Teachme Bizは、現場の力を引き出す「コミュニケーションツール」

  • 運輸業・郵便業
  • #500名以上1,000名未満
  • #マニュアル作成・更新の効率化
  • #業務の標準化
  • #人材育成・研修
  • #属人化解消
ポイント
導入目的 業務の標準化、人材育成
課題 業務に個人差があった、マニュアル改修がなおざりだった
効果 生産性向上、マニュアル作成・改修時間の短縮、職場の活性化

―――貴社の事業内容をお聞かせください。

代表取締役社長 牧様(以下、敬称略) ワコール流通株式会社は、女性下着を中心とした製造卸メーカーであるワコールから機能分化し、ワコールグループにおける物流専門会社として、2000年4月に設立しました。物流拠点である守山流通センターでは、ワコールブランドの入荷・返品・検査・在庫・ピッキング・値札・出荷・配送までを担い、一元管理しています。物流業務に携わること約70年。蓄積したノウハウを活かして、流動的なビジネス環境の変化にも対応できる流通体制をつくり、お客様に満足いただけるサービス提供を目指しています。

手軽だからこその、リアルタイムなマニュアル改修を実現

―――Teachme Biz導入の背景を教えてください。

 弊社にはもともと紙のマニュアルは多数存在していました。ただし、作業を文章で表現するのはむずかしく、伝わりづらいものでした。また、そもそも作業方法・速度も千差万別で、実際に指先や肘の使い方・歩き方・腰の曲げ方など、具体的な動作までは標準化されていませんでした。

かねてより製造の現場では作業の標準化は進められており、ベテランと新人スタッフの動作を動画で比較する手法が活用されはじめていました。比較動画は弊社での物流現場にも取り入れられると思い導入、それにより標準化された業務を共有するプラットフォームとして、Teachme Bizを選択しました。

ワコール流通株式会社 代表取締役社長 牧 邦彦 様

業務管理課 係長 池田様(以下、敬称略) ちょうどそのとき私には、標準化した業務をマニュアル化するというミッションが課せられていました。これほど多くの工程があり、果たして期間中にクリアできるのかと途方に暮れていたところで、Teachme Bizを知ったのです。使ってみてすぐに、マニュアル作成における課題解決の糸口、ひいては現場を標準化する“武器”になりそうだと感じました。

―――導入の決め手は何でしたか?

 まず、慣れ親しんだスマートフォンやタブレットで使えるという点です。手軽に作成、閲覧ができるので、スマホ世代の若いスタッフもすぐに使えると感じました。次に、写真や動画をベースにしたマニュアル構成なら誤解が生まれにくく、業務を理解しやすいのではないかと考えました。新人教育だけでなく、作業を標準化するツールとしても考えておりますので、「正しく伝わる」というのは重要なポイントです。

また、改修のしやすさも、導入を決めた理由のひとつです。従来のマニュアル作成の方法では、ほんの一部の変更でも時間と労力がかかるため、完成したマニュアルは往々にしてそのまま放置されるものになっていました。しかし、Teachme Bizなら、普段使用しているデバイスで撮影、その場で共有まで可能です。毎日でも今の時点でベストだと思うものに作り変えることを現実にできるのが、Teachme Bizの特長だと思います。出来上がったものを永久的に是とするのではなく、少しでも疑問に思うことがあれば、微細な変化であっても日々リアルタイムで改善していってもらいたいです。

複雑な業務もウェアラブルカメラと組み合わせて自在にマニュアル化

―――どのようなマニュアルを作っていますか?

牧 今回の取り組みは一種の挑戦になるので、ある程度シンプルな業務からマニュアル化をはじめようと考え、「値札付け」のように、同じ場所に座って同じことを行う、一定の作業環境が確保できている業務を選びました。このような、スタッフ全員がほぼ同じ作業をするにもかかわらず個人差が生まれる原因を究明したいという想いもあったのです。その後は、商品補充など少し複雑な業務にも水平展開していきました。最近では、作業は歩きながらで、伝票もそれぞれ異なるなど、もっとも複雑で様々な課題を抱えていた出庫作業の標準化も進めています。作業風景の撮影が難しいのですが、ウェアラブルカメラの導入で実現できそうです。100~200名のスタッフがあたっている出庫作業が標準化できれば、相当のインパクトが期待できます。

出庫のマニュアル。今後はウェアラブルカメラも活用し、更に分かりやすくする

池田 “応援者”向けの業務引継にも活用しています。アパレル物流業界は業務波動が大きく、状況によっては他部門に作業応援を依頼することもあるため、スタッフのマルチスキル化は必須です。いつ、どの部門へ応援に入っても業務が回るようなマニュアルの作成をしています。

最近では、新人教育のカリキュラムのひとつとしても使いはじめました。専門用語のマニュアルだけでなく、「マニュアルを作ってみよう」と題した研修も実施しています。その目的は、Teachme Bizを使えるようになること・作業を理解できているか確認すること・プレゼンテーションスキルを養うこと。あくまでも基本が抜け落ちないように使い方もレクチャーしていますが、Teachme Bizの操作性が非常に高いので即座にマスターでき、「プロジェクターのマニュアルを作る」という課題も30分で仕上げています。

―――マニュアルはどのように作っていますか?

