スピードが重要視される現代ビジネスにおいては、よりスピーディーにコミュニケーションがとれる仕組みも求められます。メールだけではどうしてもタイムラグが生じるため、ビジネスチャンスを逃しかねません。

社内外コミュニケーションの高度化には、ビジネスチャットツールの導入が有効です。メール以上にスピーディーなやり取りを実現でき、各種データの共有も可能です。

プロジェクト・業務などの管理のデジタル化

プロジェクトのデジタル化で考えられるのは、進捗状況やタスクの可視化です。プロジェクトの進捗を正確に把握できていないと、納期の遅延やリソース不足などを招くおそれがあります。

プロジェクトの進捗管理や可視化には、プロジェクト管理ツールが役立ちます。ガントチャートやカンバンボードなどでプロジェクトの全体像や進捗を可視化でき、状況を正確に把握できます。製品によっては、ツール上でコミュニケーションできるものもあります。

営業活動やマーケティングプロセスの管理も、デジタル化により効率化が可能です。例えば、ツールを用いて商談の進捗状況や担当者の行動を把握する、リード管理や育成を自動化するなどが考えられます。

営業活動のデジタル化には、SFA(Sales Force Automation)が有効です。SFAは営業支援ツールを指し、商談の進捗や担当者の行動履歴、案件管理などを行えます。一方、リード獲得や育成など、マーケティングの効率化にはMAツールの導入が有効です。リード管理やスコアリング、シナリオ作成機能などを利用でき、マーケティングの自動化を実現できます。

デジタル化を成功させるためのポイント

スムーズに業務をデジタル化させるには、そのための必要事項を押さえておくことも大切です。というのも、デジタル化は簡単に進められるものではなく、従来の業務フローや手法の大きな転換は避けられません。これらの変革により、社員にも大きな負荷がかかってしまうという認識が必要です。

デジタル化の成功には大きな壁を越えることが必須ですが、その壁を乗り切るにはどう推進することが求められるのでしょうか。

小さな成功体験を積み上げる

「小さい成功体験」を築いていくことを意識しましょう。例えば、「紙の書類をデジタルで管理する初歩的なデジタイゼーション」から始めるなどでもよいと思います。

デジタル化による便利さを実感でき、効果を理解してもらえるよう、小さな成功体験を積み重ねていってみてください。従業員たちが自らデジタル化の利点に立ち会うことで、その先の推進体制も作りやすくなるはずです。

従業員にとっての使いやすさを重視する

優秀なシステムを導入しても、実際に運用する社員が使いにくいと感じればすぐに形骸化してしまいます。
ですからツールを実際に活用する段階では、現場の従業員からフィードバックを集める仕組みを整えることも大切です。従業員の声を吸い上げ、「使いにくければやり方を変える」という方向転換がすぐにできるようにしましょう。

現在はITツールも、サブスク型など導入が容易で安価に利用できるものが増えています。仮に自社にマッチしなかったとしても、それらなら費用負担は少なく済むでしょう。無料トライアルなどのキャンペーンが行われていれば、それをきっかけに試すこともおすすめです。あえて失敗も想定内に含め、トライアンドエラーの姿勢で臨んでみてください。

デジタル化に遊びを取り入れる

デジタル化した業務に従業員が早く慣れるためには、ほどよく遊びを取り入れることも大切です。
例えば、ビジネスチャットツールを導入した場合なら「自由に会話できるスレッドを立てる」、「趣味の写真を自由に投稿できる機会を設ける」といった取り組みを試みてみましょう。それにより、さらに興味を持ってツールを積極利用してもらえるかもしれません。

社員の理解を得る

デジタル化の影響を最も受けるのは、現場で働く従業員です。長い目で見れば組織や従業員にとってメリットが多いデジタル化であっても、シフトした直後は仕事への取り組み方などが大きく変わる可能性があり、従業員の反発を招くおそれがあります。

従業員の中には、大きな変化に抵抗がある人もいるでしょう。それを無理やり抑え込んだとしても、従業員のモチベーション低下を招き、最悪離職されてしまうかもしれません。

デジタル化を成功させる鍵は、社内の理解を得ることです。そのためには、なぜデジタル化が必要なのか、現場の従業員にどのようなメリットをもたらすのか、といったことの周知徹底の方法についても考えていかなくてはなりません。

具体的には、デジタル化に関する勉強会やセミナーを開催する、現場の従業員と意見交換する場を設けるなど、柔軟な対応も求められます。

デジタル化を導入する際の注意点

さまざまなメリットがあるデジタル化ですが、初期費用など一定のコストが発生する等のデメリットも存在します。また、デジタル化を進めるにあたり従業員に浸透させる必要があったり、新たなセキュリティリスクに対処したりといった負担も生じます。ここではデメリットとして考えられることと、解消するためのポイントをご紹介します。

初期費用などのコストがかかる

デジタル化を進めるには、ITツールやサービスの導入が不可欠であり、初期費用や月額料金などのコストが発生します。長い目で見れば、デジタル化によるコスト削減効果が期待できるものの、ハードウェアやツール、サービスの導入に要する初期費用は高額になるケースが多いため注意が必要です。

初期費用だけでなく、ランニングコストにも着目しましょう。クラウドサービスであれば、月々の利用料金が発生します。ツールやサービスによっては、プラン、利用人数などで月額料金が変化するものもあるため、導入前の確認が必須です。

また、導入を検討しているツールやサービスが、真に必要かどうかもよく考えなくてはなりません。場合によっては、「そもそもデジタル化では解決できない課題だった」というケースも考えられます。事業や組織の規模にマッチしているか、必要な機能が実装されているかなども考慮しつつ慎重に選定を進めましょう。

厳重なセキュリティ対策が必要

デジタル化に伴い、組織が扱うさまざまなデータをオンラインでやり取りするケースも増えるでしょう。万が一、蓄積してきたノウハウや顧客の個人情報など、社内の重要な情報が外部に漏えいしたとなれば、組織としての信頼を失ってしまいます。

上記のリスクを避けるため、デジタル化と同時に厳重なセキュリティ対策が必要です。高度なセキュリティを実現しているツールやサービスを導入するのはもちろん、従業員のセキュリティーリテラシー向上に向けた取り組みも求められます。

セキュリティに優れたツールやサービスを導入しても、扱う人間のセキュリティーリテラシーが低いと情報漏えいや改ざんなどを招きかねません。重要なデータをUSBメモリーなどの記録媒体で持ち帰らない、テレワークでは端末にロックをかけるなど、教育とルール作りが必要です。

まとめ

この記事ではデジタル化の意味やデジタル化の推進に必要なポイントについてご説明しました。

デジタル化は、ビジネスの効率化やコスト削減を実現し、迅速な対応や意思決定を可能にします。契約や決裁、会議やコミュニケーション、プロジェクト・業務の管理など、さまざまな領域で活用が拡大しています。

デジタル化導入には、一定のコストやセキュリティ対策、従業員の理解という課題も存在しますが、企業の競争力向上、持続的成長に欠かせない取り組みです。企業がデジタル化を進め、効率化を実現することで、より高い業績を達成するための土台が築かれるでしょう。

デジタル化を成功させるためには、戦略的な計画と継続的な改善、そして社内の協力が不可欠です。まずは現状の課題と目的を確認し、最適なデジタルツールを導入するのが重要です。従業員のITリテラシーを向上させるための教育やサポートもデジタル化成功の鍵となります。効果測定を行い、PDCAサイクルを繰り返すことで、継続的な成果を上げることができるでしょう。

それぞれの企業が自らのニーズに合ったデジタル化の進め方を見つけていくことをおすすめします。


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