池田 マニュアルに大切なのは実用性だと思うのです。最も現場を熟知している担当チーフならびにメンバーが作成したマニュアルを共有し、より良い方法を協議した上で完成させていくことで、管理者や現場スタッフ、両者の納得感が生まれます。

導入から半年ほどですがTeachme Bizを使用しながら業務の打ち合わせを行うことで、自然に浸透してきました。マニュアルの数も日に日に増加しており、当社にとって必要不可欠なツールになりつつあるように思います。

ワコール流通株式会社 業務管理課 係長 池田 直人 様

Teachme Bizをきっかけに、現場でのコミュニケーションが増加

―――導入の効果はいかがでしたか?

池田 技術が必要となる業務での手先の使い方など、Teachme Bizなら細かい動きまで表現し、メンバーに伝えることができます。ポイントごとにステップを踏みながら説明でき、伝え方も統一されたことで、伝わりやすくなったと現場からも好評です。それまでは、同じ業務でも教える人によってバラツキが発生してしまっていました。

また、タブレット1台で写真や動画を撮影し、その場で加工できる点も好評です。それまでのマニュアル作成は机上で行いましたが、現場ですぐに作れてとても効率的です。今まで作成に2,3日間かかっていたようなマニュアルも、2,3時間で作成でき、大幅な時間短縮になっています。

単純にマニュアル作成が楽になっただけではなく、現場の活性化、やりがい向上にもつながっています。会議などで、今までなにも発言しなかったメンバーが、Teachme Bizの導入後は積極的に自分のやり方を共有するようになったのです。これは予想外の嬉しい効果でした。

牧 現場スタッフによる改善提案は以前からありましたが、そういうところに挙がらないような細かな提案が、現場には潜在していました。Teachme Bizの導入により、それを提案でき、発言しやすい組織風土に随分変わってきつつあるのかもしれません。

業務の属人化を解消する効果もありました。伝票取扱業務や小売流通様指定の値札付け、値札のデータ関連など属人化している業務があります。もちろんこれまでも後身育成には取り組んでいましたが、長い時間のかかるものだと考えていました。しかし、Teachme Bizを使い、新人・後輩スタッフたちとともに“誰が見ても分かるマニュアル”を完成させることによって、技術の伝承も実現可能だったので。この点でも、大きな副産物を得たと感じています。

また恥ずかしながら、管理者層は作業工程を“概念”としては理解していても、1つひとつの動作・手順まで把握できていませんでした。しかし、Teachme Bizを通じて把握し、的確に判断できるようになっています。現場に指示した作業が、自分たちの想定以上の負担になっている、設備投資で解決できる問題を見落としてマンパワーに依存し過ぎている等、細部まで見えるようになり、結果的に現場とのくいちがいを引き起こしにくくなっているのではないでしょうか。

作業の現場でマニュアルを見ながら改善活動も行われる

標準化がむずかしいと言われる物流業界に、新たなモデルを築きたい

―――今後の活用計画を教えてください。

 Teachme Bizは、生産性を向上させるという点で極めて有効なツールであることは間違いありません。しかし、経営者としての立場からは、単に生産性という指標だけでなく、スタッフに長い期間勤めてもらい、知見や作業をレベルアップさせていくことも重視すべきであると考えています。マクロで見れば、Teachme Bizはその足掛かりになるツールでもあるわけです。さらに、業務に対する理解を促進すると同時に、リアルタイムな改善提案も引き出す、コミュニケーションツールでもあります。今後はそこからどこまで使い道を広げていけるかが要です。

物流業界は、作業そのものが一定しない、取り扱う品種・品目・シーズン性の有無によって作業工程が左右される、機械化比率や人員確保度合いなど、状況は各社さまざまです。そのため標準化が困難と言われる業界ではありますが、私自身は「そんなことはない」と感じています。従来型のマニュアル・システムなら難しいことかもしれませんが、たとえ一時的、あるいは低頻度の作業であっても、その時に必要とされるマニュアルをすぐに作成して全員で見られるという意味では、Teachme Bizに勝るものはありません。どんな局面における作業も標準化し、リアルタイムで改善していくという、業界の“モデル”を築けると信じています。

一度標準化したあとは、もっと詳細に工程を分析し、現時点でベストな方法として固まれば、それを再びTeachme Bizで共有。それをもとに新しい作業工程も構築、改善を繰り返す―――それは“永遠の課題”でもあります。ワコール製品にとどまらず、BtoBtoC事業のお取引先様ごとの要望にも応えられるよう、あらゆる場面に水平展開し、これまでの“百科事典”のようなマニュアルは、2年以内に全廃したいですね。

そして、今までは作業レベルの標準化に取り組んできましたが、ISOの監査・社内外の業務監査・棚卸手順の確認といった、間接負担が嵩張る業務などで、より一層広く活用できればと考えています。

会社概要
会社名 ワコール流通株式会社
URL http://www.wacoalholdings.jp/index.html
所在地 滋賀県守山市千代町1番地1
事業内容 物流業

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